
汚職警官疑惑
Column~№51
12月20日に広島県警は警視正の署長が十数年前に知り合った者から度重なる接待や野球観戦チケットを受け取っていたことを明らかにした。この度重なる接待に関して広島県警は見返りに便宜を図ったことは確認されなかったとして、国家公務員倫理法違反で減給処分にした。県警幹部は、そして警察庁はこの問題を本当にこれで終わりにするつもりなのだろうか。それは最も国民の信頼を裏切る結末だと私は考える。
警視正と言えば広島県警でも5本指に入る高位階級の幹部だ。その幹部が非違事案を起こすのは問題だと思うが、それは個人の資質である。聖職者であるべき警察官や教員、そして議員でも残念ながら悪事を働く者はいる。敢えて苦言を呈するなら、なぜそんな人間を幹部に選んだのかとは思うが、それは後付けの話でしかない。
私も現職中に自浄努力を指示されていたが、個々が起こした事件を組織が責任を取るというのは正しいのか疑問に感じていた。三菱の貸金庫事件のように業務の中で行われた犯罪は組織として管理が求められるべきだが、業務外の管理まで上司に責任を求めるのはそれこそ「落とし処を上司に負わせる」という発想でしかないと思っている。
私が広島県警に求められるものはこの問題の捜査だと思っている。本当に便宜を図っていなかったのかをきちんと説明することこそ、組織が果たす説明責任だと思う。
推しの文化は見返りを求めないらしいが、この幹部が接待したくなる程に魅力的だったと言うのであれば調査結果も納得できる。しかし見返りを求めずに何度も接待を繰り返すようなことが本当にあるのだろうか。金銭的に苦慮している芸術家を支援する方はいても、公務員という一定の収入がある人物を支援するというのは普通に考えても理解できないことだと思う。
広島県警のホームページを確認したが、この問題に関する調査結果は掲示されていなかった。メディア報道では伝えていないことをホームページがあるならば伝えるべきではないだろうか。個人の起こした問題の再発防止も大事だが、それ以上に大事なのは組織としてそれをきちんと調査して処分することを県民は求めていると思う。そしてそれこそが失った信頼を取り戻すための方策だと考える。
私は№3のコラムでも言及したが、上位階級だから問題を小さくまとめているように思えてならない。この問題は贈収賄事件の疑いがあるのであるから広島県警は威信を掛けて取り組むべきだと思う。
いいなと思ったら応援しよう!
