迷えるデ・ニーロ 『アナライズ・ミー』1999.11.20 英国調・東映オールスター時代劇 『エリザベス』1999.11.20 不遇な佳作『トーマス・クラウン・アフェアー』『シックス・センス』『ワイルド・ワイルド・ウエスト』 1999.12.02
迷えるデ・ニーロ 『アナライズ・ミー』1999.11.20
名優として評価の定まった観のあるロバート・デ・ニーロだが、最近変な映画ばかりに出ている。本作も、そんな1本。
推測するに、シリアスな演技で名声を得た彼は、今度は喜劇でも「上手い」とほめてもらいたくてコメディー系の作品に出演を続けているのではなかろうか。しかし、その野心もすべりっぱなしであり、本作もそんな1本。
俳優の演技うんぬんの以前の問題としても、おもしろくない1本。
英国調・東映オールスター時代劇 『エリザベス』1999.11.20
見る前は、堅苦しい史劇かなー、と思っていた。ところが始まってみれば、大違いのコンコンチキ。こりゃ-日本映画黄金時代の東映正月作品かと見まごうばかりの、ケレンたっぷりのスター時代劇だった。それなら、そういう宣伝をしてくれよ。
まー、使ってる俳優の顔も芝居もいいし、小さな役の俳優をもたてよう、たてようとする演出がうまく絡まってメリハリのある場面が続く。見ていて飽きない。
特に主役のケイト・ブランシェットは素晴らしい。
本作は『恋におちたシェイクスピア』とオスカーを争い、敗れたわけだが、劇としてのカタルシスはこっちが上。ま、どちらもアカデミー作品賞には格落ちの感があるが、『エリザベス』の方が断然おもしろかった。見ていて楽しかった。シェイクスピアは野心的な試みが、すべっていて、アラが目だって損なんだよなー。
不遇な佳作
『トーマス・クラウン・アフェアー』『シックス・センス』『ワイルド・ワイルド・ウエスト』 1999.12.02
11月に封切られる映画は気の毒だ。お正月映画公開までのつなぎのような扱いで、映画各社の宣伝にもイマイチ力が入ってないような気がする。
それでも『シックス・センス』はヒットしてるようで、何より。
見てる間は、「へたくそだなー」「大したことないなー」なんて粗がいろいろ目につくのだが、ラストまでたどり着くと、粗がトリックの伏線だったと分かり、作品への評価が一変する。出来のよい本格推理小説を読んだよう気分になった。なるべく予備知識なしで見るのがよいが、一言言わせてもらえば、アガサ・クリスティーの某傑作を思わせるトリックだね。
さて、本題の不憫な映画は『トーマス・クラウン・アフェアー』のことだ。はっきり言って面白い。なのに劇場に聞いてみると、客は入ってないという。ご存知のようにスティーブ・マックィーンとフェイ・ダナウェイが共演した『華麗なる賭け』のリメイクであるが、ピアース・ブロスナンもレネ・ルッソも負けず劣らず良い。
特にレネ・ルッソが、いい女ぶりを全開させていて素晴らしい。演出、衣装、小道具と全てが彼女の見せ方に手練手管を尽くしていて、気持ちがいい。この映画のレネ・ルッソ写真集が売ってれば買いたいほどだ。
もちろんブロスナンの二枚目ぶりも堂に入ったもので、嫌味が無い。
こういう映画をヒットさせられないのは業界にとって良くないことだ。
宣伝しやすい特撮ものばかり偏重するのは止めないと、特撮に頼らないオーソドックスなドラマ作りがすたれてしまうのでは、と危惧を抱いてしまう。
『トーマス・クラウン・アフェアー』に比べれば正月映画のトップを切って封切られる『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は実に空虚な大作だ。ぜ~んぜんっ! おもしろくなかった。見るだけ時間の無駄です。ご忠告まで。