子どもたちの本当の願いをつかむために:教師が今こそ考えるべきこと
はじめに
子どもたちの本当の願いを教師はどうつかむべきか?
教育現場での「従う文化」に疑問をもち、自分の言葉で願いを語ることの大切さを考察します。子どもの表現を理解し、対話を通じて共感を深めるための具体的なアプローチを提案します。
今回は、2024年8月10日(土)~12日(月)に参加した
全国作文教育研究大会
に参加してきた学びがきっかけです。
1.教師自身の願いとは何か
私たち教師は、子どもたちの「本当の願い」を知るべき立場にあります。しかし、実際には教師自身が自分の願いすらつかめていない現状が多々見受けられます。この記事では、どうしてそのように感じるのか、そして子どもたちの願いを理解するために教師ができることを考えます。
**子どもたちの願いを無視した教育の現状**
例えば、国語の教科書に増えた【話型】や【モデル文】の数々。それは、本来、子どもたちが自分の言葉で表現する機会を奪うものとなっていないでしょうか。確かに、初心者が言葉を学ぶ際には【話型】が役立つこともあります。しかし、習得が進んだ段階でもその型に依存することは、表現力の発展を阻害している可能性があります。
なぜ、子どもたちはゼロから語り、表現することが難しくなったのか。それは、教育が「技術」や「効率」に重きを置きすぎ、個々の創造力や内面の声を尊重する姿勢を後回しにしてしまった結果かもしれません。
2.教育における「従うこと」の文化とその影響
**この記事を読んでくださっている方々の中で、学校で「従うこと」が「ゼロ」だったと言える人がどれだけいるでしょうか。
「従うこと」は安心感を与えます。集団が大きければ、なおさらです。
しかし、その代償として私たちは自主性や創造力を失っているのではないでしょうか。「従う」文化が教育現場に深く根付いているのは、「従うこと」にも、メリットがあるからです。それが、安心感と楽です。
また、子どもたちだけでなく、教師自身もその影響を受けています。特に、多忙で長時間労働の挙句に、多くの責任が押し寄せています。考えず、「従う」方が楽であり、その責任を取らずにすみます。
この「従う」「従わせる」という縦の関係が、教師自身が自分の願いを見つけ出し、表現することを難しくしているのです。
3.自分の言葉で願いを語ることの難しさ
**「誰が言ったか」に頼ることで安心感を得ようとすることは、現代の教育においてよく見られる現象です。しかし、それは同時に、私たちが自分自身の願いを見失う原因ともなります。特に「学習指導要領」の信者のような姿勢で、指導要領に頼りすぎることが、私たち教師自身の言葉をもてなくしている現実を直視する必要があります。
この、「だれが言ったか」が言葉や物事の価値を高める社会構造の中で、一番弱い立場はだれか
そう、「子どもたち」です。
教育政策それ自体が、「子どもの本当の願いを聞く」ようにはなっていないのです。
---
教師は、「子どもの願い」はどこにあるのかと、「学習指導要領」の中に探そうとします。そして、教育に対する自分の願いも「学習指導要領」の中にあると信じます。
例えるならそれは、砂漠の中の蜃気楼(オアシス)を追い求め、見つけたとばかりにそこに立派なお城を建てて満足するようなものです。そこは、オアシスでもなんでもないのに。
蜃気楼の中にお城を建てても、すぐに崩れていきます。
4.「願い」は奪われたのか
**学校も、教師たちも、「願いをもつ」ことも「子どもたちの本当の願いをつかむ」ことも奪われたなら、取り戻せばいい。奪い返すんだ。
そう、考える人もいるかもしれません。
実は、「奪われた」のではなく、教師たち自身で「手放した」のです。
「従うこと」のメリットについて、先に述べましたが、『従う』方が今の社会の中では、圧倒的に「楽」だからです。自分の「願い」や「考え」を手放した方が、傷つくこともありません。
これは、おそらく人間の防衛本能に近い物かもしれません。
5.「子どもの願い」をつかむために教師ができる3つのこと
**教師が自分の言葉で自分の願いを語るためには、まず以下の3つのアプローチを試みることからはじめてはどうでしょうか。
1. **子どもの表現を仲間と共有し対話する**
子どもたちの言葉、行動、感情、書かれたものなどを教師同士で語り合い、共通の理解と認識を持つこと。
2. **子どもの本当の願いを知ろうとし続ける**
子どもの行動や感情が表れたとき、見えていない部分である本当の目的を探り続ける。観察を怠らず、その子自身に関わり続けること。
3. **教師が自分の弱さを受け入れ、自分の言葉で願いを語る**
他者に頼るのではなく、自分自身で考え、創造し、自分の願いを言葉にすることが大切です。言葉は、完璧じゃなくてよくて、途中で変えてOK。意識したいのは、自分に戻るための言葉やフレーズを見つけておくこと。
以下、教師の「願い」の例---
無理をしない、無理をさせない
まあるいクラス
一人ひとりが主役になれる時間
自分も友だちも大切にしよう
**
6.手放したものを取り戻す:組合の役割
**教師たちが「願いをもつ」ことや「子どもたちの願いをつかむ」ことを再び可能にする場として、組合は大きな役割を果たします。組合は、教師たちが自分の願いを見つけ、それを語り合い、つかみ取るための場です。
そこでの対話が、子どもたちの未来にとっても大きな意味をもつでしょう。
なぜなら、「組合」はそれぞれの「願い」の力合わせをするための組織だからです。
まとめ:教師と子どもたちの願いを再びつかむために
**教師自身が自分の願いを再確認し、子どもたちの願いを理解するためには、日々の教育現場での実践と対話が欠かせません。組合を活用し、仲間と共に考え、語り合うことで、教師と子どもたちの未来をより良いものにしていけるのです。
この夏、教師が英気を養い、【組合のひまわり】が咲き、一面に広がっていくことを願っています。