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PPP的関心2023#29【『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』一気読み】

偶然兵庫県(姫路)への出張が入った今週。出張のお供に『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』を携えて出かけました。予定の会合やオンラインの講義を終え、何気なく手に取って読み始めましたが、引き込まれるように一気に読み進めてしまい、時に少しウルッと来るような箇所もあるほど強烈な一冊でした。今回はこの本の紹介を。
写真は撮りたての一枚、姫路駅前から姫路城を臨む昼間のカット。

『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』

兵庫県豊岡市は、市内にある城崎温泉が「ロンリープラネット」のベスト温泉タウンナンバー1に選ばれ、インバウンドが急増。
豊岡演劇祭では1億3700万円の経済波及効果を達成。
移住したい街ランキングでも上位に入り、近年、国内外から注目を集める。
なぜそれが実現したのか。
人口が減少し、産業も衰退する中で、地方が輝きを放つ方法とは?
元市長が全国の自治体にも応用可能な視点を示しながら、その秘策を綴る。
【目次】
序章 「小さな世界都市」の萌芽
第1章 コウノトリ「も」住めるまちを創る
第2章 受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐ
第3章 深さをもった演劇のまちづくり
第4章 ジェンダーギャップの解消
終章 これからのこと――子どもたちへ
2023年6月一刷

書籍紹介より

新書の帯には「ローカルを極めることが真のグローバル」とあります。頭ではわかっていることもここまで「深める」ことができるか、そうなると途端に自信がなくなる「ローカル」も多いのではないかと思います。
正直、コウノトリやアートという題材はなるほど尖っているけれども、それを「広げ、深める」ということになると本文の中にもあった「一歩、一歩」というフレーズが確かにしっくりような、時間と根気と細部に魂を宿すような繊細さを要する取り組みであることがよくわかるトピックの連続でした。とともに、陳腐な言い方ですが豊岡にしかない「ホンモノ」へのこだわりを感じるトピックの連続でもありました。

真剣に足元を見ることで「小さな世界都市」を自覚する

もっぱら自分が感じた通りに書きますので違和感を感じる人もいるかもしれませんが、元首長が書かれた本の割には「強烈さ」を感じる内容ではないなと思いました。しかし、それはむしろこれから自分の地域を元気にしたいと続いてゆく人にとっては見習うべき点が多いと思うのです。
筆者の中貝氏の豊岡での取り組みの数々は、強烈なビジョンありきでそこに収束させるような強い統率というわけではなく、あるいはコウノトリや平田さんの存在という稀有な要素に便乗したわけでもなく、むしろ足元に見える人材や環境、歴史や文化を自らの目と耳と足を使って「一歩、一歩」再確認しながら、小さいけれども光るものや今ココにしかないものを見出し、それらを周囲との「連携」を重視して磨いてゆく取組みを着実に実践されたのだなという印象が強く残りました。

他のローカルで「流行っている」ものをコピーするのではなく、自分の足元にある「ホンモノ」の人材や環境、歴史や文化を発掘、尊重し、強みと信じて活かすということは案外できていないローカルが多いのではないかと思うのです。

この本は、豊岡も含め、各地で急激な人口減少と闘っている同志のような人たちへのエールの手紙のようなつもりで書きました。人口減少のもたらす結 果は重苦しく、それへの対応は困難を極めています。 しかしそれでも、人口減少との闘いはただ苦しいだけの仕事ではありません。日本の各地がローカルをベースに世界とつな がることで輝きを取り戻し、「小さな世界都市」が各地に実現した姿を思い浮かべると、 この仕事は、希望に満ちたやりがいのある仕事に見えてきます。そのことを伝えたいとい う思いから、この本を書きました。
お読みいただき、ありがとうございました。

「おわりに」にある最後の一文には、読者の方から「ありがとう」と言わせていただきたい、そんな気持ちになった一冊でした。


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