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PPP的関心【遅ればせながらHisaya-odori Park に行ってみました】

私のプロフィールにもあるように愛知県は地元です。その地元ですでに稼働している「日本最大級!」(大小を示す意味があるのかは不明ですが…)のPark PFIである「Hisaya-odori Park(ヒサヤオオドオリパーク)」に行ってみました。
今回はそこで感じたことをちょっと備忘録的にメモします。
写真は当日撮影した現地の様子。

プロジェクトの概要

詳しくは代表企業である三井不動産(*リリース)名古屋市(*HP)にある本件のリリースを参照いただくとして、プロジェクトの目的(なぜ久屋大通公園なのか、なぜここで公園再整備なのかなど)について記しておきます。

名古屋に詳しい方であればお分かりですが、名古屋駅周辺の再開発が進んだことで、以前は「2極」であった都心的機能(いや、むしろ名古屋駅前よりも都心的機能は栄地区に主軸があったとも言えるかも…)が近年は名古屋駅周辺の1極化傾向が現れています。
それに対して名古屋市では「栄グランドビジョン」として、栄地区の都心的機能の再興を意図した(と思われる)3つの方針を掲げました。

■方針1:公共空間の再生 「にぎわいと魅力にあふれた世界に誇れるシンボル空間の形成」
■方針2:民間再開発の促進 「機能更新が進み活気あふれる都市空間の形成」
■方針3:界隈性の充実 「個性を持った多様で魅力的な界隈の創出」

名古屋市HPより

今回見に行った久屋大通公園の改修は、方針1に照らした「都心のシンボル空間として、名古屋を訪れた多くの人々や市民が集まり、憩い、ふれあう、栄地区を象徴する公共空間にふさわしい整備」としていわゆるPark PFI方式で整備されたものです。

(個人的な感想)これからの動きに注目、という段階?

北側(写真の左側,ZONE1とある区画)は以前は鬱蒼と樹木が覆う場所でしたが芝生広場化されたことで親子連れの姿を見かけるなど人々が集まりやすくなっている印象を持ちました。

現地の全体イメージ(筆者撮影)

また北側に行くと高層マンション群など都心居住エリアにも近くなり、近隣に住む市民にとって(かなり盛り盛りな例えですが(笑))マンハッタンのセントラルパーク周辺のレジデンスが持つような景観価値を獲得することができたのではないかと感じました。
また当日は「明かに名古屋の人ではないな」という人々(観光客風)も結構見かけました。その影響か、平日昼間でも飲食はそれなりに入っていましたので「来街者を集める」という点でも当初計画は進捗しているのではないかと思いました。

一方で、南側のZONE3、4(特に4)には主に飲食に加えて物販系の施設が入っていますが、実際に歩いて見た限りのお店のラインアップ(ブランドなど)は今回の対象エリアのさらに南側にある商業集積地域にもあるコンテンツと大きな差がないようにも思いました。また公園内に設置された建物の開口部が「内向き(一部に外側にも開放している飲食もあるようですが)」で、遠慮抜きに言えば公共空間に新たな民間オープンモールが出現し、周辺ビル街のグランドレベルとの関係において「閉ざされた」かのような印象を与えている、そんな印象を持ちました。これでは周辺地域とお互いの取り柄の活かしあいによる人の往来などは生じにくそうだ、そう感じました。

とりえず。
「滑り出し」は人も出てきたしよしとできそうだが、そもそも計画していた栄グランドビジョンで示された方針2、3にある「回遊性」や「東西南北のつながり」を呼び起こす中心的で象徴的な空間となっているか?については「今後」の動きや取り組みを見るという段階なのだろうということだと理解しました。

「大きなリノベーション」と「小さなリノベーション」

冒頭に「日本最大級」ということについて斜めから見たようなコメントをつけましたが、今回のプロジェクトはまさに「大きなリノベーション」という位置付けのプロジェクトだと思います。
私は普段の講義の中で「大きなリノベーションと小さなリノベーション」という対比的な分け方をしています。

参照)
*大きなリノベーション=有休公共資産活用
*小さなリノベーション=有休民間資産活用
共に「目的は地域の経営課題を解決るすための利活用の提示と実践」

講義のなかで示している定義

今回のプロジェクトについてその優劣や良し悪し、優先順位の付け方(優先順位については小さなリノベーションの集積で対象エリアにヒトモノカネの流れが再興した後に大きなリノベーション(投資)が起こるのが自然だとは思っていますが…)のあるべき論を主張したいわけではないのですが、「地域(の使われ方やあり様)を変える」という意味では大きな改修=今回の様な「大規模な都市公園」の利活用の拡大・物理的な改修も必要だとは思う一方で、小さな改修=周辺の民間施設の利活用拡大・物理的な改修の積み重ねが同時並行的に起こることも必要だと思うのです。
そういう考えからも周辺への波及効果を呼び起こすような動きがあるか?について「これからの動きに注目、という段階」にあるなと実感する次第です。

ということを思うにつけ、街に背を向けた建物や使われ方のあり方は、冒頭のビジョンの2や3を誘発するには不十分なのでは?…そんなことをぶらぶら歩きながら考えた半日でした。



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