情報は「公開」されているか

 北朝鮮のミサイル発射について記事を読んだときも感じたことだが、「情報」は完全に公開されているのか、非常に疑問に思う。
 たとえば、2022年03月25日の読売新聞(14版、西部版)の2面に、コロナワクチンについて「4回目接種 5月にも/政府方針 感覚短縮 議論へ」という記事がある。
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 政府は24日、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種を巡り、当初の想定から1か月前倒しし、5月にも始める方向で検討に入った。昨年12月に開始した3回目接種からの間隔を当初の「6か月以上」の想定から短縮するかどうかについて、厚生労働省の専門家分科会で議論する。
 専門家分科会は24日、政府が4回目接種を公費で行う「臨時接種」として準備を開始することを了承した。厚労省は分科会で、4回目も米ファイザー製か米モデルナ製を使用し、3回目との間隔は「6か月以上を基本としつつ、諸外国の動向を踏まえ改めて検討する」との案を示した。
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 すでにファイザーが「4回目接種」を米政府に要請したというようなニュースが先日あったが、読みながら思うのは、えっ、コロナ感染は終息しないのか、ということである。まだまだ拡大すると「専門家」あるいは「政府関係者」は見ているのか。
 その根拠は?
 オミクロン株のときもそうだったが、「感染力が強い」という報道があり、あっというまに感染は拡大した。感染力が強いという情報は正しかったわけだが、なんというか……そんなに危険なことがわかっているなら、もっと他の方法があっただろうと思うのに(たとえばワクチン接種を急ぐとか、規制を厳しくするとか)、どうも対策が「後手後手」になっている。
 「4回目を前倒し」という計画を持っているということは、「コロナの第6波」は確実にやってくるという「情報」がどこかにあるということなのではないのか。もしそうであるなら、それをきちんと知らせるべきではないのか。
 日本では「規制解除」政策が取られたが、それでよかったのか。
 たとえば、ここ数日の新規感染者。読売新聞の報道では、
22日、2万0231人、
23日、4万1038人、
24日、4万9930人、
 と増えている。それなのに、25日の新聞(web 版)は「都内8875人、医療提供体制の警戒レベルを引き下げ」という見出し。
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 国内の新型コロナウイルス感染者は24日、全都道府県と空港検疫で4万9930人確認された。死者は126人、重症者は前日より25人減の891人だった。東京都の感染者は8875人で、1週間前から414人増え、3週間ぶりに前週の同じ曜日を上回った。病床使用率は28・7%で、約2か月ぶりに30%を下回った。都は4段階で評価する医療提供体制の警戒レベルを最も深刻なレベルから1段階引き下げた。
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 見出しに「嘘」は書いていないが、なぜ「医療提供体制の警戒レベルを引き下げ」の方に注目させる? 「印象操作」ではないのか。
 ふつうの市民が知り得ない「情報」がどこかにあり、私たちは、その「情報」にふりまわされて「現実」を見ていないか。
 だいたい、読者が前の日の新聞を引っ張りだしてきて、ほんとうに減っているのか増えているのか確かめないといけないというのは、「情報」のあり方としておかしいだろう。
 日本の感染状況だけに限らない。累積感染者はフランスは2468万人、イギリスも2000万人を超え、あのドイツでさえ2000万人目前。隣の韓国も1000万人を超えた。この状況を分析した「情報」がどこかにあるはずだが、それが伝わってこない。
 コロナ感染のような、実際に「身近な問題」でもこうなのだから、ロシア・ウクライナ情報になると、「見えない情報」が無数にあるはずだ。
 たとえば、アメリカの軍需産業は、今回の問題でいくら儲かっているのか。(儲かると予測を立てているのか。)あるいは、スイスまでロシアへの経済制裁に参加したが、スイスの銀行でさえ、今回のコロナの影響で経営が苦しくなっているのか。
 もっと身近なことを言えば。
 ロシアからの天然ガス、石油の輸入がストップすることで、日常消費の物価はどれくらい上がるのか。ガス代、電気代だけではないだろう。きっと「想定」があるはずだ。その「想定情報」を知っているのは誰までなのか。なぜ、市民は知らされないのだろうか。
 原料の値上げを、企業は商品(サービス)の値上げに転嫁できる。赤字にならずに方法がある。しかし市民には対処方法がない。どれが適正な値上げなのかも判断できない。きっと「便乗値上げ」によってもうかる企業も出てくるはずだ。「いまは消費者が苦しいとき。企業は内部留保している利益をいまこそ市民のために提供しよう」というような企業が出てくるとは思えない。トヨタがその「旗振り」を買って出るとは思えない。連合か、企業に「内部留保を吐き出せ」と要求するようには思えない。

 ネット上ではいろいろな「ことば」が飛び交っているが、「情報」はどこにあるのか。見極めることがむずかしい。「情報」を探し出すのがむずかしい。
 私は貧乏なので新聞は一紙しか取っていないが、複数の新聞を読み比べれば何かもっとわかるかもしれない。ネット時代で「情報」があふれているようにみえるが、実際は、情報をあふれかえさせることによって、ほんとうに大切な情報を隠すという操作がおこなわれているかもしれない。


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