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PPP的関心【いつもとは違った参加者(地方議会議員さん)が集まる勉強会に参加してみてみました】

施策手段としての外部委託の結果を「評価」するのは大事

たまたま知人のSNSで「議員向け外郭団体のチェックのための財務分析勉強会」というオンライン勉強会が開かれるということを発見し、無理をきいていただき傍聴させてもらいました。実態を知る上でとても勉強になる時間でしたので、参加して思ったことを記録として残しておくことにしました。

開催された知人曰く、


私たちが何かの評価を行う際、知識を得ることで第二、第三の眼を持つことができます。財務の知識もその一つ。お金の動きを理解して分析できるようになるだけで見えなかったものが見えてくる。公共政策に関わる人は複式簿記の知識を得て、投資と経費の違い、資産と負債の違いを理解したほうがいいと思っている。

ということがきっかけで開催に至ったようで、その考え方は全くその通りだと思いました。公的サービス、行政サービスの提供を進める「手段として」用いた外郭団体への業務委託や(3セクを含む)企業への投資に対して、その結果を「評価」する必要があるというのは当たり前のことと思います。

しかし、評価する、あるいは評価結果の適正さを第三者としてチェックする(地方議会の)議員さんがそのような素養を持ち合わせているか?という点は、自分でも新しい気づきでした。「そうか。議員さんはその素養の有無で選ばれていないもんな」ということです。もちろん、そのことを批判的に考えているわけでもないですし、議員さんの中には金融機関出身や企業経営の経験を持つ人もいるわけですが、ただ、「今まであまり関心を持たれていなかった”財務的な視点”を求められる背景として、公会計(自治体会計の複式簿記制度といったもの…)制度も始まっていること、さらに自治体の財政見通しを踏まえれば、公的サービス提供の外部化(民間企業との公民連携、NPOや社団などへの委託等の公民連携)が増えるであろう、という現状から冒頭の「公共政策に関わる人は複式簿記の知識を得て、投資と経費の違い、資産と負債の違いを理解したほうがいい」という新たな素養が求められるのは避けられないのでしょう。

何を評価するのか、という線引き

勉強会では、そもそも複式簿記って?仕訳って?公会計って何?という方から実務経験もある理解度の方までのばらつきのある中で、主にはお金の調達とその使い方という両面を捉え、それが効率的であるか否か、といった観点で話が進んでいました。その中で、参加しながら思ったことは、投じたお金の効率性や期待成果とその実現程度などの評価には「プロ」がいる、ということです。会計士や税理士、金融機関での実務経験を有する人と同じことをやれというのはちょっと違うかな、ということを感じました。

では、議員さんの評価すべきは何なのか、ということです。

やりとりの中で感じた「契約に対する関心と理解の不足」

「議員さんの評価すべきは何なのか」、参加しながらもう一つ自分が思ったことは「契約と期待成果の妥当性と必然性」こと議員さんの役割ではないかというです。

私も関わる東洋大学大学院の公民連携専攻( http://www.pppschool.jp/Outline/ )では、PPP(公民連携)の原則として、明確な目的と必然性が共有され、委託した事業が「効率的」に運営されていることは前提であり、その上で、(1)官民間のリスクとリターンが設計されていること(例えば、トラブルが発生したときに責任行動分担とか)、(2)「契約」によるガバナンスが行われること、と伝えています。

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今回の勉強会の起点である、外郭団体や3セクなどへの事業等は厳密に言えばいわゆる公民連携と言い切れない面もあると思うのですが、一方で「外部に委託」するということは、行政機関が自ら直接実施するよりも政策目的や期待成果をより高く(広く、高精度に、などなど…)実現することができるから発注するはずです。

ということは、その外部委託において「政策目的や期待成果をより高く(広く、高精度に、などなど…)実現」できる契約(役割分担や費用分担など)になっているか?、さらに当初契約が守られているか、イレギュラーな事象が起こっているか、もし起きていたら適切な処理となっているか、といった点検が大事で、それであればお金の効率のチェックのようなプロのスキルを高める前段階でもできるのではないか、そんなことを思いました。

実際、勉強会でのフリーコメントの中で、某市議会の議員氏から、指定管理者によって運営されている施設の大規模修繕が行われるか不透明で不安ですというコメントがありました。しかし、まず「指定管理の契約」を確認するという原点立ち返る習慣やチェックポイントを理解していれば、あとは約束が約束通りに果たされるかの確認をすることになるだけです。

自治体経営における「契約」について、その必然性と妥当性についての評価機能としての議会を構成する議員さんのスキルアップに期待をしたいと思いました。

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