私、ZAPの味方です 10月4日 全女・博多スターレーン1998.10.06 矢部明洋
「腐っても鯛」というが、まったく「倒産しても全女」である。
まず世評芳しくないZAPに驚いた。しばらく見ない間に(何しろ全女を見るのは4~5年ぶり。当然、倒産する前のこと)渡辺も伊藤もたくましくなったじゃないか。nWo蝶野のブレイクで上品というかエエカッコしいのヒールばかりになってしまったマット界で、この2人ほど観客の憎悪をかきたてることに長けた悪役を見るのは久しぶりだ。つまり客と勝負できるレスラーだということ。女子マット界は特にJWPが「ピュアハート」なんぞと言い出してから、毒っけのない自己満足のナルちゃんワールド傾向が強かっただけに、今の渡辺・伊藤のファイトは全面的に支持したい。リングサイドの客がエキサイトして伊藤に罵声を浴びせ、おかえしに竹刀を投げつけられていたゾ(それが当たったもんだから若手が客に謝っていた。物分かりのいいオジサンでよかったね)。場外乱闘では客の子供が怖がって泣き出すし、こんなにプロレス会場らしい光景に出くわすのもホント久しぶり。悪役芸を堪能させてもらった。
2人は時期を見計らって早々にマスクを脱ぎ、新「極悪同盟」でも「獄門党」でも結成すべきだ。しかし、ベビーフェースが豊田や堀田では新味がなくワクワクしてこないし、ウーン、どうする全女。書き忘れるところでしたが、カードは渡辺が、貴子とのタッグでIWAの若手と、伊藤は前川久美子とシングル。
メーンは豊田・堀田と中西組のタッグ。何しろ中西なんてチビっこ選手など雑誌でしか見たことがないうえ、あの体格でしょ。マッチメークの失敗かと思っていたら、気の強さ、身の軽さ、口の上手さ(悪さ)でベテラン2人と見事にスゥイングした。
会場の入りはいいとこ6分と、悪かったが客は堪能したはず。そのうえ、私の斜め前の席では矢樹広弓選手がプライベート観戦。ラッキーな興行でした。D席3000円だったし。
それにしても、よくやってるとはいえ、全女もこのままでは先細りは明らか。誰か早くブレイクしてくれ。