「くもをさがす」
西加奈子さんががんにかかっていた、ということを知った時なんともいえないショックを受けた。
生命力にあふれてて強いメッセージがこめられている小説を書く人、というイメージがあったからだと思う。
留学先のカナダでがんにかかっていることがわかり、治療を始め寛解になるまでのことが書かれているこの本は、闘病記は闘病記なんだろうけど、次々と起こる出来事について淡々と書かれているせいか、湿っぽいところがない。
読み進めながら、その湿っぽさがないところに拍子抜けしてしまって、私は西さんががんを宣告され混乱し泣きじゃくり、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったような闘病記を求めていたのかも、と思い始めて、自分を少し恥じた。
でも最後の方で西さんの気持ちが書かれている箇所を読んで、私たちが大きな病気をしたり不幸な出来事があった時に感じる気持ちはこれだったんだな、と思えた。
しかし日本と比べるとカナダの医療事情には結構驚かされる。
日本が手軽に、でも手厚く医療を受けられる国だからだと思うけど、私だったらすぐさま帰国して日本で治療したいと思うだろうな。
日頃やりたい放題で無理難題をほんとーーーーうに気軽に医療従事者へ投げつけてくる患者さんは、一度外国で治療を受けてみればいいと思う。
おしまい。
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