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総合商社の超具体的な仕事内容~事業会社管理編~

こんにちは。
ヤブハニと申します。
23個目の記事です。

最近、現職の最終出社を迎えました。
同僚や上司、チームメンバーからのメッセージを見るとなんとも感慨深い気持ちになります。別れが訪れる時は、さみしさと次の出会いへの期待が織り交じったなんとも言えない感情になりますよね。人生って感じがして嫌いじゃないです。

さて本日は、前前職になってしまった総合商社の仕事内容を具体的に書いていきます。就活で商社を目指そうと思っている学生の方にぜひ読んでほしいです。

今まで書いた記事の中で、圧倒的に閲覧数が多い下記の記事からヒントを得て書かせていただきます。

事業会社の管理とは何かは入社前に理解しておいてほしい!

事業会社の管理は、新卒入社後に最も多くの人間が配属される可能性が高いです。なぜなら、商社の業務の中で一番利益に貢献しているからです。

そもそも、商社の業務は4つに分類できます。

・トレーディングに関連する仕事
・買収した事業会社の管理
・新規に買収を行うための仕事
・本社におけるバックオフィス業務

このうち、今現在の収益を生むのはトレーディングに関連する仕事と買収した事業会社の管理を行う仕事です。そして、現在の商社のビジネスモデルでは、トレーディングよりも事業会社からの投資収益の方が利益貢献をしています。

つまり、商社の躍進を支えているのが事業会社の管理業務ということです。

今後、総合商社に入るもしくは、受けようと思っている学生の方には、本当に自分がやりたいことができるのか判断する材料として具体的に事業会社の管理を理解しておいてほしいです。

端的に、事業会社の管理を表現すると、買収した事業会社が本社の意向に沿ってビジネスを行っているかを管理し、軌道修正を行っていく仕事です。

しかし、ネット上どこを探しても、商社における事業会社の管理の内容を具体的に書いている情報源は見つかりません。

私は、商社における事業会社管理は以下の7つの仕事で説明できると考えています。

①予算作成と予実管理
②事業会社との定期的な会議
③本社決裁が必要な事項の稟議対応
④駐在員、ローカルスタッフのアテンド
⑤駐在員の愚痴聞き
⑥部内の報告会議の資料作成と参加
⑦関係部署からの依頼内容の対応

次項以降では、ヤブハニなりの経験と同期からのヒアリングを基に元商社マンとして1つ1つの業務を具体的に深掘りしていきます。

仕事その①:予算作成と予実管理

事業会社管理として、1つ目にして1番大切な仕事が予算の作成と予実管理です。

予算とは、その事業年度で目指す売上や利益を月次で作成したものです。
予実管理とは、作成した予算通りに実績が進んでいるかを確認し、進んでいない場合その理由と対策を検討、実行する業務です。

予算作成は、半期に1度ほど行われます。(これは会社によって変わります。)
大抵2月に4月からの予算を作成し、8月や9月に下期に向けた修正予算を作成します。

予算の作成は、エクセルで行います。

ここで、事業会社管理として行う業務は3つです。

・駐在員や現地スタッフが作成した予算をチェックし、修正を依頼する業務
・エクセルで予算となる損益計算書を作っていく業務
・上司と駐在員の板挟みになる業務

【駐在員や現地スタッフが作成した予算をチェックし、修正を依頼する業務】

予算は、基本的には、事業会社に出向している駐在員、もしくは事業会社で働いているローカルスタッフに作成してもらいます。あくまで事業会社としての目標なので、基本思想として手を動かすのは現地です。

本社側の事業会社管理担当は、出てきた損益計算書(場合によっては、賃借対照表、キャッシュフローも)をあらゆる角度からチェックします。
決行地味な作業です。

目標としてほしい利益水準に届いているか、昨年と比べて悪化している数値はないか、新しくやりたことに必要な支出は織り込まれているか等をエクセルに穴が空くくらい見ます。

ここで出てきた課題を上司とすり合わせて、現地に修正を依頼します。

【エクセルで予算となる損益計算書を作っていく業務】

上記で予算は事業会社側でつくるといいました。
しかし、まれに現地ではつくれないというケースがあります。
そういう時は、情報を現地担当者からもらい本社の事業会社管理担当が損益計算書をエクセルで組み立てます。

そのため、業務をしていく中で、会計の基礎知識、財務モデリングの基礎は学んでおく必要があります。

【上司と駐在員の板挟みになる業務】

これは冗談みたいな話ですが、業務の1つで結構な工数を取られます。

上司としては、上司の上司(例えば、課長なら部長)から部門目標を課されているため、現地の出してくる予算を少しでも上げようとします。
しかし、事業会社側としては無理な予算を出して、親会社にコミットしたくありません。

ここで、事業会社管理の担当者が板挟みになります。
この時、いかにお互いが納得できる落としどころをみつけることができるかは、腕の見せ所です。

しょうもない仕事と思う人も多いでしょうが、商社ではビジネスモデル上、日常業務で板挟みになることは頻発します。もはや板挟まれることが本業です。その時に、どのように切り抜けるかは社会人としての基礎力を上げてくれますので、いい経験と捉えて前向きに解決できると素晴らしいです。

