ダメ男とダメ男の相棒
そういえば、えと何年前だったかな。「ダメンズ」なんて流行り言葉がありました。
しかしね、あの頃言われたダメンズってかなりのクズなんですよ。だからああいうのはダメ男とは違う。
ついでに言うなら、ダメ男の読みは「ダメオ」ではない。「丸出だめ夫」じゃあ、ないんだから。ここで言うダメ男は「ダメオトコ」と読みます。
◆ダメ男にも薄暗い時期はある
本当は、薄暗い、なんてレベルじゃなかったし、本当にドン底もドン底だったんだけど、なるべくね、あんまり暗くならないように細心の注意を払いながら、アタシの暗黒時代の話を書いていきます。
時は2018年。この頃アタシは神奈川県に住んでいました。
もう、何があったかは書きたくもないから大幅に割愛するけど、仕事仲間が失踪する、という事態が襲った。
これでアタシの人生はメチャメチャになった。仕事は一切出来なくなるし、その他諸々、全てが暗転したんです。
その仕事仲間は猫を飼っていました。ところが無責任にも、猫までアタシに押し付けていったんです。
失踪自体を責めてるんじゃない。何らかの事情で、そうならざるを得なかったのなら、まァしょうがないのかもしれない。
しかし後始末が悪すぎる。何もかもを投げ出して、すべてをアタシに押し付けて消えたんだから。
それにしても、猫をどうするべきなのか。
いや、ただでさえアタシはダメ男なのです。
ものすごく正直に言えば自分のことだけで手一杯で、もっとはっきり言えば「生きることをあきらめよう」とさえ、思い始めていたんです。
そうは言っても、とりあえずは、生きてる間は、猫の面倒を見なくてはならない。猫だから散歩に行ったり、そういうことはないけど、餌をあげたり、適度にかまってやらなければいけないわけです。そんな余裕は微塵もないのに。
そんな、絶望的な状況のアタシを支えてくれたのが、前回最後に名前を出した「ぽんぽこ」だったんです。
ぽんぽこは必死になって、アタシを支えてくれていた。どんな状況でも味方でいてくれた。
そうだよな。お前、親に捨てられたってことになるんだよな
もしここで、アタシが生きてられないようなことになったら、二度も見捨てられたってことになるんだよな
こんなに必死で、支えてくれようとしてるのに・・・
状況は何も変わっていない。あいかわらず絶望の淵にいることには違いない。
でも、生きよう。これからの人生、何も明るい見通しはないけど、猫のためだけに生きよう。そう決めた。
だからね、ぽんぽこは誰が何と言おうと<ペット>じゃないんです。相棒、なんです。
◆ダメ男の心機一転
とりあえず、生きていく、と決めたからには「生きていける環境」を整えることから始めようと思いました。
そして、2019年の1月、アタシは神奈川県から生まれ故郷の神戸に舞い戻ったんです。
ここで、どうしても説明しておかなきゃいけないんだけど、アタシはね、神戸生まれでありながら、圧倒的に関東の水の方が合ってたんです。だから死んでも関東から離れたくなかったし、神戸に戻るなんて真っ平だと思っていたんです。
だけれども、それまでやってた仕事は出来なくなっていたし、一旦立て直すには、というかまず、何にしろ生きていくためには神戸に帰るって方法しかなかった。アタシが生きていける環境を手に入れること、すなわち猫が安心出来ることだと思ったから。
前回も書いたように、アタシはとことんダメ男です。正直、こんなダメ男に頼るしかないぽんぽこが可哀想だった。でも、ダメ男なりに頑張ろう。んで、ぽんぽこに「お、元気になったじゃニャイか」と思ってもらえるようになろう、と。
あ、これも書いておかなきゃいけないか。
猫好きの人ならご承知のことだけど、本当はね、猫に何度も引っ越しを強いるってのはダメなことなんです。
しかもクルマで猫を運ぶのは大変で、短距離を移動するだけでも普通はニャーニャー叫ぶものです。実際、ぽんぽこも過去はそうだった。
でもこの時ばかりは、どうしたんだ?と言わんばかりに、ぽんぽこはおとなしくしていた。きっと、すべての事情を察してくれたんだね。
