PPP的関心2023#25【学校だけじゃない。教育関連施設の使い直し】
たまたまお仕事のご縁があり、「教育施設」でもある青少年野外センターを見てまわる機会がありました。お仕事がらみなので今回の話題ではこの施設のことを詳しく書くことはできませんが、ブラブラと歩きながら考えたことをメモ的に(写真はブラブラ歩いた時の1カット)。
以前の問いかけ。廃校利活用に勝算はあるか?
その際、活用しようという方針になりがちな背景に資金調達時の制約(公立学校施設整備費補助金等に係る財産処分手続の概要について)への対応という側面がある?と書きました。
仮に制約が解かれたとしてマーケティング=顧客の創造という活動の一環として「誰に・どのようなサービスを・どうやって提供して対価を得るのか」といった事業構築にあたって自治体の方々が単独で進めるのは(経験も少ないだろうことを考えると)簡単ではなく、故にこの分野には公民連携手法を優先的に検討することが求められると思います。
マーケティング視点で考える施設活用の例
なんだか過去記事の使い回しになってきましたが(笑)、以前に取材した紫波町のケースでは施設単体の利活用計画は意味がなく、「まちの再編集」と「その方針」を立て、それに基づいた機能や役割を挿入するといった趣旨の話を書いていました。
「教育関連施設」の利活用マーケティング
と、ここまで以前の「学校(校舎)」にまつわる記事を書いてきましたが、「教育関連施設」といえば学校の校舎だけでないことは誰でも気づくと思います。例えば図書館、博物館、公民館、プール、スポーツ公園、青少年宿泊訓練施設といった社会教育施設、先日見て回った野外キャンプ場や野外学習宿泊施設のような青少年教育施設など様々な施設が思い浮かびます。もっと広い意味で言えば民間企業が運営するスポーツクラブなどもその類に含めることもできるかもしれません。
もちろん、それらの中には主たる利用者に児童や生徒だけを想定していない施設もありますから、児童数や生徒数の将来推計だけをみて床が過剰だとか統廃合…という議論や分析は現状を理解・共有する上でとても重要な情報である一方、そうした情報を踏まえた上で施設の床面積をコントロールすること"だけ"でなく、社会教育という括りで見たときに「必要なものが・必要な場所(機会)に・必要なだけ・必要に応じて」配分されているかという視点も抜けてはいけない論点だと思います。
そういう視点に立つと児童や生徒に加えリカレント教育や生涯学習の機会も視野に入ってくることで、例えば学校校舎や野外センターといった単体施設をどのように扱ってゆくかという議論から、まち・エリア「全体」の目指す方向において当該施設にどのような役割を担わせるか、どのような機能を持たせるかという議論に変わるきっかけになるのではないかと思います。
単体でどうする?の視点を広げることで過当競争を避ける
例えば「野外活動センター 民間活用 事例」といったキーワードで検索してみると随分と多くの自治体で野外センターの民間活力導入の検討や実践が進んでいるような印象を受けます。同時に、それらの多くは民間企業によるキャンプ場運営の導入など、結構「似たようなもの」になっている印象も受けます。
誰のため・何のためといった目的的な議論を避け、近隣に先行する似たような利活用事例があることをいいことにまずはそれをやってみる…という判断をしても、同じようなものを出すことは利用者からの品質比較を厳しく受けることはもちろん場合によっては価格競争に巻き込まれ事業としての成否に影響を受ける可能性も高まります。
過去事例があるからといって競争の激しい市場に簡単に参入するより、地域の需要をしっかりとらえることを考え、さらに地域の目指す姿に繋がるような使い方を他の施設と関連つけて(学校+スポーツ公園、学校+プール、ウォーキングロード+野外学習施設など)ことで、「そこにしかない」価値を提供する使い方が生まれるのではないかと思います。
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