仕事その②:事業会社との定期的な会議

大抵のケースで、部課長級と現地の経営陣で月次の報告会を行います。
会議の内容としては、予算に対する進捗報告や事業会社としてやりたいと考えている施策が本社の方向性と合っているかのすり合わせです。

なお、部長や課長が事業会社の取締役となっているケースも多く、取締役会として実施されることも多いです。

事業会社管理の担当者はここでは、日程調整、資料作成、事前の部課長への根回しを行います。

特に、根回しは大切です。事業会社がやりたいことを日常のコミュニケーションできちんと理解し、やるべきと判断するならば部課長に事前にきちんとインプットしなくてはならないです。
月次報告の場で、一発でOKを出してもらうのは基本的には不可能です。
話がこじれないように、事前に根回しをしておくことは、事業会社管理の担当者として必須スキルです。

仕事その③:本社決裁が必要な事項の稟議対応

仕事その②で、決まりそうな内容、決まった内容で実行する際に、本社の決裁が必要な場合があります。その場合、本社の決裁対応、すなわち稟議対応をするのは事業会社の管理の仕事の1つです。

具体的には、投資や購入、契約を結ぶなど会社規模や金額、契約内容ごとにどのように稟議を上げるかルールが決められています。

念のため、稟議とは決裁をもらうために決裁してほしい内容を文書で知るしたもののことです。大抵の会社で、何か承認、決裁を取る際はこの稟議を利用します。

稟議の対応が必要になると、業務時間の大半がこれにとられます。

まず、申請するための資料作りに死ぬほど時間を取られます。稟議本文を書き、その上で事業計画もエクセルで作り、更に補足資料で図を書いてみたりとめちゃくちゃ大変です。その一個一個を上司や現地の駐在員に細かく確認してもらい、工数がかなり取られます。

加えて、時間をとられるのが、関係する部署からの稟議に対する容赦なき質問への対応です。稟議は申請して終わりでなく、そのあと関係部署から多くの質問を受けます。
この質問に答えるための資料作り、加えて不明点の現地への確認作業はかなりきついです。稟議プロセスで定められた期限がある中なので、スケジュールもかなりタイトです。

仕事その④:駐在員、ローカルスタッフのアテンド

4つ目は、商社っぽい仕事です。駐在員、ローカルスタッフが日本に来た際にアテンドを行います。

駐在員は、基本的に本社の社員なので極端なアテンドは不要です。
しかし、飲み会のセットは必須です。部長や課長を交えた飲み会をセットしましょう。

ローカルスタッフが日本に来た際は、忙しいです。
場合によっては、観光地にも連れていきますし、食事のセットも必須です。宗教上の食事の制限などもあり相当に慎重に行う必要があり、これもまた工数を取られます。

以前私の身に起きたのは、あるローカルスタッフは生魚が食べれない、他のローカルスタッフは牛がだめ、他の人は鶏が食えないという詰み状況です。ベジタリアンレストランを必死に探しました。

仕事その⑤:駐在員の愚痴聞き

担当の事業会社に駐在している駐在員の性格にもよりますが、この業務も多いと週5時間以上使います。

駐在員は、単身で海外に行っていることも多くストレスがたまりやすい環境にいます。周りに話ができる日本人も居なかったりします。

そんな時、本社の事業会社の管理担当の出番です。
電話で話します。仕事の事務的な話、休日何してるか、昨日食べた夜ご飯の話、奥さんの愚痴等。案外、話すだけでラクになってくれるものです。

そして、この会話の中で信頼を得ておくと依頼にも快く対応してくれます。
コミュニケーションは仕事の本質的な部分です。もし事業会社の管理をやることになったら面倒と思わずに、毎日恋人と話すように電話してみてほしいです。

仕事その⑥:部内の報告会議の資料作成と参加

大抵の商社で、事業会社の業績を本部長、部長向けに報告する会議が月に1度程度開催されます。
この会議のために、資料を用意して発表することは事業会社の管理担当者として重要な業務です。

資料は簡単な月次PLや今打っている施策を載せたようなものがフォーマットであるので、作成は長くて2時間程度で終わります。

会議中、本部長や部長は気になったところをちょくちょく突っ込んできます。そこに対して、きちんと答えることができるようにしておかないと炎上して仕事が増えます。

ちなみにこの会議は、私の経験上では生産性はとても低いです。
やらなくもていい気がしています。

しかしながら、新卒で入ったばかりであれば抵抗もしづらいので諦めて、業務を実施しましょう。そして、信頼を得て、本当に要らないと思った時にはきちんとした形で提案をしましょう。

仕事その⑦:関係部署からの依頼内容の対応

総合商社は上場企業です。
ガバナンス観点で、事業会社に実施してもらう次項が山のようにあります。

毎週のようにそうした依頼が、関係部署から飛んできます。

事業会社の担当者は、依頼を受けたらまずは自分で対応できるかを検討します。情報が足りず、どうしても無理な場合のみ現地に依頼をします。

依頼の内容としては、内部監査のための質問回答、減損テストのモデリング、コンプライアンス関連のチェック等々多岐にわたります。結構な工数を取られることになると思います。場合によっては、これで1日が終わります。

今日も最後までありがとうございます。
それでは、最後に今日のアクションプランです。

第二弾をバックオフィス編として1か月以内に書く

ありがとうございました!

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