PPP的関心2023#29【『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』一気読み】
偶然兵庫県(姫路)への出張が入った今週。出張のお供に『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』を携えて出かけました。予定の会合やオンラインの講義を終え、何気なく手に取って読み始めましたが、引き込まれるように一気に読み進めてしまい、時に少しウルッと来るような箇所もあるほど強烈な一冊でした。今回はこの本の紹介を。
写真は撮りたての一枚、姫路駅前から姫路城を臨む昼間のカット。
『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』
新書の帯には「ローカルを極めることが真のグローバル」とあります。頭ではわかっていることもここまで「深める」ことができるか、そうなると途端に自信がなくなる「ローカル」も多いのではないかと思います。
正直、コウノトリやアートという題材はなるほど尖っているけれども、それを「広げ、深める」ということになると本文の中にもあった「一歩、一歩」というフレーズが確かにしっくりような、時間と根気と細部に魂を宿すような繊細さを要する取り組みであることがよくわかるトピックの連続でした。とともに、陳腐な言い方ですが豊岡にしかない「ホンモノ」へのこだわりを感じるトピックの連続でもありました。
真剣に足元を見ることで「小さな世界都市」を自覚する
もっぱら自分が感じた通りに書きますので違和感を感じる人もいるかもしれませんが、元首長が書かれた本の割には「強烈さ」を感じる内容ではないなと思いました。しかし、それはむしろこれから自分の地域を元気にしたいと続いてゆく人にとっては見習うべき点が多いと思うのです。
筆者の中貝氏の豊岡での取り組みの数々は、強烈なビジョンありきでそこに収束させるような強い統率というわけではなく、あるいはコウノトリや平田さんの存在という稀有な要素に便乗したわけでもなく、むしろ足元に見える人材や環境、歴史や文化を自らの目と耳と足を使って「一歩、一歩」再確認しながら、小さいけれども光るものや今ココにしかないものを見出し、それらを周囲との「連携」を重視して磨いてゆく取組みを着実に実践されたのだなという印象が強く残りました。
他のローカルで「流行っている」ものをコピーするのではなく、自分の足元にある「ホンモノ」の人材や環境、歴史や文化を発掘、尊重し、強みと信じて活かすということは案外できていないローカルが多いのではないかと思うのです。
「おわりに」にある最後の一文には、読者の方から「ありがとう」と言わせていただきたい、そんな気持ちになった一冊でした。
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