オリンピックは中止すべきだ。
コロナ感染が話題になり始めたころ(いわゆる第一波のとき)、私はこんなことを書いた記憶がある。
コロナが終息し、コロナ対策の検証が世界で始まったとき、日本はきっと責任を追及される。安倍政権は、クルーズ船検疫で非常に「甘い」対策を取った。甘い対策にもかかわらず、日本のコロナ感染はそれほど広がらなかった。これは世界に誤解を与えた。厳しくい対策をとらなくても大問題にはならない、と油断を産むきっかけとなった。乗船客を徹底検査し、陽性者は病院に隔離するという形で封じ込んでいたなら、それはコロナ対策の手本となったと思う。そういう手本を示せなかっただけではなく、逆に「甘い対策でも問題がない」という印象を与えてしまった。
きのう7月23日に東京オリンピックが始まったが、このこともきっと事後検証のとき、絶対に問題になる。コロナは変種株がつぎつぎに生まれている。東京の感染者が急増している。そのときに「安心安全」という菅のことばを「証明する」ために、強引にオリンピックが開催された。不安、危険がいっぱいなのに、菅の嘘によって大会が強行された。
きっと感染者が急増する。だいたい「バブル対策を取るから安全」といっていた選手村からも感染者が出ている。選手の入村からまだ間もないのに、である。世界から選手がやってくることで、新たな変種株が生まれるかもしれない。それが世界に拡大したとき、菅は、どう責任をとるつもりなのだろう。コロナを封じる対策をとらずに、逆に、拡大させる危険性のある対策を「安心安全」という名のもとで強行した。このことは、絶対に問題になるはずである。
日本だけではなく世界でもコロナ感染は拡大し続けている。読売新聞の一覧表によると、フランスの感染者累計はもうすぐ600万人に達しそうである。以前、600万人目前というときに、突然累計が560万人に減らされた。それなのに再びまた600万人に近づいている。もうすぐロシアの累計感染者数を上回りそうである。ヨーロッパでは、一時期ドイツの累計感染者がスペインの累計感染者を上回ったことがある。ちょうどフランスの数字が600万人目前から560万人に「操作」されたころである。そのスペインとドイツの累計感染者だが、いまはスペインがドイツを50万人近く上回っている。(スペイン424万人、ドイツ375万人)。これは、どんなに少なく見積もっても、私が以前にこの問題を指摘して以来、フランスでは40万人近く、スペインでは50万人以上が新たに感染しているということである。感染拡大は、止まりそうにない。
スペインでは3回目のワクチン接種を検討しているという。ただし、ワクチン接種が進んでいない国、地域でのワクチン接種を優先させる、という注釈付きの政策らしい。アルゼンチンでは、実際に3回目の接種をした、という人もいる。(フェイスブックに本人の写真入りで載っていた。)私のような、通りすがりのネットサーフィンでもつたわってくる情報だから、コロナ対策に取り組んでいる人や、その報道をしている人は当然知っていることだと思う。もっと「先」の情報も知っているはずである。
「安心安全」を標榜するなら、そういう情報を国民に周知させる方策を取った上で、具体的な対策をとらないといけない。口で「安心安全」というだけで巨大イベントを実施するときではない。
読売新聞にはほとんど書かれていなかったが、開会式会場周辺には大勢の人が集まったということもインターネットには書かれている。反対のデモもあったとも載っている。菅の「無観客=安心安全」は、会場内限定のことであって、会場外のことは知らない。会場外は、あくまで「自己責任」であって、菅の責任ではない、と言うつもりなのだろう。
一方で、選手を集めて「安心安全」「感動を与える」と言っておいて、感動を求める人をほうりだしてしまう。すべて「自己責任」にしてしまう。人が集まらないようにするためにはどうすればいいのか、何をするべきなのかをまったく考えない無責任な政治が、きっととんでもない結果を引き起こす。
いま中止すれば、まだ感染拡大が、さらに拡大することは防げるだろう。始まってしまったのだから、最後までやる、というのではなく、始まって危険性がわかったからこそ、すぐに中止する、という決断が必要なのだ。会場が広い、北海道のマラソンコースは開会式周辺よりも混雑することになるかもしれない。開会式周辺に集まってきた人よりも多くの人が沿道に繰り出すかもしれない。