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違法とされた公安の情報活動
Column~№18
名古屋高裁は岐阜県警が行った情報収集活動に対して違法の判決を下した。メディア報道程度の情報しか持ち合わせないが、裁判で情報収集と情報提供の2つを分けているのが非常に興味深い。
まず情報提供したのが中部電力の子会社という民間企業を考えれば違法という判決は当然だと思う。民間企業に情報を提供した理由は分からないが、どうせ幹部の天下りか何かではないかと考える。電力会社が警察幹部の天下り先になっているので、その可能性があるのではないかと邪推しただけで根拠はない。だがどのような理由であっても企業に情報提供しているのは問題である。
しかし一番の問題は情報提供が発覚したことであり、最たるものは情報収集していたことが発覚したことである。極論で言えば情報収集をしていること。つまり関心を持っていることに気付かれること自体があってはならないことである。
判決文を見ると「反対運動が公共の安全と秩序の維持を害する自体に発展する危険性を備え、必要があった」とあるが、これは成田空港建設反対の闘争事案を指しているものと思われる。極左暴力集団は成田空港建設時に建設予定地の農民を抱え込み、住民による空港建設の反対運動を主導した。俗に言う成田闘争では警察官に死傷者を出したが、この歴史を踏まえた配慮にも思える判決である。
一方で情報収集活動に関して「具体的な法律上の根拠があることが望ましい」と指摘したが、この「具体的な法律上」を今後どのように対応していくのか難しいだろう。この裁判でも情報収集を「警察法」を根拠にしており、裁判長もこの根拠を一定の範囲で認めている。だが一歩踏み込んだ具体的な犯罪行為を事前に予測するのは難しく、包括的な警察法に頼るところは大きいのが実状だ。
どこの国の情報機関も、また日本国内であっても個人情報を秘密裏に収集しながら対象組織との繫がりを把握する。それが情報機関の活動であり、それにより組織の実態を浮き彫りにする。
今回の調査対象は一般市民であったが、市民に気付かれるようでは世界各国から派遣されるスパイと戦えるはずがない。「日本はスパイ天国」という汚名を返上するためにも情報を収集していることに気付かれないように、そしてスパイを逮捕する能力が求められるのではないだろうか。
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