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PPP的関心2023#10【空港関連の2記事から考える都市経営】

以前のPPP的関心でも大分空港の「宇宙港」プロジェクトの話を大分県庁の方から伺った話に少し触れましたが、現地で街を歩く中で「支える産業」と「支える精神」の存在が街のポテンシャルの源泉になっていること、そして宇宙港というのは元々備えているポテンシャルを引き出し活かすための手段であるという記事を書きました。

今回はその後の動きを確認できる記事を発見したのに加えて、同様に空港を地域のポテンシャルを引き出す手段にしようとする北九州市役所の取り組みに関する記事を目にしました。今回は2つの街に共通する「地域のポテンシャルの引き出し方・活かし方」について考えました。
*記事とは関係ないけど、タイトル写真は2019年に自分で撮ったブタペストのフェレンツリスト国際空港 の風景から。

「宇宙港」をきっかけとして民間も動き出す

以前の記事でも書いた通り

宇宙港に集まる宇宙産業関係者、時代の先端技術者、それを目当てに集まるユーザー(富裕層)などに対する「支え」と「おもてなし」までを含めた裾野の広い民間ビジネスの大きな機会と捉えている
PPP的関心 過去記事より

という大分県の担当部局の言葉にあるように、大分の宇宙港プロジェクトの持つ意味は、実は地域経営視点から観光産業の活性化など地域課題の解決のきっかけにするといった意図が根底にあります。
今回たまたま目についた記事は、そうした地域経営の意図(狙い)を民間側も理解し共感したことで動き始めたという一連のものだと考えられます。

組織を立ち上げたことは第一歩に過ぎず、こうした地域経営ビジョンの提示と地域の民間事業者による取り組みの呼応が生まれていることは着実な歩みを感じる報道だと思いました。

24時間空港の特徴を「まち」の特徴に

北九州空港の滑走路が、500メートル延びて3000メートルになる見通しとなった。最速で2027年度に実現する。欧米から国際貨物の直行便を就航させやすくなる滑走路延伸は、物流を成長の柱に位置づける北九州市にとって、開港からの悲願。貨物取扱量を増やすため荷主に働きかけてきた市職員の努力が、構想を現実味のあるものにした。
記事より抜粋

近代日本の発展と成長を支え続けてきた北九州市にとって、産業構造の転換にともなう製造業の縮退ののち、これからの北九州市が生み出す「価値」についてものすごく思考したはずです。
その中で「24時間離着陸できる、九州で唯一の空港」という地域資源のポテンシャルを再確認し「福岡県や日本の成長を加速させる」というビジョンを掲げ、具体的に価値を生み出すために「市役所が自らセールス活動の先頭に立った」取り組みの結果、国際貨物空港という強みを着実に伸ばしている。今回の滑走路延伸はさらに強みを伸ばすための大きなフックになるということです。

都市経営は、ビジョンを掲げビジョンへの共感を呼ぶことから

大分空港の「宇宙港」の話題にしても北九州空港の「24時間国際貨物空港」の話題にしても、取り組みに共通していることは空港というインフラ・手段「だけ」を強化することを目指していないということです。
どちらの話題についても、それぞれの地域のありたい姿が示され、その実現に貢献できる地域のポテンシャルを見直し、可能性を最大限に活かす・伸ばすために空港というインフラ・手段をどのように使うと良いかという手順が踏まれている点が共通しています。

以前に【都市経営ビジョンの必要性。秋田市のコンパクトシティ関連の記事を読んで】という記事を書いたことがありますが、今回の空港活用を手段として地域経営を考える際に「どのような地域であるのか(ありたいか)」がまずもって示されていることは、「ビジョンを掲げビジョンへの共感を呼ぶことから始める地域経営」の見本的な取り組みではないかと思いました。


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