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PPP的関心2025 / 大胆!? 旧保育園建物を無償で譲渡する未利用公有財産活用ビジネスプランコンテスト
少し前の記事ですが。民間提案制度を通じて地域の活性化や価値向上に貢献するビジネスプランを募集し、優秀プランに選ばれた事業者に対し廃校(今回のケースでは元保育園)の建物を譲渡するという大胆なアイデアについて書かれた記事に着目しました。
「公民連携事業」としてこのビジネスプランコンテストを実施したのは京都府福知山市です。
以前から注目していた福知山市の廃校Re活用
このPPP的関心でも以前書いた廃校あとの施設利活用のための公民連携事業を進める福知山市の取り組み姿勢について
「民間の多様なアイデアを実行力がもたらした多様な事業」だけに着目しいい民間を見つければなんとかなるかも!と理解するのではなく、「実現するにはどうすれば良いか」に向き合いそこで発生するさまざまな問題や課題に自分で向き合い解決した結果
に注目すると書きました。
今回のプロジェクトでもまさに「地域に価値をもたらすアイデアを実現するために(より良いアイデアを引き出すために)何をするか」という点で福知山市の取り組みは「さらに踏み込んだ」ものになったと感じました。
福知山市未利用公有財産活用ビジネスプランコンテストとは
コンテストは、ビジネスプランを実際に実行いただく民間事業者様からの応募を受け、一次審査で各施設3者程度に選考させていただき、その後最終審査のプレゼンテーションにより、最優秀となった提案事業者様を優先交渉権者に決定します。
最優秀の提案への特典として、旧保育園建物を「無償譲渡」とすること、土地については「無償貸付」とすることを予定しておりますため、こうした条件を前提にビジネスプランを御検討ください。
今回は、2つの未利用公有財産(廃止した2カ所の保育園)を対象に、「新たなアイデア」、「新たなプレイヤー」を発掘することを目的として、公共施設マネジメント民間提案制度の枠組を用いた取り組みだそうです。
実際に採択された事業
詳しくはリンクの「新・公民連携最前線」の記事をご参照いただくとして、一つは「魚の養殖とその排泄物を水中のバクテイアが植物の栄養素に分化し、その栄養素で葉物野菜やトマトなどを栽培する事業」もう一つは「薬草/生薬由来のオーガニックコスメ・ヘルスケアプロダクトの物品販売(EC販売・店舗販売)、薬草栽培・収穫・製品化・体験の一気通貫の体験プログラム実現、薬草の契約栽培など地域とのパートナーシップの醸成」などとあります。
福知山市の運用指針を読む
今回の施策で注目する点は福知山市役所の指針に沿った目的的な取り組み方だと思います。
特に、十分な施設の価値向上につながる事業であるか、施設の活用で地域を含めた本市の取組みとして将来的に期待できるかといった視点を持って事業者を選定している点は注目するところです。
先日もある会で私益を追求する民間企業にどこまで公民連携フィールドを提供するのか、何を期待するのか(期待できるのか)?といった基本的な議論をしたところですが、公益の実現はその手前で民間側に私益の蓄積があってこそのものだという循環的あるいは包含的な視点を持つべきで、その意味では「大きな公益議論」抜きに私益の追求の是非だけを問うのは不十分な議論では?という話をしました。
今回のある意味大胆な「建物無償譲渡」はその先にある公益を実現するためのパートナーへのインセンティブであって、「急がば回れ」「将来を見据えた長期視点」という福知山市の姿勢は注目に値するものだと感じました。
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