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真犯人の捜査

Column~№32
 今月21日に静岡県警察本部長が一家4人殺害事件で再審無罪判決を受けた袴田巌さんに謝罪した。これを報道した某ニュース番組において、あるコメンテーターが「形式的な謝罪」だと非難していた。
 確かに映像を見ると本部長は謝罪文を記憶してそれを伝えていたようだったが、警察として正式な謝罪を伝えているのが分かる。本部長の言葉に感情がなくても個人的判断ではなく組織として言葉である。その言葉は個人が語る言葉以上に重みがある。しかもメモを読み上げてはいなかった。
 また謝罪は単に本部長の判断ではなく警察庁と協議した上での謝罪である。そうでなければ自分の言葉で謝罪している。そんなことも理解できないコメンテーターの非難は聞いていて呆れた。
 謝罪しても許されない問題だが、きちんと間違えを認めて謝罪している人を非難すべきではない。しかもこのコメンテーターは自ら間違えた発言をしても謝罪しているのを見聞きしたことがない。自分の過ちも認められない人間が人の謝罪を非難する権利はないし、こんなコメンテーターを使っている報道番組も呆れる。
 この本部長の謝罪において驚かされ、また感動したのは姉のひで子さんの「今更警察に苦情を言うつもりはありません」という言葉だ。人間であればそう簡単に割り切れるものではない。心の中には多少の蟠りがあるだろうが、そんな感情を微塵にも出さない寛大な人柄に人間の大きさを感じるとともに多くのことを学ばせていただいた。
 袴田さんの再審無罪判決によって再審請求の問題が指摘されている。簡単に言えば再審請求に時間が掛かるため、その点を改正する必要があるということだ。確かに検討すべき問題だが、私は無罪判決事件の時効と再捜査も併せて検討すべきだと考える。
 袴田さんは無罪ではなく冤罪だった。つまり4人を殺害した犯人は別にいる。袴田さんに罪を擦り付けて悠々自適に生活していた被疑者をそのままにしていいとは思えない。警察は袴田さんのためにも、また殺害された4人のためにも真犯人を明らかにすべきであり、その被疑者を起訴して処罰できる法的整備をすべきではないだろうか。
 

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