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美の誘惑

 文房具店でふと目に留まった美しい万年筆。

 例年のごとく、年末年始の休みなんて1日もなかったからなどと、言い訳を考えながらの衝動買い。
 カルテが電子化してしまってから、自分で字を書く機会は激減してしまったのだけど。

 昔から美しい外見にはめっぽう弱い。

 かつて外見が美しいという理由だけで決して安くはなかった MacBookを衝動買いし、あまりの使い勝手の違いに挫折。MacBook に Windowsをインストールして使うという支離滅裂なことをやらかしたことがあった。

 美しさに目がくらんで行動を起こすとろくな結果にはならないと、しっかりと学習しているはずなのであるが・・

「中字でいいですか?」と店員何度も尋ねられた後に購入したが、実際に持ち帰って書いてみると・・思いのほか線が太い!

 菜々緒を指名したのにマツコ・デラックスが現れたような・・16,500円返せ~!

 自分が馬鹿なだけなのだから普通はそこで諦めるはずが、一旦美しさに惑わされてしまった頭は簡単には暴走を止められない。
 
 ものの 1週間もしないうちに再度同じ店に行き「細字をください」

 だから何度も中字でいいですかって確認したでしょう?と思っているに違いない店員は「細字でいいですか? 細軟字というのもありますけど」

 余計なお世話です。こちらは中字でペンの硬さは学習済みなのですよ。高い授業料と思って我慢してますけど。

 ところが実際に使ってみると私の予想を遙かに超えたペン先の硬さ。

 伊勢うどんを注文したのに、茹でてないパスタが出てきたような・・33,000円返せ~!!

 もうこうなると後には引けない。頭の中は軽く沸騰している。

 次こそは・・ギャンブル依存症の人も、きっと同じような感覚なんだろうなあ。

 かくして美しさに目がくらんだ衝動買いが招いた悲劇は、万年筆に 50,000円という破格の授業料を支払う結果となってしまった。

一本しか使ってないのに・・


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