#285 キャラ貫きすぎて、なに喋ってるのかわからない男
「みなさんこんにちは!本日もニコニコクッキングのお時間がやってまいりました。ミヤケコウジです。えー、本日のテーマは【筋トレごはん】。最近筋トレされている方、増えていますよね。今日はそんな方々にぴったりな高タンパク筋トレごはんのレシピを紹介していきたいと思います。それでは本日の先生をご紹介していきましょう。筋トレ料理研究家、マッチョ春風先生です。」
ミヤケの紹介で、ソフトモヒカンにタンクトップ姿のマッチョ春風がカメラの前に現れた。
「マッチョ!マッチョ春風でございマッチョ!よろしくお願いしマッチョ!」
春風はサイドチェストのポーズを決めた。
「あ、よろしくお願いします!さあ、マッチョ先生!本日のメニューを教えて下さい!」
「マッチョ!本日のマッチョはダイエットや筋トレにピッタリマッチョッチョ!鶏ささみとナスの黒酢マッチョでございマッチョ!」
「はい?えーっと、鶏ささみとナスの黒酢マッチョ?」
「マッチョ!そうでございマッチョ!」
「なるほど・・。」
「低カロリーでタンパク質がマッチョな鶏ささみを黒酢とマッチョすることで、マッチョたちにとって非常にマッチョなマッチョッチョがマッチョすると思いマッチョ!」
「ん、え、なんですか!?」
「もう想像するだけで筋肉がマッチョしちゃいマッチョねえ!」
春風は再びサイドチェストのポーズを決めた。
「・・・さあ、それではレシピの紹介を・・。」
「いやちょっちょマッチョー!そこはツッコんでくれないッチョ!もうミヤケさん、プロテイン抜きー!」
春風はカメラを指差しながら大きな声で叫ぶ。ミヤケは隣で戸惑うことしかできなかった。
「あ、はは・・。先生、レシピの紹介を・・。」
「マッチョ!まずは鶏ささみ、200マッチョ!」
「200マッチョ?200グラムということでよろしいですかね?」
「ナス2マッチョ、片栗粉マッチョッチョ!」
「え、マッチョッチョっていうのはー・・・?」
「黒酢が大マッチョ2.5、醤油が大マッチョ1.5、みりん大マッチョ1、砂糖大マッチョ1でございマッチョ!」
「えーっと・・それでは早速調理の方に・・・」
「いやちょっちょマッチョ!まだ残ってマッチョ!」
「はい?」
「仕上げに小ねぎといりごまをふりかけマッチョ!ミヤケさん、せっかちマッチョね!乳酸溜まってきてるんじゃないですかー!?」
「え?へへ・・。」
「そんなんじゃプロテイン抜きですよー!?」
「そのプロテイン抜きっていうのは・・・ギャグっていうことでよろしいですかね?」
「それでは調理の方、始めていきマッチョ!よろしくお願いしマッチョ!」
「・・・よろしくお願いしまーす!」
ここで一旦カメラがストップし、ディレクターが調理器具を準備し始めた。
「ありがとうございました。」
春風はミヤケにお辞儀をした。
「いやー、こういうテレビ番組に出るの初めてなので。すごい緊張しますね。」
「・・・え?」
「ボクがやりやすいように進行していただき、本当にありがとうございます!」
「・・・あ、オンとオフの切り替えるタイプなんだ。」
ミヤケは思わず呟いた。
「この後もよろしくお願いします!」
「そこはよろしくお願いしマッチョって言わないんだ。すごい、裏ではめっちゃ腰低い。」
「ふー。」
春風は台本の流れを確認し始めた。
「本番もこの感じでいてほしいなー。本番中なに喋ってるのかよくわからないんだよなー。でもきっとすごい真面目な方なんだろうな。真面目ゆえにキャラ守ってああなってるんだろうな。」
ミヤケがそんなことを漏らしていると、準備が整い撮影が再開した。
「さあ、先生!それでは早速調理の方に参りましょう!」
「マッチョ!よろしくお願いしマッチョ!」
「・・・よろしくお願いします。」
するとディレクターからカンペが出た。
「ん?ここからはもう一人ゲストが来ている?マッチョ春風さんの相方さん?・・・マッスル南川さんです!どうぞ!」
ミヤケの呼び込みでタンクトップ姿のマッスル南川が現れた。
「よろしくお願いしマッスル!」
「似たようなやつ出てきたな・・。」
「待っていたよ、マッスル!しっかりとトレーニングは積んでマッチョか?」
「マッスルマッスル!」
「おいおい!そんなんじゃプロテイン抜きー!」
「ちょっと!お願いしマッスルよ!」
「なんだこいつら!そもそも相方ってなんだよ!あの、すみません!調理の方始めていただいてもよろしいでしょうか!」
「マッチョ!それではまずマッチョする食材たちを包丁でマッチョしていきたいと思いマッチョ!」
「マッスルマッスル!」
「おい!マッスル!パンプアップしている暇があるなら、調味料をマッチョさせておいてくれ!」
「マッスルマッスル!」
「おい!マッスル!何のために呼ばれてると思いマッチョ!そんなんじゃプロテイン抜きー!」
「お願いしマッスルー!」
「ちょっと1回止めてもらっていいですか!」
ミヤケは思わず収録を中断した。すると春風と南川は心配そうに尋ねてきた。
「あ、すみません!何か流れと違っちゃってましたか?」
「あの、自己紹介遅れました!マッスル南川をやらせていただいてる、ハセガワと申します。」
「なんでいい奴らなんだよ!」