PPP的関心【進む公共施設の再編。再編の目的共有・共感と民間のビジネスチャンス】
以前からPPP的関心では”公共施設マネジメント”について何度か話題に取り上げてきましたが、
最近、日経電子版の特集「データで読む地域再生」で公共施設の集約に取り組む自治体の実践やその進展を取り上げる記事を目にしました。
今回は特集記事で紹介された各地の取り組みにコメントを寄せながら、取り上げてみたいと思います。
*写真は2018年に訪問したSydney Olympic Park 内でTOKYO1946に惹かれてとったワンカット。
その前に。そもそも公共施設の統廃合、再編、集約を進めるのはなぜか
冒頭の過去記事にも書きましたが、公共施設総合管理計画の起点は平成26年4月の「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」という総務大臣通知で、通知に従い令和2年3月末で99.9%の自治体が計画策定が完了、さらにその後の平成30年の計画推進の留意点、令和3年の計画の見直しに当たっての留意事項という追加的な通知によって計画が随時進行、更新されています。
過去記事の繰り返しになりますが、策定指針の概要に示されたテーマには、
■公共施設の管理(長期的視野、適切な実施、トータルコストの削減)
■まちづくり(PPP/PFIの導入・活用、将来を見据えた検討)
■国土強靭化(計画的点検、履歴情報の蓄積、安全性確保)
という3つのテーマがありました。
記事事例:計画推進における共有と共感
特集でピックアップされていた事例でまずこれが目についたのは「住民向けサイト」というキーワードです。サイトの運営自体が仕事のための仕事を産むというふうにみられかねませんが、そもそも住民にとっては今までそこにあったものが遠くに行ってしまう、といった公的サービスの低下は受け入れ難いものであることが起点となれば、まずは情報開示と共有、さらにその先に共感を得なければことは進まないと思います。
事実を事実として発信しただけではかえって反発の醸成を招きかねない?と臆することなく、まずは「オープン」である姿勢を示し、その結果、関心を促すことはまさに「第一歩」だと思いました。
記事事例:民間ビジネスの導入と活用
この記事で扱われている事例には、公共不動産の使い方を民間事業に解放する、あるいはサービス供給者を公共から民間に移すといった内容もありました。
公共サービスとは、そもそもサービス提供を市場原理にだけ任せてしまうと充分に提供(供給)されない場合に、税負担を原資に政府がサービスを提供するということが原点ではあるわけですが、活動原資を市民に由来する以上サービス提供活動が非効率・非合理で良いわけではない。
これまでの施設運営において将来需要予測の甘さやサービスニーズの変化の把握、ニーズの変化に合わせた施設更新などにおける非効率や非合理な運営が現在の低利用を生じさせた一端だとすれば、改めてサービス提供の有無、サービス提供者の役割交代の可能性を検討するという話でもあります。
建設・不動産事業者のビジネスチャンス
公共施設整備や運営というのは、言い換えれば公共「不動産」の整備や運営です。ここで運営者の非効率や非合理が課題と設定するのであれば、解決に向けては不動産の整備(建設、改修、維持管理・保全)や運営の「専門家」である建設、設計、不動産関係の事業者の登場を期待することは自然なことだと思います。
今回読んだ特集記事は自治体の目線・立場に立って
■公共施設の管理(長期的視野、適切な実施、トータルコストの削減)
に関する施策推進の困難をいかに乗り越えるかというトーンに感じられましたが、それはそれで必要なこととして、加えて今目前で起こっていることについて改めて
■まちづくり(PPP/PFIの導入・活用、将来を見据えた検討)
■国土強靭化(計画的点検、履歴情報の蓄積、安全性確保)
といったテーマも踏まえて、公共不動産の利活用、特に地域の活性化に貢献するような事業の機会とする、そう考える民間事業者がさらに増えるように微力ながら貢献したいと思います。