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PPP的関心【地域金融機関とCFプラットフォームの連携】

「継続は力なり」ということで毎週更新を継続しているPPP的関心ですが、それには継続的なインプットが必要です。例えば、最近の活動の一環としては、2021年10月から12月まで学生達に混じって「YNU アーバニストスクールプログラム2021 」というワークショップ形式スクールに参加していました。

その中身(セントラル関内エリアを対象に、まちを豊かにする辛業や活動の社会実装のアイデアの企画を考える)は今回の PPP 的関心の主題ではなく、スクールでのグループワークの発表アイデアを聞いていただいた関内地域でまちづくり活動に取り組んでいる方々の感想から考えたことが主題です。

「いいアイデアをいただいたし、過去に自分達も企画しようと試みたことも含まれていた。ただ、過去に実現できなかったアイデアは人材や資金の準備が進まなかったから」といった感想を聞く中で、まちづくり活動等における「課題」の中で、「実行力」としての資金やアセット活用(例えば、不動産の活かし方)といった資金調達など金融的な知見が大きな要因であることを改めて確認できました。

この感想を聞きながら、以前書いたPPP的関心【『地域経営のための「新」ファイナンス -「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト-』を読んで】を思い出しました。
今回は、関連するニュースも重ねてまちづくり活動の資金調達について考えてみました。

地域経営とソーシャルファイナンス

前回の記事の中で紹介した書籍の中で、独自調査から産官学+金つまり既存の金融機関の取り組み姿勢や現状理解に関する調査が、個人的にとても興味深いものであることを述べました。
そのあたりについて、具体的には地域金融機関がCFプラットフォームをどのように見ているかを問うアンケート調査に興味を持ちました。
調査では、自社の融資先にCFプラットフォームの紹介をした経験や提携関係の有無によって、融資先企業にとってのCFプラットフォームが果たす役割・機能の認識、CFプラットフォームが地域の産・官・金連携を加速させる存在となるかの認識に「違い」がある、ということが示されています。
結果は想像に難くなく、自社の融資先や関係する企業にCFプラットフォームの紹介をした経験や提携関係が有る金融機関は、起業支援などにおけるCFプラットフォームの役割に期待と自分達との役割分担の可能性、将来的な自社の商機につながるイメージを持っているようです。

ニュース:地域金融機関とCFの業務提携

#日経COMEMO #NIKKEI

■浜松市ではスタートアップ企業が多いが資金調達に課題がある。
■浜松いわた信用金庫(浜松市)は17日、株式投資型クラウドファンディング(CF)サービスを手掛ける日本クラウドキャピタル(JCC、東京・品川)と業務提携、スタートアップ企業に紹介し、資金調達を支援する。
■業務提携により、浜松いわた信金が市内で運営する起業家向け共同スペース「FUSE(フューズ)」の入居企業や、取引先ベンチャー企業などに紹介し、サービスを利用する企業に対しJCCと共同で事業計画の作成などを支援

日本経済新聞 記事より

浜松いわた信金は、すでに起業家向け共同スペースの運営という場の提供によるスタートアップ支援をしているとのことですが、金融機関として融資という形で支援しにくいスタートアップ期の企業に対する資金調達支援として業務提携に取り組んだことは、先ほども書いたように、自社のできること、CFプラットーフォームができることの違いを理解し、違いがある同士が連携することで地域活性化の重要な要素である新産業・新企業のスタートアップの支援が地域貢献となることを理解していることに他なりません。

機会創造を支援する。金融機関の「役割の拡張」

地域を活性化するということの定義はさまざまです。人流の拡大、商取引の活発化、経済規模の拡大など着眼点とその期待程度によって取り組み、施策も変わってきます。
しかし、どのような着眼点を持っていたとしても、リカレント教育など学びの機会の提供、起業環境の整備、起業支援などを通じて、地域の中で新しい知恵や新しい力を生み出すことが不可欠だと思います。

そもそもクラウドファンディング手法はマーケティング上の販路開拓、知名度向上、そもそも事業に対する共感=ファンを創り出すという効果をどう活かすかという点でも、起業支援には向く手法だと思います。
地域の中で新たな知見や新たな力を引き出し、地域課題解決のためのソーシャルファイナンス手法の導入は、そもそもの既存金融機関、そして新しいCFプラットフォーム事業者にとっても「金融」という役割を通じた機会の提供、起業環境の整備、起業支援そのものであり、通常営業活動が地域貢献になるという点で、今回の連携のニュースは注目の取り組みであると改めて考えました。



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