台湾視察:DAY3。社團法人亞太公私合夥建設 (PPP) 發展協會、國家發展委員會、空港PPP事業者 訪問記録
とても長いタイトルになってしまいましたが、2024年3月初旬に行った東洋大学PPPスクールの現役院生・OB・客員を含む教員との台湾公民連携関連の視察ツアー記録 3日目の記録です。
3日目は台湾においてPPP事業の拡大、発展を支援する民間団体(と言っても元政府関係者や大学関係者、実務家など「主役級」の多彩な顔ぶれの団体)の訪問、「JOIN」という台湾の国家発展に関わる政策推進のためのデジタルプラットフォームを運営する部門への実態ヒアリング、最後に松山、桃園という主な国際空港の「施設維持管理・運営」を担う民間企業へのヒアリングを行いました。
なかなかハードワークでしたがどの話も刺激的で興味深いものでした。
同じ目的を持つ組織。社團法人亞太公私合夥建設 (PPP) 發展協會への訪問
さて。APPPA協会の主な目的は学術交流、法律研究、事例研究、PPPの促進を支援することとあります。
事実、8年前の協会設立当初の活動は、地方自治体に行って職員がPPPを実践する方法、法的問題を回避する方法あるいはPPEの計画方法の理解促進を支援すると言ったものだったそうです。あるいは一般公開の研修プログラムの提供(多分、今年のはコレ)なども行っているそうです。
2日目のディスカッションで理解した通り、台湾でのPPPプロジェクト件数は日本のそれと変わらないほどの実績数であり、まだまだ「一般的」とは言えない状況の中、APPPA協会のHP内の別の記述にも「官民双方および一般の人々が PPP について正しく明確に理解し、政府および企業が前向きな姿勢で PPP 関連のインフラ整備を積極的に推進できるようにすること」とありました。その点においては東洋大学PPPスクールもまさに同じ目的を持つ組織であると言えます。
PPP的関心DAY2の記事にも記したように、台湾の特徴的なPPPプロジェクトへの取り組み方もありそれらについて学びを深めるためにも今後とも機会を作って交流できればと思います。
JOINについて知りたい!國家發展委員會への訪問
国家発展に関わる政策形成にプロセスにおいて国民参加を促すためのデジタルプラットフォームが「JOIN」です。
国民が日常の生活シーンで抱えている課題を正確に把握するには?、そしてそれらの重視の程度を把握できできるだけ早め政府が検討、対応するには?という発想から着手されたものだそうで、インターネットの1人1人の声がより広く届きやすいという特性を活かして24時間365日いつでも意見を受け付け、「誰も取り残さない社会」の実現を上位の大きい目標として掲げられて準備されたプラットフォームだということです。
選挙権の有無を問わず若者からシニア層と幅広い世代、また台湾で暮らしている外国人であってもメールアドレスと携帯番号さえあれば利用登録ができ政策に対する提案や議論ができるのだそうです(ちなみに…訪問時に伺った登録ユーザー数は139万人)。
訪問した3月時点で、ジョインを通じての「案件」提案は9,000件余り、そのうち60日以内に5,000人の賛同を得られたものは327件だそうです(案件が提示されて以降60日以内に5,000人以上の賛同が集まった場合、政府の担当者は何かしらの回答をするという約束がある)。政府が何らかの回答をすべき案件となったものは提出されたものの3.5%ですが、実はこの327件から実際に国の政策として採択されたのも159件もあるそうです。
こうしたボトムアップツールとして以外にも、各省庁が企画推進してる政策についてその情報を提供し、それに対する国民の意見をオープンに募集するというパブリックスピーキングという使われ方もあるそうです。
政策政府が特定の問題に対して国民がどのような点に関心を持っているのかを聞ける機能として使われているそうです(パブリックコメント的であるがプラットフォームとして広く開かれている感じはこちらの方が進んでいると思いました)。
また、上記の二つのようなダイアログ(対話)機能だけでなく、推進しようとしている政策のモニタリング機能としても使われるそうです。具体的には予算や誰がやっているのか、進捗状況といった情報を公開し続ける機能だということです。情報開示機能としても受け取りデバイスが「手のひらにある」ことは開示範囲や開示スピードの意味で進んでいると思いました。
参考まで。JOINに関して紹介されたこんな記事もありました
空港PPP事業者、昇恆昌免稅商店
日本ではコンセッション方式による公共施設整備の典型的な対象施設である空港ですが、台湾の空港BOTもしくはROTでは少し様相が違っていました。
一見するとコンセッションと同様「運営を独占的に行う権利」ではありますが、運営権の設定とその対価の支払いが先行するのではなく、整備に関わる資金調達は民間自らが行い共用後は家賃を支払いながら、政府からお金を受け取らずにセキュリティ以外の清掃や情報センターなどの公共サービスにも責任を負って運営を行うそうです。その分、空港で得られる収入を自社の収益とする(空港で発生するお金の40%〜50%)わけです。
独占的に運営する権利を持つ期間は15年、もしくは12年プラス業績オプションによる+3年といったケースがあると聞きました。
事業者による説明だけでコンセッションとの厳密な違いを十分に理解したとはいえないところはお恥ずかしい限りです。が、直感的に「運営権」というものの考え方について参考にするところが多そうだということは言えるのではないかと思いました。
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