「魚供養」の絵(1)_本当にあった不思議な話。
「魚供養」の絵(1)
本当にあった不思議な話。
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海の博物館から「祈り」をテーマに共同の展覧会を考えている、過去の展示作品2枚(大)を借りれないかとのお話をいただいた。(最終的には私オンリーの展覧会となった)
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過去の大作2枚のうち一枚は捨ててしまっていたし、せっかくなので新たに1枚描き下ろそうと制作し始めた。
「祈り」がテーマなら「魚供養」はどうかと閃いた。
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それから幾日か経ったある日のそろそろ作品が仕上がるタイミングの深夜。
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「せや、これは【魚供養】の絵やし、この絵に命を吹き込んでやろう」と、部屋中に線香を焚いて私なりの弔いの儀式を粛々と始めた。
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黙々と立ち上がる線香の煙のなかで、
最後の仕上げにとりかかる。
命宿れと念じながら。
そうして、ようやく作品が「完成」した。
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翌朝目を覚まし、その作品を広げた部屋のベランダに干してある洗濯物をとりに行こうと窓を開けた途端、今まで見たこともないような、大群の黒っぽい埃(に見えた)が一陣の風のごとく舞い上がって、勢いよく私の部屋に入ってきた。
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ベランダに干してある洗濯物に何処からか埃がついて、風向きで部屋に入ってきたのかと、次々と体に覆いかぶさるそれらを手で払いのけるのがやっとでとっさに窓を閉めた。
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寝ぼけてたし、一瞬何が起こったのかわけわからず、とりあえず台所に移って洗い物を片付けて続けたのち、家中掃除機をかけ始めた。
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絵が置いてある部屋にも移動したその時なんと!!絵の周りに大量のコバエが死んでいたのが目に入った。
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見たことのない大量のコバエが法則的に密集して絵の周りを囲んで死んでいた…(怖)。
さっき私を目掛けてきた大群の埃と思われたそれはコバエだったのだと知ってゾッとした。
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絵の周りを囲む不気味なコバエの死骸をなぞるように掃除機をかけまくった。
吸っても吸ってもまだあって、なんと絵の下にも潜り込んでいた(泣)。
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まず不思議だったのは、コバエの死骸は作品があるその部屋だけだったこと、作品の上にはほどんど載ってなかったこと。そして、なぜ死骸?
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昨晩この絵に命を吹き込んだ翌日なんてタイミングが良すぎはしないか?
コバエの大群が一陣の風のごとく部屋に入ってくる、しかも大量死なんて初めての体験だった。
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そうこうして展覧会が始まったのち、ふとした話の流れから、そういえば!と親友にこの話をした。
私の話を聴いた途端に親友が鳥肌を立てながらこう言った。
「コバエは食べ物に群がる習性がある。絵の中の魚に寄ってきたんだろう」と。
「コバエの死骸よりも、絵の中の魚にコバエが群がってきたということに鳥肌が立った。魚が大物だったから、それだけのコバエの大群が来たのだろう」とも。
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ゾッとしたし合点がいった。
この奇妙な出来事の意味が私の中で腑に落ちた。
そして、その絵に確かに命が吹き込まれたことを確信した。
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いろいろ思うことはあったけど、こんなことってあるんだな。
今目に見えてる物質世界こそが空想で、目に見えない想念の世界こそが本当(リアリティ)なんじゃないかって改めて考えさせられたりもして。
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「魚供養」の絵を作っている時にあった不思議な話です。
単なる偶然、思い込みの空想話かもしれないけれど。
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【企画展】矢田勝美 展 「船霊といのり」
https://yadakatsumi.com/news/3872
【日程】2020年7月20日~10月11日
【会場】鳥羽市立 海の博物館
@sea_folk_museum
https://instagram.com/sea_folk_museum?igshid=w40fqaos3cfr
【住所】〒517-0025 鳥羽市浦村大吉1731-68
【開館時間】9:00~17:00
【TEL】0599-32-6006
【入場料】大人800円/大学生以下400円
※コロナウィルスの感染拡大の影響により、変更の可能性有
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写真 : 永田沙織
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