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ぬるい・あさい・ずるい 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』 『金融腐食列島 呪縛』『ノッティングヒルの恋人』再び 1999.10.18 矢部明洋
SWはもう見たくなかった。
多分、自分には面白くないから。
でも世間が騒ぐので、義務感で見た。
どっかで見たようなシーンのオンパレードじゃないか。
レースの場面は『ベン・ハー』みたい。
草原に進軍する通商連合軍の船の力感表現は宮崎駿アニメのよう。
唯一違うのはルーカスがワイラーや宮崎のようにアクションが上手くないという点。皮肉にしても笑えないよ、こりゃ。
物語の展開も活劇場面もダレ切っていて、ぬるい。
同じ日に『金融腐食列島 呪縛』を見た。
原田監督はデビュー当時は黙殺というか酷評されたもんだが、ウェルメイドにまとめる腕前は確かだった。
この群像劇を手際良くまとめた腕は今の日本映画界では貴重だが、バランスの人なので深みの点では物足りない。
今回は『トップガン』の監督みたいに騒々しく押しきったように見えて、どのシーンも緻密な計算が行き届いている。腕前は確かだし、日本映画は『踊る大捜査線』といい、このクラスの作品をヒットさせられないというのでは未来はないよ。
原田監督の手腕は、過大評価されている伊丹十三より上。映画メジャーは彼のような職人監督を大切にしてほしい。
『ノッティングヒルの恋人』は前、書きましたが、少々ほめすぎかな、と思って再度、『ローマの休日』との比較で簡単に言及します。
同じような話なのに、どうして『ローマの休日』ほどの感銘がないのでしょうか。
それは『ローマの休日』が、ヘプバーン演じるヒロインを丁寧に掘り下げて描き、いわば物語の核の部分で勝負したのに対し、『ノッティングヒルの恋人』はストーリーの厚みとなる部分をヒュー・グラントの友人連の描写に振ってしまったからです。真っ向勝負を避けたから、結末のパンチ、カタルシスに威力がなくなったんです。
でも、これもウェルメイドといえばウェルメイド。
作り手たちは『ローマの休日』と勝負しよう、なんて思ってないでしょうから。
ずるい。けど、技あり。