「魚供養」の絵(2) 「死と隣り合わせ」
「魚供養」の絵(2)
「死と隣り合わせ」
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一年に一度か二度漁師が行う儀式。
我が生計を授けていただいた魚介類への感謝と弔いの「魚供養」の絵に何か祝詞を書き添えたいと、私なりに考えた。
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大自然の恵み、
命に感謝し
冥福を祈ります
八百万の神、
海神、綿津見よ
海の幸の命への弔いと
それらをいただく我らが身を
祓い賜え浄め賜へと
恐み恐み申す
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ヒントにした神道大祓の「祓い賜え浄め賜へと恐み恐み申す」の言霊にはとても強い「力」が宿っているそうだ。
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「魚供養」の作品に線香を焚いて命を吹き込んだ後、コバエ(小蝿)の死骸が作品の周りに群がった。なぜか作品の上にはその死骸がなかったのは、画面に記した神道大祓の「言霊」の効力が関与してる気がしてならない。
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そういえば今回の一件で、コバエの大発生の話がもう一つあったのを思い出した。それは15年ほど前。母の体験だ。
私が大阪で展覧会を開催している時のこと。母と親戚が来てくれることになっていた日の朝の出来事。
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早朝に私の携帯に電話が鳴り、「今日大阪には行けやん」と母が言う。
仏壇に毎朝お供えしている炊きたてのご飯とお茶があって、いつものように挨拶かねてお供えしに行くと、一体この仏壇の空間のどこにいたんだろうというほどの、見た事もないような大群のコバエが突如仏壇の中から一斉に舞って現れたらしい。
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母は不吉に感じて、もしや朝沖合にでた父や弟の身になにか起こるのかも知れない。出歩くなと言うサインに捉えたそうだ。
結果何も父や弟の身には起きなかったけど、家を開けていたら結果は違ったかも知れない。
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『死と隣り合わせの仕事』
子供の頃から沖合に出たらもう二度と家には帰れないかも知れない、父の仕事が死と隣り合わせであることを子供の頃から教えられてきた。
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昨日家で父と大酒を飲み交わし、私の頭を撫でていた父の親友のおっちゃんがさっき海で死んだ、とか、誰々が貝漁の最中目の前で死んで行った…など、父の漁師仲間が海で死んで行く様を日常的に見聞きしてきたため、漁師が海で死ぬことが私の身近にあった。
「海」は、大きな恵みをもたらすものと同時に怖い存在である事を叩き込まれていた。畏れみをもてと言わんばかりに。
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「自然相手」と例えられるように、思い通りにならない大きな存在に対し神仏にすがったり、縁起担ぎに殊更こだわる様も、誰にでも備わっている第六感への感覚の研ぎ澄まし方も、親を見てると尋常ではなかった。
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野性的で本能的だった。
「死」がすぐそこにあったから。
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今回、「魚供養」の絵に私なりに命を吹き込んだあとコバエ(小蝿)が大発生した事件で、親が研ぎ澄ましていた第六感や野性的な感覚を振り返る。
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『死を意識するとパフォーマンス力が高まる』
昨日親友が私に投げてくれたキーワードだ。
さらに今回の魚供養の絵の制作で大きな気づきをえた話を、次回につづけたい。(が、それはこの展覧会が終わるころになるかもしれない)
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※件の親友が教えてくれた。
蝿の出現には変化の意味合いがあるそうだ。
ちなみに絵に出現した大群のコバエの出現を不吉なものとして私の第六感はキャッチしていない。
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【企画展】矢田勝美 展 「船霊といのり」
【日程】2020年7月20日~10月11日
【会場】鳥羽市立 海の博物館
@sea_folk_museum
【住所】〒517-0025 鳥羽市浦村大吉1731-68
【開館時間】9:00~17:00
【TEL】0599-32-6006
【入場料】大人800円/大学生以下400円
※コロナウィルスの影響により変更の可能性有
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1週間前