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ローン・オフェンダー対策
Column~№24
警視庁がローン・オフェンダー(単独の攻撃者)対策を専門に扱う部署を来春に新設するという。従来右翼を担当していた公安第3課を公安第2課へ移管して、公安第3課がローン・オフェンダーを担当する。従来ローン・オフェンダーはカルト集団などを扱う公安総務課の中のいち業務だったが、これを単独で扱うことになる。
ローン・オフェンダーによる襲撃は安倍元総理銃撃事件や岸田前首相の爆破未遂事で注目され、その対策を全国に先駆けて警視庁が動くことになった。やはり警視庁の組織力は名実ともに他の都道府県警察とは次元が違うと痛感させられる。
ローン・オフェンダー対策の難しい点はすべての行動を単独で行う点で、組織に属さないため情報の収集も困難である。この困難な犯行計画の情報を警察が入手した情報を集約・分析して犯行を未然に防ごうというのだ。
オウム真理教で話題となった破壊活動防止法は公安調査庁が主管法令として扱っているが、この法律は「暴力主義的破壊活動を行った団体」を対象としている。つまり組織に対する法規制で、過去に起きた事件は必ず組織的背景があった。実行犯らは自ら組織に参加する者もいるが、大半は勧誘された後に洗脳されて事件を起こしていた。つまり組織的洗脳が結果として事件を誘発していた。
だが近年はSNSなどで触発される者も多く、組織も暴力的な発言や破壊的行動を掲げて活動できる時代ではなくなっている。そんな社会的背景もローン・オフェンダーによる犯行が目立つようになった理由である。
ローン・オフェンダー対策の関連法案が立法化されるかは分からないが刑法では「予備罪」の概念がある。未遂罪は実行行為に着手したが目的を達成できなかった場合に成立するが、予備罪は実行行為に着手する前の準備段階で成立する。ローン・オフェンダー対策に関係する法律はほぼ予備罪が規定されるため法的には問題ないだろう。だが情報収集の問題は簡単ではないように思う。
組織に対する情報収集は従来から行っているが、個人となると相当ハードルが高くなる。組織にも属さない人間の情報を収集するとなれば、個人の行動や思想を生活の中から探り出さなければならず、その対象は星の数を超える。その対象者の中から更に行動するおそれのある者を探し出すのはかなり困難な作業になるのではないだろうか。
「個人を監視する社会になる」とは言わないまでも、経験者としては相当な時間と人員が必要な難題だと考える。そんな難題に挑むのは大変だと思うが、是非成果を見守りたい。
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