感染者より高い遭遇率の🐗
毎日だらだら冬休みを過ごしつつ、夕方になると散歩に出る冬の島ライフ。
日々のんきに過ごしているが、先日は夜中に突然の地震で、地震そのものよりも携帯の緊急地震速報の音と島のスピーカー放送にビビった。
中国や韓国では富士山噴火するってよ的なニュースでもちきりらしく、中国の友人たちからも心配されていた直後なので、地震前にきた携帯の音で一瞬富士山噴火かと思って超ビビった。
こんな驚き方をしたのは北海道で北朝鮮がミサイルぶっぱなしたと早朝にやはり携帯のアラームが鳴った時以来のことだ。
その他中国では日本はコロナが超やばいってよ的なグラフも出回っているようで、学生たちにやはり心配されているが、そんな中不謹慎にもウケたのが、オミクロンを「おミクロン」と、まるで「お酒」や「お金」みたいに接頭辞つけた丁寧語みたいにしている学生がいたことだ。
だがしかし、現実問題オミクロンは笑ってもいられない。ものすごい勢いで感染拡大しているようだし。島の放送でも十日で131人の陽性者と言っていた。これは去年の感染者数をすでに超えている数なんだそうだ。
とはいえ、はっきりいって、今私はコロナ疎開しているようなもので、外に出るのは夕方の散歩ぐらいだし、人に会うことがほとんどない。散歩の途中で会うのは、猫、鳥、犬、そして猪ぐらい。
そしてこの猪がやばい。ほんと人に会うより遭遇率が高い。
庭にも来るし、すぐ近所でも視界に飛び込んできただけで三頭ほどの猪が山を駆け上がっていった。
まあ北海道で住んでいたところが山のそばなので、リスは庭にくるし、キツネもよく道を歩いててすれちがうし、エゾシカが家の前にいたことがあるし、野生動物自体は珍しくはないけれど、なにせ猪はやばい。
やばいやばいといっても、私も最初はそのやばさがあんまりわかってなくて、庭でウリ坊のちょっと大きいのが近づいてきたときはかわいいとすら思ってしまった。でも子どものそばには親もいるらしいから気をつけねば。
猪は、突進してきたら時速45キロぐらいで、車もすっ飛ばされるという。ましてや奴らは牙もある。その牙は重い岩をも動かすほどで、牙が刺さったら失血死ということもあるらしい。特に成獣の口元は人の急所の太ももの高さになるので危険だという。回避するには太ももを閉じて急所の内側を守る防御姿勢が必要らしい。
え、ちょっ、まっ……向かってくる猪に対してそんな防御態勢とれる?
正月に帰省していた友人一家と暗くなった山道を散歩していた時、茂みからガサガサと音がして、奴がいる!と思ったら、友人が突然「わー」とあえて大声を出した。横にいた私が一番その声にびびって逃げ出しそうになったが、実は大声や威嚇は絶対にしてはいけないらしい。
そして背中を見せて逃げてもダメ。絶対に逃げられないから。
少しでも高いところに逃げた方がいいらしいけれど、猪は一メートルはジャンプする。
そうなるとやはり前述の通り、防御姿勢で向き合うしかないのか?
傘とかあれば隠れるために広げればいいらしいけれど。
何にしても威嚇や反撃は絶対ダメで、ひたすら防御態勢で急所を守り、フルボッコにされるしかないらしい。
ある意味最強野生動物なおっことぬし様に勝てるのはもう美輪明宏様のモロしかいなくってよ!!!!
だがしかしあんなでかい山犬は猫バス並みにいない……。
現実には、日本で猪に勝てるのは北海道のヒグマしかいないと言われている。
そう、ヒグマですよ! 道民のみなさん!
どうも道民は猪の怖さがよくわかっていない。
だから先日も猪に遭遇したといってもこんな反応。
軽っ!
猪より雪!
ヒグマの一撃を想像しよう!
ヒグマと考えれば、大声も威嚇もダメだってのはよくわかる。そして山に入るときは鈴をつけるなり、こちらの居場所を早めに知らせるのが肝心。だから山のみかん畑に行く人はラジオ鳴らしたりするんだな。あれは熊よけの鈴と同じ効果か!
熊にあったら死んだふりという迷信もあるけれど、あれも静かに刺激しないようにするためだと考えれば、猪に背中向けて逃げちゃいけないってのにも通じるからよくわかる。
目撃した猪はそれこそ乙事主様ほど大きくないし、いざとなったら闘える?なんて思ったりもしたけれど、ヒグマに立ち向かう道民なんてまずいない。
北海道のみなさん、こちらの猪は道民にとっての熊なんです!!!
この説明だけで、もう完全に理解。
こう最初から聞いてれば、私はもっと早く猪の危険性がわかっただろう。
しかも熊より数多いし遭遇率高い。下手したらここらの人口より猪のほうが多いのでは?
とりあえずもう夕方山コースの散歩はやめて、やはり海コースにしよう。それでも海から戻る時の坂道はちょっと怖い。
この前遭遇したのも舗装された道で車も通るところ。
最初土の道通ってたら、ぼこぼこ穴が掘られてて、さらに食い散らかしたみかんもあって、「やばい、ここ猪のテリトリーだ!」と思って慌ててそこから離れた。
舗装された大きな道に戻って、ほっとしたのもつかの間、なんかすぐ前のところでガサガサ言ってるなと思ったら、ブヒっと声がして猪が目の前を横切った。
猪は本来警戒心が強いというけれど、柑橘類の味をしめた猪はどこか図々しいというか、こんな人も車も通るところに堂々といるのか!と驚いた。
北海道で生まれ育ったけど、熊はまだあったことがない。
そう考えるとこの短期間でこんなに猪に遭遇しているのはすごい。
島ではコロナ感染率より猪遭遇率の方が高い。
目に見えない危険と目に見える危険。
どちらも自ら危険な状況にならないように気をつけるのが肝心だ。