犯罪被害者給付金の請求権消滅
Column~№31
犯罪被害者給付金の損害賠償請求権を5年間放置した結果、9億円分の請求権が消滅したことが会計検査院の調査で明らかになった。
犯罪被害者給付金制度は国が被害者に給付金を支給するが、被害者へ支給した代わりに加害者に対して同等額の賠償請求権を取得し請求する制度である。
私が現役時代には毎年警察官は3,000円を寄付という名目で強制的に徴収され、この資金に運用されていた。今もその制度は残っていると思うが、私は天下りの幹部の給与を支払っているようで非常にモヤモヤした気持ちだった。と言うのも支給業務は各都道府県単位で支部が担い、そこに定年退職を迎えた幹部が役職付きで再就職している。そこに私は疑問を感じていたのだが、その話については別の機会としたい。
請求権は民事訴訟法の請求権と同じ扱いになるとのことだが、私はこの請求権を厳格化に運用すべきだと思っている。
刑事被害者は刑事事件に併行して民事訴訟で損害賠償を請求できる。例えば殺人事件の被害者は被疑者に対して殺人の罪を問うのと同時に、親族を失った損害に対する金銭的な賠償請求もできる。ただ民事請求についてはメディアが報じることがないため一般の方は殆ど知らないと思う。
最大の問題は勝訴しても実際には数%の者しか被害回復がなされていないことだ。裁判には当然勝訴するのだが、支払い能力がないということで支払いが履行されないケースが非常に多い。被告側も憲法が保障する文化的な最低限度の生活が保障されるため「身ぐるみを剥ぐ」とはいかないのである。
お金で解決することが良いとは思わないが、被害者が困窮した生活を強いられる中、加害者がのうのうと過ごす社会は正しいとは思えない。したがってその代償はしっかり支払わせるべきだと思っている。
今回は請求権を消失するという失態を犯したが、実際に支払う奴がいなくてもまずは請求される煩わしさを感じさせるべきである。そして請求を徹底することで刑事裁判だけでなく民事裁判の苦悩も感じさせることが犯罪抑止に少しでも繫がるのではないだろうか。
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