【私たちの軸足#1】~高校生と「幸せな道」を作る~
こんにちは!
6期生の石川拓海(いしかわ たくみ)です。写真の右端が僕です!(Facebookはこちら)
この薮中塾公式マガジンの編集長です!といってもただの言い出しっぺ。
広報メンバーにはいつも助けてもらっています。
このnoteは、薮中塾生たちが普段の活動や専門性を発信していくコーナーの第1弾です。
きっかけは、6期の運営メンバーの1人の言葉でした。
薮中塾の魅力は「自由な場」であることで、それは、薮中塾生1人1人が薮中塾以外にそれぞれの人生の基盤(進むべき道)をもっているからではないでしょうか。
・・・良い意味で薮中塾に「片足をつっこんで」それぞれの志に向かって歩んでいるからこそ、個人の専門性や個性が光り、他者の価値観や考え、想いを大切にでき、互いに刺激やパワーを与え受け取りあっているのではないかと思います。
そうなんです。
専門やバックグラウンドが異なる者が集い、月に1つのテーマについて議論し合う1年を過ごす。そしてグローバル社会を牽引すべく互いの進むべき道に散らばってゆく。それが、薮中塾。
であれば、塾生それぞれの「軸足」を知ってもらうこともありなのではないかな、と思ったわけです。
「それならまず石川くん書いてみたら?あの活動が気になる」
との編集部パートナーゆこさんの一声から、第一弾を僕が担当します。
まあ、言い出しっぺは自分からやるべきですよね。笑
なので今回は、最近ガヤガヤと周りに報告させて貰っている活動についてお伝えさせていただきます。
僕の問題関心
いきなりですが、「幸せ」ってどのような状態を指すと思いますか?
お金持ち?
地位がある?
好きな人といる?
僕が尊敬するゼミの教授は、
「好きな時に、好きな人と、好きなことを、好きな場所で、好きなだけできること」
と仰っていました。
そのように、人生の豊かさにはいくつか種類があると思っています。
これらは、私たちの人生に絶対に必要なものです。そして、
貧困、格差
ストレス、鬱、将来不安
孤独、差別、コンフリクト
ホームレス
多忙、過剰労働
疾病、衛生問題
といったように、社会問題の多くは上のどれかの要素が不足している状態になるはずです。
そして現代社会において、それらの要素を強く決定しているのは
「仕事」と「教育」だと思っています。
それは近代以降、「職業」によって収入・地位・生活スタイル・コミュニティ・住む地域の多くが決定され、さらにその職業(ホワイトカラー・オレンジカラー・ブルーカラー)を決定しているのが「学歴」だからです。
それを確かにしているのは、人々が最も多くの時間を過ごし、人々の行動の規範を共有している「学校」と「会社 / 職場」。
近代社会はそのように「教育」と「労働」を社会的装置にして成長してきました。
このような考えから、教育と仕事のつながりや、教育格差などに関心を持っています。その中でも「高校生の進路選択の問題」がコアの関心です。
そのため僕は、大学院で教育社会学を専攻しています。
データやリサーチを元に、教育と社会の関係や、教育格差などの問題について研究する分野です。
とまあ、こんな理屈っぽい話の前には実際の原体験があります。
こちらの記事に書かせて貰ってますのでよければお読みください!
私の活動紹介
そのように大学院生として研究をする傍ら、
一般社団法人HASSYADAI.social(以下、ハッシャダイソーシャル)という非営利法人で活動しています。
ここは、株式会社ハッシャダイというベンチャー企業から今年に立ち上がった法人。会社・法人ともに「若者の街」原宿の竹下通りにオフィスを構え、今年からDMMの傘下になります。
最近ではTV東京・TV大阪『ガイアの夜明け』やフジテレビ『ザ・ノンフィクション』でも取り上げられるようになってきました。
とりあえず、こちらの『ガイアの夜明け』の番組紹介文を読んでみてください。
不良少年や不登校だった中卒、高卒の若者たちを集めて訓練し、大手企業で活躍する人材に育て上げる異色のプログラムがある。その名も「ヤンキー・インターンシップ」。開始から4年で卒業生は300人を超え、いまやソフトバンクなど大手企業で戦力として働いている。このプログラムを立ち上げたのは、自らもどん底から這い上がった元ヤンキーたちのスタートアップ企業「ハッシャダイ」だ。
大卒と中・高卒の間にある学歴格差、さらに東京と地方などの間にある情報の格差をなくし、"道"を外れてしまった若者たちに、人生を切り拓くチャンスを与えている。・・・(略)
「ヤンキーを戦力に!新たな”働き手”発見」(https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/)
この通り、メイン事業は、最終学歴が中卒高卒の18歳〜24歳の若者のキャリア教育・支援サービス「ヤンキーインターン」。
そして18歳より早い段階でのキャリア教育を行うために2020年に法人としてスピンアウトしたのが「一般社団法人ハッシャダイソーシャル」です。
(興味があればこちらもどうぞ)
ハッシャダイソーシャルとの出会い
ハッシャダイソーシャルとの出会いは就活中。
後輩に「株式会社ハッシャダイっていう面白い会社ありますよ」と紹介されました。
すぐにHPを検索すると、
「めちゃめちゃ関心に近いやんけ!そんで、めちゃイケてるやんけ!」と心にヒット。
しかし、新卒での採用は行われておらず。
それでもまずはメールを送ってみることに。
