1 新スタジアム建設に向けた考えについて R4.6定例会一般質問①
自由民主党の矢吹栄修です。例によって幕末の名言をひかせていただきます。
「地位か名誉か金か。いや、大事なのは目的だ」大阪経済の立役者、五代友厚の言葉です。
我々議員は、地位や名誉や金のために議員になったのではなく、何事かを成し遂げたいという目的をもって議員となりましたし、またそうあるべきと思います。これは人生そのものにも言えることだと思います。
政治行政は、現実路線の地道な仕事がほとんどですが、将来あるべき姿、将来目指すべき目的を見据えることが重要と思いますので、本日は私の考える山形の「将来の目的」を示しつつ質問させて頂きます。
1 新スタジアム建設に向けた考えについて
まずはじめに、新スタジアム建設に向けた考えについて伺います。
先日(株)モンテディオ山形の相田社長が、天童市の総合運動公園南側の特設駐車場に新スタジアムを建設したいと発表し、知事も県有地の使用に合意して頂きました。相田社長の壮大な構想力に賞賛を送るとともに、県有地使用の英断を下して頂いた知事に、天童市民一同、モンテサポーター一同を代弁して感謝申し上げます。
スタジアム建設については、建設するかどうかも決まっていないうちから建設場所の議論が先行し、誘致を表明した山形市と天童市の誘致合戦のような形になったのは、たいへん不幸なことだったと思います。実際、私も森谷県議も幾度となく県議会でスタジアムに関する質問をしてきましたし、天童市も市長をはじめ市民一丸となって誘致活動に邁進してきました。この間のことを思うと非常に感慨深いです。
しかし、もちろん天童市民として嬉しいというだけではなく、モンテの一サポーターとして山形県民として、我らが誇りであるモンテディオ山形のホームスタジアムが新たに建設されるということを喜びたいと思います。公正で平等な選定を経て建設予定地が決まった以上は、どちらが勝ったなどということではなく、新スタジアムを山形県の宝となるようなものにしていきたいと強く感じます。
そこで相田社長のスタジアム構想を記者会見などから推察するに、まさに山形の宝たり得るスタジアムとなるのでは、と思わせる夢のあるものとなっています。全天候型のドームで、サッカー以外の目的にも365日対応できるスタジアムをつくる。そのためには広さが必要であり、建設までの期間を考慮しても総合運動公園南側の特設駐車場が最適であるという選定理由でした。Jリーグの規定では天然芝でしか試合は行えないので、全天候型のドームでは日光が芝に当たらないため、屋根を開閉式にするか、ピッチをスライドさせて外に出すか、という形になります。広い場所が選定理由だったことから、おそらくスライド式のものになるのだと推察します。天然芝の上に人が乗ると芝が荒れて試合が出来ないため、コンサートなどのとき観客をピッチの上にはあげさせられません。その点、スライド式でピッチが外に出せれば、365日、いつでもイベントやコンサートに使えるということになります。サッカースタジアムの枠を超えたイベントホールになることを期待させられます。
もちろん、スタジアムは単体では効果が薄いでしょう。サッカーの試合がないときでも、その場所そのものが楽しくなることが必要で、相田社長はそのような実績を過去に作ってきた人でもあります。そう考えたとき県の総合運動公園の隣接地という場所が意味を持ってきます。総合運動公園は県民やスポーツ関係者が年間百万人近く利用している場所です。それだけの交流人口のパワーを内在しているということであり、そこに新スタジアムという新たな核ができるのです。すでにあるスポーツ施設とも連動しながら365日楽しめる「一大ボールパーク」。それであってこそ、スタジアム建設が大きな意味を持ってくるでしょう。
そのためには、様々な課題もあります。例えば場所が市街化調整区域であることから開発するときの法的なハードル、商業施設を施設内で建設するときの許可、周辺に観光施設をつくるときの農地法などの規制、様々な法律や条令のハードルが予想されます。その上で、(株)モンテディオ山形が中心となった「一大ボールパーク構想」の展開に向け、ぜひ、規制ばかりを気にするのではなく、民間活力を十分に活かした「ワクワクする施設」となることを期待します。
また、建設予算という点でも大いに気になるところです。(株)モンテディオ山形は多くの民間の出資を募り、国からの予算も申請する考えで、もちろん天童市も基金などを用意しています。まだ建設予算の内訳などは定かではありませんが、県有地に建設される「山形県の宝」となりうる新スタジアムです。予算的な部分でも、絶大な支援と知事の英断を大いに期待するところです。
スタジアム本体の建設については、所有権と維持管理費の問題が出てくることでしょう。新スタジアムの所有者は(株)モンテディオ山形なのか自治体なのか。民間の会社が所有者となれば、莫大な固定資産税がかかってしまいます。また、施設の維持管理や修繕費用も問題になるでしょう。その点、例えば大阪府吹田市のスタジアムの場合、大阪府の土地を吹田市が借り受け、市が所有者となり、指定管理料をゼロで指定管理に出す、いわば民間企業に無償貸与し、施設の運営を一任した上で、生み出した利益の一部をストックして、将来の修繕費などに備える、という形を取っている例もあります。自治体は所有はしますが、運営費と修繕費を拠出する必要もなく、もちろん固定資産税もかからない。県有地に建つ施設であれば、こんな形式も有効ではないかと思います。
少し先走りすぎているようにも思うかもしれませんが、新スタジアムは2025年を完成目標としています。時間はあるようでもうギリギリのラインです。その間に、開発行為のハードルを越え、予算組みをし、所有や維持管理の調整をしなければなりません。そしてそこには県の存在が非常に大きいと思います。
ぜひ、県の宝の創生に向けて、モンテサポーターと多くの県民の期待に応えるべく、知事が英断を下されることを期待しますが、新スタジアム建設に向けた知事の考えを伺います。