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違法捜査
Column~№69
大麻所持で警視庁に逮捕された女性が違法捜査を訴えた訴訟で、2月17日に東京地裁は逮捕・勾留が違法だったとして損害賠償を命じる判決を言い渡した。
逮捕時の状況は都内の駐車場で職務質問され、車内から葉片が見つかった。それを簡易検査した結果、大麻と判断され逮捕された。しかし逮捕後の尿検査では陰性だったため、2週間後に不起訴処分となった。逮捕された女性は勾留期間中、相当な苦痛を感じていたに違いない。
警察では簡易検査を予試験という言い方をしているが、薬物の簡易検査は非常に慎重に行われる。飲酒運転で調べるアルコール検査はある意味で誰でもできる。ただ万全を期すために慣れたパトカー勤務員が担当しているが、薬物に関しては担当者を呼び出してまで検査するのが一般的になっている。簡易検査の方法や手順は説明書が検査キッドに添えられているが、私も当直時には担当者にお願いしていた。つまりそれだけ問題になりやすく、また裁判を考えると担当者を呼び出してでもやるべきだと思えた。
元々大麻が違法薬物として扱われるようになったのは1948年に大麻取締法が制定されてからだ。これはアメリカの政策によるもので、アメリカもかつては大麻栽培をしていた国だった。アメリカでは大麻を嗜好品の他、紙の繊維原料として生産していたが、1930年代にアメリカの連邦麻薬局の長官が大麻を厳しく規制した。その背景にはオイルメジャーによるロビー活動があり、石油製品から作られるナイロンやビニールを国家政策として推進するためだったと言われている。
そのロビー活動を受けて反マリファナ運動が盛んに行われるようになり、大麻を吸って殺人が起き、また婦女子が暴行されたなどの報道が流された。それによって大麻は危険薬物という概念が生じて大々的な規制へと舵が切られたと言われている。
しかし近年ではWHOが医療用大麻製剤に関して麻薬規制から除外すると発表するなど、医療や嗜好分野での合法化が進みつつある。ただしこの解禁の背景にもロビー活動による利権が存在すると言われている。
なお薬物は幻覚を生じさせたり、肉体的に異常を来したりする。警察では使用者の取り締まりに力を入れているが根絶することはできていない。そんな中でこのような事案が起きたことは残念だが、今後も薬物による第2の事件が発生しないよう頑張っている捜査員たちを応援したいと思う。
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