📩「初めまして!大阪大学大学院の石川です。・・こんな研究してまして・・・こんな社会を作りたくて御社に共感しました・・ぜひ一度面談をお願いします・・」(一方的にメール)
結果、3ヶ月返信なし。(そりゃそうだ)
そのうちに、他に納得する会社に内定が決まりそうになり、悔いなく就活を終わろうと再度メールを送りました。
📩「数ヶ月前にメールした者です。・・・こんな研究をしてまして・・・御社に共感しこんな社会を一緒に作りたいです・・・・」(前の倍くらいの文量)
すると返信があり面談に。そこで頂いたのは、
「会社の方よりも今年立ち上がったばかりの法人の方で今からでも活動して欲しい」というお話でした。
社会人になってからではなく、今すぐ貢献したいし役に立てるはず。そしてこの活動なら社会人になっても続けられる。
立ち上げた2人が同い年であることにも縁を感じ、メンバーになることに決めました。
ハッシャダイソーシャルの問題意識
そんなハッシャダイソーシャルは
Vision : 「全ての若者に自分の人生を自分で選ぶ力を」
を掲げています。
そして、その根幹にある問題意識は、
高校生の進路選択における「選択格差」
の存在です。
詳細についてはクラファンページにまとまった説明があるので抜粋します。
このように、日本の高校生たちの間には様々な外部要因による格差が存在し、
そしてさらには「自分の可能性への認識格差」が生まれているのが現状です。
ハッシャダイソーシャルがこの問題に着目したきっかけは、ヤンキーインターン。
参加した多くの若者が、諦めや消去法、「なんとなく」や「とりあえず」で高卒後の進路を決めていたり、環境に負けず頑張ろうとしても目の前に選択肢がなかった経験をしていました。
「当時は格差を格差だと思っていなかった。なぜなら他の道を知らないから。」
と話していたのはヤンキーインターン卒業生の現ハッシャダイ社員。
自分が少年院から出院してから、とにかく家族を経済的に支えなえればならない状況にあったこと、そして周りにはヤンチャをしていた昔の仲間しかいなかったことが理由でした。
地方の進路多様校と言われる高校や定時制高校、少年院など、地方出身で階層が低く低学歴と呼ばれる若者ほど、このような傾向は顕著です。
ちなみに、大学院での僕の専攻分野には「トラッキング」という概念があります。親の収入や子育ての仕方によって子の学校での成績や評価が決まり、偏差値に沿ってレベル分けされた高校によって教育内容、進学先、学歴、職業や社会的地位が決まる。つまり人生が、陸上のトラックのように経路づけられることです。
自分の意思で好きな道を走れるように
ハッシャダイソーシャルは、そうして生まれた環境で決まってしまう「人生トラック」ではなく、高校生たちが自分の意思で好きな道を走ることができるようにチャレンジしています。
僕たちが意識していることは
①教育機関や雇用主、行政に働きかけ、高校生たちには無償で届けること
②届けたい高校生たちに「刺さる・引っかかる」メソッドを構築すること
①に行き着いたのは日本の教育コンテンツにある構造的な問題からです。
日本の公教育費はOECDでもかなり低く、私教育の割合が非常に高いです。そのため多様な教育コンテンツは「商品」として、多くが機会に恵まれた層に集中し、支援が必要な層の子どもたちに向けたコンテンツが不足しています。
また日本の子どもたちは、学校教育を卒業すると大人の手が一気に届きにくくなるので、最後の砦である高校や少年院、施設といった教育機関と手を取り合って、彼・彼女らがそこにいる間にアプローチする必要があります。
そして、以下の4つに取り組んでいます。(詳しい活動内容については公式noteに)
①学校向けキャリア教育プログラム、講演
→高校生たちの心を沸騰させる
②無償のオンラインスクール・コミュニティの運営
→行動や習慣に変え、環境を飛び越えてもらう
③教員・経営者・行政・社会人への啓蒙活動
→社会に訴え、高校生の環境自体を変えていく
④自前の教育研究所でのプログラム効果測定
→自分たちの活動にエビデンスをつける
高校生たちと一緒に変わるには
そして②について。
僕たちはよく、高校生に「刺さる・引っかかる」という言葉を口にします。
それは、届けたい高校生たちの「頭」ではなく「心」に訴えること。「かっこいい」「真似したい」「憧れる」「今の自分をこの人たちと変えたい」と思ってもらうこと。
メインで講演をしている理事の2人は僕と同い年ですが、本当に尊敬できる人生を歩んでいます。
同じく、ハッシャダイソーシャルのメンバーは、地域・学歴関係なく人生を自己選択してきた若者たちです。現役ヤンキーインターン生も参加しています。
高校生たちにとって「真似したくなる少し年上のお兄さんお姉さん」となり、全身全霊の言葉と作り込んだプログラムを届けていこうと日々邁進しています。
(熊本県の公立高校へのオンライン授業の様子)
(兵庫県の通信制高校への出前授業の様子)
そうすると、嬉しいこと数多くの高校生がこんなメッセージをくれたり。
日本にはこんな素敵な子たちが山ほどいます。
いや、素敵じゃない子なんて誰1人としていません。
オンラインスクールで挑戦していること
そのような高校生たちの想いを「行動」「習慣」に変え、環境を一緒に飛び越えるために、オンラインコミュニティ・スクールを運営しています。
もちろん他の取り組みにも参加させて貰っていますが、今回はプロジェクトリーダーとして動いているオンラインスクールについてご紹介します!