ゴメンな、ぽんぽこ。我慢してくれてたんだね。その気持ちに応えるためにも、絶対に、立ち直るからな。
◆ダメ男と普通じゃない猫
ぽんぽこはアメリカンカールという種類です。
通常、アメリカンカールは耳がカールしている。だからそんな名前なんだけど、ぽんぽこの耳は残念ながらカールしていません。
ただし、耳のカール以外の、アメリカンカールの特徴は全部兼ね備えています。
とにかくこのアメリカンカールという種類、普通じゃない。まずまったくジャンプ力がない。低いテーブルに飛び上がることさえ失敗する始末です。
じゃあ、高いところにモノを置いておいたら安心だろうって?とんでもない。アメリカンカールはジャンプ力皆無の代わりに異様に力が強いのです。
高いところのね、たとえば棚の上のモノを取ろうとすれば、何と棚に体当たりして落とそうとするんですよ。だから一部では「アメリカンカール=アメフト部」と言われているくらいでね。
力の強さは猫のレベルを超えている。だから爪切りとなると本当に大変でね。
もちろん他の猫と同様、ぽんぽこも爪切りが嫌いです。だから当然暴れまわる。何とか逃れようとするわけですな。
これを押さえつけるのが本当に大変でして、たしかにダメ男は力も弱いとはいえ、言っても大の大人です。大の大人が100%の力で押さえつけながら爪を切るっつー。
もし架空のキャラクターに例えるなら「じゃりン子チエ」の小鉄です。威風堂々という言葉が実に良く似合う。
いや、ぽんぽこはメスなんだけどね。
◆もしかして、怒ってる?
ぽんぽこってのは本名じゃありません。ま、猫の本名ってのも変なんだけど、とにかく正式には別の名前があります。
正式な方の名前は前の飼い主が付けた。だから何でその名前なのかはわかんないんだけど、普段はアタシも、その正式な方で呼んでいます。
ただね、どうも、何しろアタシが本名ではないわけですよ。だったらコイツにもハンドルネームとやらを付けてやろう、と。
そこで「ぽんぽこ」というのを思いついた。
理由は簡単です。
ま、写真を見てもらえればわかりますが、猫を飼ってんだけど、と写真を見せたら、かなりの確率で「たぬき?」と言われる。さすがにたぬきってのは可哀想だろ、と思ってたんだけど、たしかに、少なくとも見た目はたぬきっぽい。
だからと言ってそのまま「たぬき」をハンドルネームにするのはどうなんだろ?と、ちょっとひねって「ぽんぽこ」にしたと。
幼児語として犬を「ワンワン」、猫を「ニャアニャア」と言いますが、ではたぬきはというと、何故か鳴き声ではなく腹鼓を意味する「ぽんぽこ」ってことになっています。
実際、たぬきの鳴き声を聞いたことがある人はほとんどいないと思う。どうも猫に近い鳴き声らしいけど。
「ぽんぽこ」っていうたぬきの代名詞と言える<音>は、おそらく「証誠寺の狸囃子」から来たんだと思うけど、「証誠寺の狸囃子」自体意外と新しく、作られたのは大正末期、初めてレコーディングされたのは1929年。歌ったのは日本初の本格的少女歌手と言える平井英子です。
平井英子は一時期ネットでも話題になった「茶目子の一日」を歌ったことで有名ですが、のちに巨漢コメディアンの岸井明とのデュエットで「タバコやの娘」をレコーディングし
・・・あああ、また悪いクセが出てる。こういうことばっかり書いてたから誰の興味も惹かなかったのに。戦前文化の話になると、つい、タガが緩みまくる。
だからダメ男と言われるんだ。いや、もう「お前は本当にダメ男だニャあ」という傍らからの視線が突き刺さるようだ。
というか、「何でニャア(ぽんぽこの一人称)のハンドルネームが「ぽんぽこ」ニャんだ!いい加減にしニャいか!」と怒ってる気がする。
済まんな。いやハンドルネームはもうこのままいくけど、話の脱線はこれから気をつけるから。
◆ここら辺で、一旦締める
もしさっき書いたような、知識の開陳でしかないような話を読んでみたい、という奇特な方がおられましたら、是非こちらに飛んでみてください。
まァね、その代わりnoteにはこーゆーことは書かないようにしますんで、この駄文に興味を持っていただけたら、何らかのリアクション、お願いします。
では次回まで。さらばじゃ!