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コロナ感染

 初めてコロナ(COVID19)が日本に上陸した時、日本中が大騒ぎになった。

 マスコミはこれでもかと危機を煽り立て、ダイヤモンドプリンセスは言うに及ばず、屋形船がどうの、バスの運転手がどうの、コンサート会場がどうの・・確かに一見元気そうに見えた方(志村けんさんとか)が突然亡くなるというショッキングな事例はあったが、死亡率は毎年流行するインフルエンザとどれほど違ったのか、今こそ、冷静に振り返ってみるべきではないか。
 ずっと右肩上がりだった日本人の死亡者数が、日本で本格的にコロナの流行が始まった 2020年には減少したという事実を知っている人はどれくらいいるのであろう。

 パニックを引き起こした初期の武漢株やアルファ株でさえ、震え上がるほどの死亡率ではなかったのに、ましてや何度か変異を繰り返した今のオミクロン株なんて、風邪に毛が生えた程度のもんだよ・・そう言っていた私が往診先で見事?コロナに感染した。

 がん末期の方がコロナに感染して亡くなられたのであるが、「亡くなった人からは感染はしないだろう。咳をすることもないし・・」などと思ってマスクだけで看取りに往診したら、その家の方全員がコロナに感染しており、「あっ」と思った時は後の祭り。
 ウイルスが充満する家の中でちゃんとお土産を頂戴したという訳である(これって労災じゃね?)
 
 それから3,4日して発症。
 予想通りのひどい喉の痛みや咳、食欲不振。
 熱は2日程度でおさまったが、予想を超えたのが身体のだるさ。

 立ち上がると気分が悪くなり、トイレに行くのも一苦労。
 加えて変な胸の痛み、異様な喉の渇き、味覚障害。

 試しにカレーを口に入れてみたがぼんやりとしか味がせず、唯一、味らしい味を感じられたのが「みかんゼリー」
 普段は食べないみかんゼリーばかりを口に入れていた結果、たった数日で5キロのダイエットに成功することになった。

 コロナは風邪に毛が生えた程度?どころか、頭の毛が全部抜けるんじゃないかと思うほどしんどい病気だというのがよくわかった。  
 
 私は診療所の開設以来、自らの体調不良が原因で休診したことがない。
 40度近い熱が出ていた時も診療していたし、ヘルニアで左足が麻痺していた時も杖をつきながら往診していた(診療先で2度ばかり転倒して大騒ぎになった)

 だが、さすがに今回は仕事できる状態ではない(第一、コロナで診療なんてしてはいけない訳で)
 診療所のグループ LINEに「診療所は休みます。いつか明言できませんが、出勤できるようになったら連絡します」

 正直、仕事のことなんて考えられるような身体の状態ではなかった。

 リビングのソファで一日中横になりながら「死ぬ時って、こんな状態が長く続くんだろうなあ」などと考えていた。

 5日ほど休んで出勤すると、看護師が普段はあまり見せないような嬉しそうな顔で「先生が来た~」

 私が休んでいる間、診療所の職員は毎日全員が定時に出勤し、退勤時間まで診療所にいて来院する患者さんや訪問看護師達に事情を説明していたらしい。

 同時期に医療の道に入った知人から「退職や閉院のお知らせ」が届くことも珍しくなくなったこの頃、医療の世界から退く時期が頭をよぎる機会も増えてきたが、今回のことであらためて気づかされた。

 診療は自分だけでやってるんじゃない。

 この職員達と一緒に、もう少しだけ頑張ってみようと思う。


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