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星輝子ラップHassaleh全歌詞解説、構成こだわりまとめ❷前編

前回の記事
https://note.com/yab123p/n/ne82cc69d2017

星輝子ラップHassaleh全歌詞解説、構成こだわりまとめ❶



★こちらの記事について



まずはこんなマニアックな所までお読みいただきありがとうございます。
前回は1verse目までの歌詞解説をしましたが、今回の記事ではhook1(曲で言うとこのサビ)の歌詞解説をさせていただいております。続きものとなりますので前回の記事を読んでいない方は上記URLから是非お読みくださいませ。


1verse目ではファンになるまでを、そしてhook1から2verse目では星輝子にハマってどうしようも(o-iouo)ない状態になり、最終的にプロデューサーになるまでの過程を表しています。その過程では誰しもが推しに抱いたことのある大切な気持ちが鍵になってきます。あなたが大事に想っている存在を重ねながら読んで&聴いていただければと思います。


製作工程の話になりますが、歌詞の完成した順番が「verse1→verse2→hook2→hook3→hook1」となっています。なので今回紹介するhook1は完成するまで何度もより良いものへ形を変えてきた、まるで蟲毒の如きリリックとなっています。
正直自分自身こんなにこだわらなければもっと早くにお披露目できていたと思います。それでも自分が出せる限界に挑戦してみたかった、ただそれだけなんです。そんなこだわりが詰まった自己満足の塊である歌詞解説❷前編となります。どうか最後までお付き合いください、よろしくお願いします。




★詳細な所まで含めた歌詞解説hook1


・hook1編
1⃣桁違いのAnswer 間違いじゃない
かけ違えた何か 勘違いじゃない
2⃣見違えたやっぱ見込み違いじゃない
気が付けばあんたも気違いじゃない?

3⃣孤独口説く毒でブチ上がり
寄生し増殖し染め上げる
4⃣わたしだけの独占 一丁上がり
続々と斑点浮かび上がる


このhookの前半共通部分はサビとしての気持ちよさを念頭に置きつつ作っています。少しでも耳心地を良くするためになるべく同じ位置で韻が踏まれるように心がけていました。頻出するワード「違い」というのは良い意味にも悪い意味にも捉えられる言葉なのでその振れ幅を意識して構成しています。


後半部分に関しては、そこまで韻にはこだわってはいませんがverse1からverse2までの変化を表す大事な架け橋として助走のような内容を意識しています。前半部分含めてverse1から意味合いが”かかり”続けているので言葉選びには凄く気を付けています。まじで難産だった…




1⃣『桁違いのAnswer 間違いじゃない
かけ違えた何か 勘違いじゃない』


「違い」は何かとの対比である。同一ではなく、明確な差異相違が存在する。だからこそ基準や見え方が変わると双方の立場が逆転する。そんな意味を持つ言葉を主軸に構成しております。

”Answer”という言葉だけでもいくつかの意味がかかっている。
一つ目は星輝子、早坂美玲、森久保乃々の三人組ユニット「individuals(インディヴィジュアルズ)」の「∀NSWER」という楽曲からサンプリングしている。その楽曲の凄まじさやユニットとしての個性やメンバーそれぞれのヤバさに対して「他とは桁違いであり、まじでこいつら選んで間違いない」という意味が込められている。ちなみに「間違いない」は英訳すると「no doubt」で∀NSWERの歌詞からのサンプリングでもある。

二つ目は「回答」で「あなたの”その答え”は普通なら正解ではないけど、全然間違ってはないよ」という意味になる。”その答え”とは「verse1であなた自身が選択した星輝子のファンになる」ということを指している。見え方が変わると不正解と正解が逆転していく答えだからこそ、基準が変われば立場が逆転する「違い」という言葉との親和性が生まれている。

三つ目は「解答」で「定まらない計算式の答え」という意味がある。それは星輝子と誰かが掛け算のように関わり、そこにあなたがまた掛け合わされていく。あなたが最後ではなくまた誰かを巻き込んで続いていくそれに対して「終わりがない計算式=正解や不正解を判断する最終的な答えが決められないもの」と定義している。だから増え続けていき桁違いの数になっても最終的な答えではないと言っている。


「”かけ”違えた”何か”勘違いじゃない」とは何なのか?この部分は
①ヤバいものに懸けた人生
②アイドルに賭けた票
③星輝子と自分を掛けた掛け算
④自分の中で欠けた(欠落した)常識
⑤どこかで掛け違えたボタン
⑥お目をかけてついしてしまう贔屓
⑦危ない領域に架けてしまった橋
⑧星輝子に魅せられあなたへかけられる魔法
⑨あなたから星輝子へかける魔法

ダブルミーニングどころの騒ぎじゃないですね…正直細かい構想だけで言えばもっとあるが、思い出せるだけでもこれだけの想いが込められ意味が”かけ”られている。
このhook1では②④⑦⑧の意味が該当するようになっている。あなた自身の内面と外面の変化や取り返しのつかない過ちを同胞から指摘されて初めて自覚するような内容です。

韻踏んでる所はAnswer(a a-)と何か(a a-)で小節の同じ位置で完踏みしています。hookは小節の尻部分でそれぞれ「~違いじゃない」と揃えて音を統一しています。一応同じ音とはいえ少しでも韻踏みたかったので、間違いじゃない(aiaiaai)、勘違いじゃない(a iaiaai)と完踏みしています。




