エシカル消費について R3.6予算質問通告文⑥
次にエシカル消費の普及啓発について伺います。
以前、公益資本主義という考え方を提唱しました。元内閣府本府参与の原丈人氏が提唱したものです。アメリカなどの企業は、会社は株主のものとして利益追求を第一義とし、仮にリストラによって会社の利益が上がって株主に利益をもたらせば、その経営者は賞賛されボーナスをもらう、といった日本では考えられない風潮があります。対照的に日本では従業員・顧客・地域社会の利益も視野に入れて動く企業がほとんどです。アメリカ型の独善的な企業のあり方は儲けも大きいでしょうが短命となるリスクも大きい。むしろ日本の企業が培ってきた社会全体までの公益を考える姿勢を重視し、公益資本主義として世界と戦っていくべきという考え方が、公益資本主義です。
この考えに私は大いに賛同します。山形県は業歴100年以上の老舗企業の割合が京都に次いで第二位。地域に密着し、地域に貢献しつつ長命を保ってきた企業が非常に多いことがわかります。公益を重視する企業を評価する公益資本主義の考えを体現しうる県だと信じます。
供給側でその考えにたった時、一方で需要側としては、近年聞かれるようになったエシカル消費という言葉が重要性を持ってきます。エシカル消費とは倫理的消費と訳されます。被災地の特産品や障がい者の作った商品、エコ商品など、人や社会、環境、地域に配慮した商品を購入する消費行動のことを指します。コロナ禍で苦しんでいる地元企業に飲みに行ったり商品を買ったり、これもエシカル消費と言えるでしょう。実はこの動きは観光分野についても言え、特にヨーロッパなどでアンケートをとると、環境に配慮しているか否かで宿泊先を決めると答える人が多いという事実もあります。
安かろう悪かろうの大量消費ではなく、地産地消やエコを意識し、より社会や環境に良いものを買う。この考えは公益資本主義の考えと表裏一体で、企業が一生懸命地域や環境という公益に配慮すれば、消費者はそれを評価してエシカル消費行動に出るということになります。
これはSDGsの言う「つくる責任 つかう責任」に通じます。企業側が公益資本主義を追求し、消費者側がエシカル消費を追求すれば、相乗効果で地域経済は持続可能になっていきます。これは単に理想論をいっているのではなく、SDGsの考えに乗った地方の生き残り戦略だと捉えます。
少し高くても山形のいいものを買う、そして環境に配慮したものを買う。消費者がそうしてくれることで企業も公益に配慮していく。こうした循環が、山形経済の生き残りにつながると考えます。エシカル消費の県民への普及啓発について、防災くらし安心部長に伺います。
※実際の質問では時間切れでできなかった質問です