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【#VOICE】つくば市科学技術戦略課課長 中山秀之氏 インタビュー前編

「地域の方々と一緒に考えていける自動運転」を目指しているヤドカリドライブにとって、現地の方々の声はとても大切な要素です。
各地で行っている実証実験では、乗車後アンケートや関係者へのインタビューなどを行い、そこから得たアイデアやアドバイスを今後の開発のために活用しています。
【#VOICE】では、自治体の担当者の方へのインタビューをご紹介します。初回は2024年9月末から10月上旬にかけて実証実験を行なった、茨城県つくば市。つくば市科学技術戦略課課長の中山秀之氏へのインタビューを前後編に分けてご紹介します。


安部
今回のヤドカリドライブの走行実験は、つくば駅前のペデストリアンデッキ*を使わせていただきました。つくば駅を象徴する本当に巨大な遊歩道です。おかげさまで天気も良く、外でのインタビューとなりましたが、どうぞよろしくお願いします。 

中山
よろしくお願いいたします。

今回お話を伺ったつくば市科学技術戦略課課長の中山秀之さん(左)
聞き手のヤドカリドライブ プロジェクトリーダーの安部(右)

つくば市について

安部
つくば市と言えば、筑波山が非常に有名な場所ですが、このつくば市のことについて教えていただきたいと思います。まず、今、人口はどのくらいでしょうか。

中山
そうですね、今、約25万5000人ぐらいだったかと思います。毎年4、5000人ずつ人口が増えていまして、昨年度(令和5年度)は政令指定都市を除いた一般都市の中では人口増加率が日本一だったと聞いています。

安部
すごいですね。つまりそれはここに住んでみようっていう方が増えているということだと思うんですけども、つくば市を選んでくれる理由、それはどんなことになるとお考えでしょうか。

中山
はい。今はつくばエクスプレスという鉄道が秋葉原からつくばまで、最速で45分で結んでいます。そういった環境から、通勤するために家を建てようとか家を買おうという方が増えているのかなと思います。あとは市民意識調査を2年に1回アンケートをとっているんですけれども、あらゆる世代で「教育環境がいい」ということで選ばれているということが示されています。
あとは、JAXAをはじめ、大きい研究所や大学がたくさん集まった研究学園都市ということで科学に親しみやすい環境とか、このペデストリアンデッキ*のように整ったインフラですとか、あとは緑が多いとか、住むにもすごく良い環境なのかなということで、そういった意味で選ばれてるのかなと思います。

ペデストリアンデッキの並木道を走るヤドカリドライブ

安部
たしかに、街の中心街で、すごく緑も多いですし、今回も走らせていただいてますけど、ペデストリアンデッキ*の並木道は本当に気持ちいい場所だなと思います。市役所には中山さんの所属されている科学技術戦略課という課がありますけども、つくば市は、科学あるいはグローバル都市の印象が非常に強いと思います。そういった特徴も市民の方にとっての魅力の一つになっているんじゃないかなと思うんですけど、いかがでしょうか?

中山
ありがとうございます。そうですね、良くも悪くも、つくばは科学技術が地場産業と言えるのかなと思っておりまして、これを都市の魅力にいかに変えていくか、あるいは市民生活をより豊かにできるかというところが、この街の大きな特徴の一つかなというふうに思っていますので、そこの長所をいかに伸ばしていけるかっていうのが我々の課の大きなミッションかなというふうに思ってます。

*ペデストリアンデッキ:大型の公共歩廊のこと。歩行者専用の上空通路で、歩行者と自動車を立体的に分離し、安全性を保って快適に歩けることを目的として設置されている。

東建コーポレーション ウェブサイト

つくば市の自動運転

安部
つくば市はこれまでも、スマートシティー*としての取り組みが大いに先端技術の戦略特区として、今でも試験的に自動運転バスを走らせたり、自動運転に非常に積極的に取り組まれている街だなという印象もあるんですけども、私たちが言うのも変なんですが、なかなか自動運転を導入するっていうのにも非常に課題がたくさんあると思います。今回は我々のようなスローモビリティ*の自動運転、これをどんなところに使っていこうというふうにお考えでしょうか。

中山
何日間かこのペデストリアンデッキ走っていただいてお感じになってるかと思うんですけども、つくばの特徴の大きな点としては、市民の科学技術に対する理解、いわゆるリテラシーが非常に高いという特徴があります。もう20年近く前からなりますけれども、このエリアで自動走行するロボットを走らせるコンテストを実施したりですとか、少し前にはセグウェイとか、そういった乗り物もこの辺でいろいろ実証してまいりました。
そこで、市民にそういったものをどう還元していくかと言ったときに、このエリアはとても公園が多いんですけれども、子育て世代が多いという特徴もあって、できればお天気のいい日にちょっとそこまで行ってみようかなって思った時に、小さいお子さん連れでも気軽に散策できるような、そういう空間にしていきたいなっていう思いがありまして。なおかつ自動運転というのは私の考えですと、運転支援技術の究極の姿かなと思ってまして、そうすると運転者の方が全くいないってことはすぐにはないとは思うんですけれども、かなり安全に運転していけるということで、安全に快適に、この中心地区をのんびり散策していただけると、そういったところにすごく魅力を感じるところですね。

つくば市役所で子ども向けの乗車体験ワークショップも行った

安部
たしかに夕方ぐらいになると、お子さんを学校に迎えに行ったりとか、そこから児童館に連れていったりとか、また児童館から塾に、あるいは習い事に連れて行く保護者の方の負担は非常に大きいんですよね。ですから、そういったところを自動運転にすることで、無人じゃないにしても、誰か一人、保護者の方が乗っていただいて、数人のお子さんを安全に送り届けるようになれば、少し負担が消えていって、将来的にもそれが自動運転化していくっていう一つの方向性が見えてくるなというふうには思いますね。
それにおっしゃる通り、本当につくばの方はこういう技術に慣れてらっしゃるなって思いました。今度何をやるの?みたいな感じで興味を持っていただけてますし、やっぱり自動運転は技術だけじゃなくて、住まれている方との共存というものが非常に大事だと思ってますので、今回はこの実験の中でもそういったことを感じられる実験になりそうだなというふうに思っています。

*スマートシティ:グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT 等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域

内閣府 ウェブサイト

*グリーンスローモビリティ:時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスで、その車両も含めた総称です。導入により、地域が抱える様々な交通の課題の解決や低炭素型交通の確立が期待されます。

国土交通省 ウェブサイト

>インタビュー後編はこちらから

こちらの記事はインタビュー動画を再編して掲載したものです。

>動画をご覧になりたい方はこちらから

#自動運転 #ヤドカリドライブ #つくば市 #移動支援 #地域創生

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