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シアーな乳白色のなかに、あざやかなブルーやオレンジ、グリーンやイエローの遊色を見る鉱物──。
とは、ホワイトオパールの特徴で、数十年前に亡くなった祖母の誕生石でもある。
ホワイトとつくからには他にも色があるけれど、この記事で示すオパールはホワイトオパールに限りたい。
幼い頃、「宝石店のチラシ」を見ることを密かな楽しみにしていたわたしは、フルーツや野菜の名前よりも先に貴石の名前を覚えたように思う。
カラーのチラシを埋め尽くすさまざまな宝石たちはもうそれだけで本物のように輝いて見え、なかでもオパールにひたすら魅入られていた。
エメラルドやルビー、サファイア、ダイヤモンドに真珠。
どれも美しかったが、オパールにはかなわない。
小さな(紙面上では)その石の中に虹が閉じこめられていると、本当にそう思った。
いや、今でもそう思っている。
仕組みを知りたくて、国語辞典や百科事典をめくり、とにかく頭の中はくる日もくる日もオパール。
学校で鉱物標本や鉱物図鑑を見せてもらったり、親にせがんで宝飾品売り場まで連れていってもらったり、古代文明の遺跡から出土した王の装飾品に嵌め込まれたものを見たり…。
とにかくオパールばかりを追いかけて大人になった。
そして学生時代、自分好みの遊色効果を持った、涙型の小さなオパールのペンダントトップを手に入れた。
祖母の誕生石がオパールだと知ったのは、この時だった。
祖母とはわずかな時間を過ごすのみだったが、わたしは彼女が大好きだった。
後から知ったことでも、オパールを身につける素敵な理由を見つけられた気がしてうれしかった。