正式リリースがまだなので、今回はざっくりとだけ紹介させてください。
オンラインスクールの特徴はざっとこちら。
・SNSやスマホアプリで無償&日常的に参加可能
・進路相談や悩み相談、勉強の相談もいつでも
・3ヶ月集中プログラム
・メンターは全員20代の学生や社会人
・全国の高校生、学生、社会人がつながるコミュニティ
・スクール生が知りたいこと、会いたい人との出会いは絶対に届ける
そして、「人生は航海のようなもの。そして僕らが生きる社会は、自由だけど不安定な海だ」とたとえています。
その上で、スクール生の目標は以下の3つを達成すること。
羅針盤を見つける =人生で大切にしたい価値観
地図を描く・広げる =進むべき道やロールモデル、社会についての知識
船を強くする =そのためにつけるべき力、スキル
たとえば、週1回zoomに集合してワークをします。行動の中で自分について理解したり、様々な大人と出会い、これからの自分の一歩を一緒に考えていきます。
これまでカメラマン、起業家、公務員、会社員、料理人、TVディレクター、GPSランナー、研究者の方などに関わっていただきました。
(授業のスライド)
(普段のオンラインスクールの様子)
(ゲストスピーカーを呼んでのライブ配信の様子)
こちらはSlackというコミュニティツールでの様子。
メンターからの問いかけや日常のシェア、生徒からも進路相談や日々の報告が活発に行き交っています。
そして最後には、そうして積み重なっていった「こんな自分になりたい」という一歩を、1人ひとつのオーダーメイドプロジェクトとして、ハッシャダイソーシャルのメンバーや高校生の仲間たちが後押ししながら実現していきます。
神奈川の定時制高校に通うオンラインスクール生が、全学年に対して「自分の将来を考える」講演・ワークショップを実施。
愛知県の公立校に通うオンラインスクール生が、
地元のカフェのスペースを借り高校生の居場所作りのイベントを開催。
校長先生に直談判し、オンラインスクールのチラシを作成して全校に配布。
他にも、歌手を目指している子のオンラインライブ開催や、何かに熱中したいけどどうしたらいいか分からないという子と一緒に社会起業家を訪問したり、などこちらもワクワクしてしまうプロジェクトを計画しています。
そして、スクールを卒業した高校生たちは、高校生のうちから次期のスタッフとして、学生や社会人と一緒に運営していく予定です。
まだまだスクールは1期が終えようとしている未完成な段階ですが、これからどんどん高校生や社会人の方を巻き込んで、素敵な仲間と素敵な空間にしていくことを目指しています!
人生の正解を決められるのはたった1人自分だけ。
そして今、高校卒業の段階で人生を決めなくてもいい。
夢や自分の周りの状況なんて変わっていく。
自分の幸せにアンテナを貼って、
どんな時でも人生をデザインできる力をつけよう。
これがオンラインスクール含め、全ての取り組みでハッシャダイソーシャルが発信しているメッセージです。
これからの自分
個人的な話ですが、来年からは社会人としてHRテクノロジーの会社に勤め、もうひとつの関心である雇用問題にアプローチしていきます。
もちろん同時に、この法人での活動も続けていく予定です。
僕の目標である、
出来る限り多くの若者が、「豊か」な人生を「デザイン」できる社会
に少しでも近づけたらいいな、なんて思いながら
2足のわらじを履いて、20代を駆け抜けようと思っています。
ハッシャダイソーシャルに興味のある方はぜひ、僕まで声をかけてください!
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