PPP的関心【続・PFS(成果連動型民間委託)について・その2。結果が出始めたPFS】
以前にも何度か書いたPFS(成果連動型民間委託)について、改めて「結果が出始めたPFS、SIB」という記事(古い記事(2020年12月9日付)ですが)を読んでみましました。以前も書いたように
PFS制度活用において大切なことは、「小さいけど将来に有益」な課題の「因果を明確に捉え」て解決策の設計ができるか
PFSを活用した公共(公的)サービスは「予算措置の有無=やったか、やらないか」から「成果指標の明示と結果=できたか、できないか」というように公共(公的)サービスの評価基準を変える
マイクロエリア(地区)単位の小さな課題への予算配分が優先順位的に劣後しがちであった従来型の予算の割り付けで対象にしにくかった地域課題の解決に対する策としても有効
と考えていますが、これまでに「実施された取り組み結果に対する評価」はどうだったのでしょうか。今回は、改めて記事の紹介と記事を読んで考えたことについて書いてみます。
記事。「結果が出始めたPFS,SIB(2020.12.9)」
以下、記事の紹介と結果に対する評価についての内容を紹介します。
浦添市、行動経済学(ナッジ)活用で大腸がん検診受診者40%増
八王子市の大腸がん検診受診率向上SIB、3目標のうち2つを達成
結果とその評価について考える
ピックアップした事例では、浦添市の例では設定した指標はクリアしたことで上限支払い額を民間が受け取っていますが、八王子市の例では、そもそもの設定に基準や指標そのものに対する懸念が示されています。
この差には、冒頭にも示した「因果の明確な捕捉」における不足があったのではという懸念や、(事実は不明ですが)制度理解の差もあったのではないかという心配を持ってしまいます。
書かれている通り、早期発見は診断の「結果」であって、その結果が生じる過程にある健診受診率との因果(あるいは相関)の有無を捉えていれば指標の対象として馴染みにくいことは想像可能です。
あるいは、浦添市の事例でも、17,000名を対象として2000名以上の受診実績がある取り組みで、500名という目標設定は妥当であるか?という基準の合意は議論が分かれそうな点です。
この点については、今回の取り組みがモデル事業ということなので、得られた知見(勧奨を行った人の受診率と勧奨が行われなかった人の受診率は約2倍の差が生じるといった「事実」)を生かし、今後は他の類似事業についても「合理的な」設計がされていくきっかけにすることが重要だと思います。
いずれにしても「因果を明確に捉えて解決策の設計ができるか」というPFS(SIBを含む)の基本的な考え方が取り込まれているか否かで、結果の評価が変わるということが確認されました。
最近の内閣府のPFS事業事例集
上記記事は過去の事例でしたが、内閣府による「PFS事例集」も公開されていて(内閣府で把握したPFS事業事例の一部だそうです)、記事の事例以降の施策(最新と思われるものは事業開始年度が令和元年のよう)も見つけることができます。
令和元年を事業開始とする取り組みも、期間が数ヶ月のものもあれば複数年にわたるものもあります。
数ヶ月のものであればすでに事業は終了しているはずですので、上記の記事のような結果に関する公表がいずれされると思います。
結果の公表については、引き続きみていきたいと思います。