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この大窓は都内某所、某ホテルの28階ラウンジにある。
方角はわからないが高さはとりあえず床から天井、なんならこのラウンジだけなんと天井までガラス張り。
職業柄、耐震とかどうなの実際大丈夫なのなどと余計な心配をしてしまうが、心の奥ではどうにもこの意匠が好きらしい。
数日前、友人がいつかもう一人の友人と3人で行ったヨックモックのラウンジが懐かしいとメッセージをくれた。
彼女がその晩眠れていなかったのは気がかりだけど、
わたしはその晩素潜りしながら
なんかシガール食べたい
などと思っていたところだったから、起きぬけにメッセージを見てとてもびっくりした。
素潜りとはどうぶつの森の中での話である。
彼女とは年に一度か二度、冒頭のラウンジでのアフタヌーンティーに行く。
非日常、おいしいもの、おしゃれ。
そんなものを共有しながら、会話の内容は人生や芸術、アイドルからそこら辺の草まで。
頻繁に会うわけではない。
ただ頻繁に会わなくても好きな動画を交換したり、全然違う場所にいても何かの拍子にふとお互いを思い出したり、
まさに、シガールのことを考えながら素潜りをしているタイミングでメッセージが来ている、みたいなことが頻繁に起こる。
頻繁に会わないからこそ、意識しなくてもお互いのことを考える時間が多いのかもしれない。
そうして毎月彼女へ送っている手紙の6月分が、会社のデスクマットの下から発掘されたところであった。