古民家ぼっとん水洗あふれる
私が寝ている蚊帳部屋はトイレのすぐ隣にある。
もう冬だから虫も出ないし蚊帳はいらないんだけれど、なんか蚊帳の空間は落ち着く。犬小屋の心理だろうか。
最近時々部屋が臭くなるのを猪のせいかと思っていたけれど、どうやらトイレを使ったあと、水を流すと臭くなる。
トイレは水をためて流す方式でウィシュレットまでついてるし新しくきれいなのだけれど、ぼっとん。下は見えないけどぼっとんだ。
以前、ぼっとんトイレのともだちの家に行くと、携帯置き場が設置されてて、落下に気をつけるよう注意書きまであったけど、ここのトイレは一見水洗だし、ぼっとんというのをすっかり忘れていた。
でもやっぱりぼっとんなので定期的にくみ取りが必要。前回は二か月前で隣と裏の家の汲み取りのついでにここもしてもらったけれど、それでも三軒分だし急遽追加だからか、すべてくみ取ってはもらえなかった。
一軒だけで呼ぶのも申し訳ないけど、実は使用後の臭いが気になってたので、隣の人の意訴えてくみ取り業者の人を呼んでもらった。
そして言われたのが
「あふれるところだったよ! こんなになる前にせめて一週間前に呼んでよ!」
だった。
そして請求金額は9450円!
え?ただじゃないの? どっかの畑の肥料つかうリサイクルじゃないの?
隣の人に聞いたら前回は三軒で16000円だったという。
呼ぶだけで費用かかるってことなんだろうか。
しかもくみ取りのおじさんに言われたのが
「蓋あけて上がってきてないかちゃんと確認してね」
ということだった。
どうやら外に蓋があるらしい。
知らんがな!!!!!
そして一か月後に必ず蓋を開けろと念を押される。
えー、古民家のぼっとん暮らしって毎月うんこチェックしなきゃないのー???
しかも私はトイレ使うたびトイレ掃除していたので流す水が多かったんだと思う。だからあふれかけてたんだろう。別に私がゾウみたいなうんこをしているというわけじゃない。
聞けば隣は水なしぼっとん。その場合、そう頻繁に呼ばなくていいんだろうが、水で流すとなるとやはり水の分すぐ肥溜めがあふれてしまうというわけだ。
なんか水洗トイレのありがたみを感じると同時に、世界のうんこは一気にどこに流れていくんだろうなんて想像したりもした。
そして、くみ取り業者様が去ったあと、気になった臭いは消えた。
それと同時になんだか調子も戻ってきた。
というのも、私はここ最近ずっとやる気が起きなくて、メンタルがやられていた。
なんか人生に希望がもてない状態になって毎日ほんと起きれなくてほとんど寝てた。
もうほんとただの人糞製造機だった。
そういやトイレって浄化の場所らしく、体にたまった不浄のものを流す場所だときいたことがある。
でも逆に考えると、不浄のものが流れなくてそこに留まったままって、あまりよくないのでは?
それが関係あるか知らんけど、くみ取り業者様があふれんばかりのうんこをくみ取っていってくださってからは、なんか急に調子が戻ってきた。
やはりトイレには神さまがいるのかもしれない。そう思ってトイレ掃除はしていたけれど、やはり肥溜め自体すっきりさせないと意味ないってことか。
そう考えたらくみ取り代はお布施みたいなものか。
そう思ってみんなあんな高い料金払ってるんだろうか。
何にしてもくみ取り業者様には大感謝である。
ゴミ清掃業者もそうだけど、うんこもゴミも運んでくれる人がいないと本当に困る。
ちなみにゴミ捨て場はここから徒歩10分の山の下。いつも軽トラでゴミを運んでいる。大型ごみはさらに先。不便極まりない。
札幌なら徒歩30秒だし、燃えないゴミや大型ゴミの回収ももっと頻繁。
この辺みんな車でゴミ出しに行くけど、昔は捨てるものなんてほとんどなくて庭で燃やしたりしてたという。
きっとうんこもそうだったんだろうな。それこそ畑の肥やしにしてたのかも。
自分で処理できないから処理してくれる人がありがたいっていうわけで、自給自足どころか自力の不要処理さえできない現代人すぎる己の無力を痛感するのであった。
でもとりあえず臭さと無気力を脱してよかった……。