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私の光る君へ14

〜大河ドラマ『光る君へ』第14話「星落ちてなお」雑感〜
 今回もまだ990年です。
 まひろは土御門邸で、道長と四年ぶりの再会をします。柄本・道長のもの凄い顔は、驚き以上の顔で、その後の妻、黒木・倫子、まだ幼い彰子への反応も、とても変です。倫子さん、毎度毎度、こんな反応なのに、道長のことを随分面倒みてくれて、彼の出世も彼女のおかげなのだから、大変りっぱな、或いはスゴイ女性です。彼の兄、道隆の妻、高階貴子(演・板谷由夏)もスゴイ女性ですから、東三条殿の男性たちは、皆、なかなかスゴイ女性達に支えられたことがわかります。
 
 天神様・菅原道真公をはじめ、沢山の怨霊の存在が信じられていた時代。末法思想が強く生きていた時代。死期を悟った、段田・兼家は嫡妻所生の三兄弟を前に、長男、井浦・隆家への後継を託す。
 汚れ役をした、玉置・道兼は物凄い顔で!「とっとと死ね」と父を罵り➖しかしその言葉に最も傷ついていたのは、道兼自身、という、四人の役者さんたちの演技がミモノでした➖!!玉置玲央さん〜イヤな役をよく演じて〜道兼は妻にも逃げられる〜ヤナ男なんでしょう(-_-;)〜更に、この後(枕草子の世界の後)、記録に遺る「七日関白」の演技がまたミモノでしょう。
 
 で、道綱とその母の場面。『蜻蛉日記』を「あれは良かったなぁ~輝かしき日々であった」と讃え、道綱母に手を握られながら、衰弱の顔に笑みを浮かべて語る兼家。「右大将道綱母」は、ものすごくっ❤兼家さんに愛されてたんだ➖あぁ良かったわぁ➖と、千年の勘違いを溶いたのか、更に勘違いを重ねたのかも〜の、段田・兼家と財前・道綱母の暖かい場面でした。
 (間に明子女王の呪詛を挟んで)次の、庭で月を見上げる最期の場面。段田安則さんが、本来は舞台役者であることをしみじみ、堪能させてもらいました。私はこの人の、笑う時、目に浮かぶ愛嬌が、けっこう好きです✨兼家、ご苦労さまでした。(回想でまた会えるのでしょうが)
 
 兼家の死の場面の月を使った、照明効果も良かったです〜✨段田さんの顔と月とのコンビネーションは、「能」を観るように哲学させてくれました。藤原氏に於いては、摂政・関白と呼ばれる地位に就くものが「氏の長者」(大鏡における大殿)であり、一族を率いるという立場でありつつ、藤原鎌足以来、倒し続けた幾多の名のある、政敵の怨念を引き受ける立場になるんだ❢〜The・日本史なんだ!!〜と血に染まる月をカッと見据える段田さんの演技に、勉強させてもらいました~(泣)だから、小さな私憤なんかで名も知らぬ通行人の女(まひろ母、演・国仲涼子)を殺すような、器の小さな人間(道兼)に受け留められる「立ち位置」ではないのだと、段田さんがヒトリ能を舞うように大きく演じ、玉置玲央クンが、殊更「卑小」に演じた、対称の妙が良かったです✨
 
 源明子さん(演・瀧内公美)の、呪詛の場面。彼女の役の設定を「六条御息所」へのオマージュだなんていう説明を、どこかで見ましたが、それは六条御息所が可哀想です〜あくまでも私の私情〜。六条御息所は光源氏の正妻・葵の上を、生霊となって殺す。しかし、物語の中で、六条御息所は我が身から抜け出ていく、我が生霊を嘆き、志半ばで逝った父大臣の怨霊という噂がたったことを「申し訳ない」と思い嘆いている。父・源高明の敵を取りたいという、明子さんはある意味、とても現代的で、正反対の女性だと思います。
 流産した明子を見舞い、「お前を笑顔にできない自分が情ない」なんていう、柄本・道長は、倫子さんと比べて、どうもこちらを愛してる。それは、本能的に、醍醐源氏とか、藤原氏北家とか、家系の呪縛から逃げ出せない者同士としての、愛情かな⁉!?柄本・道長氏は、今三人の女性との愛情関係を演じなければならず、その顔つき、目つき、に明らかな差を付けているので、どんな思いが隠されているか、まだまだ解明していく楽しみがあります。
 
 父の指示で、道兼に付いた公任(演・町田啓太)が、碁を打ちながら、斉信(演・金田哲)に、道隆に付かなかったことをぼやいています。その横で、行成(演・渡辺大知)は、何やら読み物か書き物か、涼しげに正論を語っています。この三人、ここ数回目立たず、これから華やかな「枕草子ワールド」の貴重なキャスティングのはずです。
 が、更にそこに不可欠な美形公卿二人。妹・定子(演・高畑充希)のお陰で、帝に気に入られ、17歳で蔵人の頭になり、宮中の女房たちにキャーキャー言われているのは、道隆(演・井浦新)の息子、伊周(演・三浦翔平)です。教育ママの貴子母の下、行く末は「関白」間違いなしと育てられたのでしょう。弟、隆家(演・竜星涼)共々、波瀾に富んだ、その生涯の展開は、『光る君』前半の中心の華になるでしょうから、まっ、とにかく楽しみです。
 
 公卿たちは、秋山・実資を筆頭に、道長も、道隆の身びいき人事に苛立ってます。道隆は、更に強引に、定子を中宮にしてしまいます。道長に公卿達を説得しろと、命じてもいます。道長の検非違使庁の改革案など、「下々のことは下々に任せておけ!」と、相手にしてくれない。井浦・道隆、イイ人だった気がするのですが~氏の長者になると、何かのり移るのでしょうか。秋山・実資さんが出てくれば、「あり得ぬ」の連呼。今回は公卿みんなで、道長さんも「有り得ませぬ」。今後はだいたいそういう設定で、実資&道長が、当面いい感じのコンビになるでしょう。実資さん、赤痢も克服し、若くて高貴な北の方、婉子女王を迎えたみたいです。堅物のようで、妻妾沢山。
(位を降りた天皇の后妃の呼び方は、実はなかなか難しいらしく、令和になる時も、「美智子上皇后」になりました、と発表がありましたよね~)
 
 ききょうとまひろに、伊周(演・三浦翔平)の花嫁探しの為の、歌会の判者のバイトが入り、平安女流作家ニ大巨頭の交流が再開する。ききょうは、バリバリのキャリア志望。「私は私の為に生きたい、その事が他の何かの役に立つような生き方をしたい〜」。まひろは、まだ自分探しの途中で、ききょうに何かしらの刺激を受けるでしょう。文字を教えていた、たねの父に言われた「俺等あんたらお偉方の慰みもんじゃねぇ➖」が、心にひっかかっています。直秀に言われた「をかしきことこそめでたけれ」を思い出して、自分のできる事、自分の好きな事で、人の喜ぶことを、まもなく見つけてくれるはずなのですが〜紫式部先生ならば❢


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