2⃣『見違えたやっぱ見込み違いじゃない
気が付けばあんたも気違いじゃない?』


先程と同様に「違い」を使いながら前後を分かりやすく「見」で外見を、「気」で内面の変化を似ている言葉を使い表現しています。またそれぞれ客観的に指摘されているようになっているため、あなた自身が言われているようにも、あなたが誰かに言っているようにも受け取れるような構成にしています。

「見違える」とは以前の星輝子を知らなかったころから比べると一目見るだけで全くの別人になっているということを言っている。だから布教する側からすると予想通りに「お前は絶対にこうなると思ってた、見込み違いじゃなかった」という内容になっている。

その変化は指摘されて初めて「気が付く」。なので「違い」に「気」が付くとそれは「気違い」になる。それは「あんた”も”」となっている通り、発言者自身も同類であることが分かる。「気違い」という言葉は精神的にもおかしい常軌を逸した人間という意味があるので普通は使用しない。ここでの意味合いとしては「何かに狂った狂わされた人間」「考え方ががらりと変わった人間」のような行き過ぎた愛好家やマニアのことを指している。普通じゃないから駄目とかそんなことを言ってくる奴らを全てごぼう抜きするくらい突き抜けた存在という意味でこの言葉を選びました。

韻を踏んでいる所は1⃣のAnswer(a a-)、何か(a a-)から引き続き、やっぱ(a a)、あんた(a a)と小節の同じ場所で完踏みしている。
1⃣から引き続き「~違いじゃない」で小節の尻部分を統一している。
「見違えたの見」、「見込み違いの見」、「気が付けばの気」、「気違いの気」は全てiで頭韻(最初の母音を揃える韻の踏み方)を踏んでいる。




3⃣『孤独口説く毒でブチ上がり
寄生し増殖し染め上げる』


hookの前半にて何かとの対比で「違い」という言葉を使用したが、この後半部分ではそこから更に動き出す変わっていく様子を分かりやすく「あがっていく」と言い表しながら構成しています。
「あがる」という言葉について、皆さんがイメージされる通り「下から上に動く様子」のことを指している。ここではそれとは別に「気持ちが高まる」「立場が上になっていく」「出来上がる」という意味がそれぞれに込められている。

ライブで独りぼっちをかき集めて問答無用に紅へ染め上げて外側から星輝子の色に変わっていくような内容になっています。また、星輝子を好きになっていく流れをキノコの毒に侵されていくように例えています。なので毒繋がりで「どく」が入った「孤独」「口説く」を使いつつ、毒が内側から蔓延し気持ちがブチアガってハイになっていくような内容にもなっています。
ファンを増やしながら底辺から這い上がっていく、まるでここから下剋上する為の助走段階みたいなイメージで少しずつ上昇していくような構成にしています。

「”寄生し増殖”し染め上げる」の部分に関して、今は亡きモバマスで2022年7月13日に開催された第15回ミュージックJAMというイベントがありました。そのスプラッシュステージに登場した星輝子、白坂小梅、輿水幸子の三人組ユニット「カワイイボクと142's」によるイベントコミュの一部セリフからサンプリングしている。モバやってた輝子Pには凄く強烈なファンのセリフで、自分はコミュ出てから数日で生まれて初めてこのセリフ使った痛うちわを作りました。今回の曲のコンセプト的にもピッタリなんですけどこのネタめっちゃ気付き辛いですよね…


↓参考スクショ画像


韻に関しては、「毒」や「上がる」で似たような言葉は使っているんですけどほぼ踏んでいないに等しいです。韻にこだわるよりも内容を重視しつつビートにどう声を乗せるかっていうフロウ(音として気持ちよく聴こえる歌い方みたいなHIPHOP用語)を優先的に考えながら作ってました。



4⃣『わたしだけの独占 一丁上がり
続々と斑点浮かび上がる』


毒のような危険なものに寄生増殖され完全に感染、最終的に身も心も独占されてしまった様子を表している。”わたしだけの独占"部分に関して、デレステにて結成された十時愛梨、日野茜、高森藍子、星輝子、堀裕子による5人組ユニット「ゼッケンズ」の「絶対特権主張しますっ !」という曲の一部歌詞からサンプリングされている。

”続々と斑点浮かび上がる“の部分はこれまでの文脈を踏まえた上でいくつかの意味合いがかかっている。

①「下から上へ気持ちが反転し浮かび上がっていく」
星輝子を知って好きになり、結果ファンになることによって根暗な奴でも陰キャと呼ばれるような奴でも、気持ちが引っ張られるかのようにテンションが高まっていくということ。浮かれて天にも昇る気持ちという意味もかかっている。

②「弱者から強者へ反転し浮かび上がっていく」
簡単に言えば所謂下剋上のこと。星輝子ちゃんを筆頭に持たざる者たちが集まりリア充のような眩しい存在をどんどん追い越していくイメージ。

③「毒を取り込んだ影響でゾクゾクし肌に斑点が浮かび上がってくる」
食物や薬などで生じる中毒疹によって皮膚上に浮かびあがる紅斑(こうはん)というものから構想しています。キノコの毒で侵された状態や危ない薬物の副作用として紅の斑点が肌に浮かび上がってくる様子が分かりやすいと思います。

④「視界に星の光が浮かび上がってくる」
浮かび上がる斑点というのは空に星が浮かび上がってくるということ。ここまで頻出している紅という言葉と合わせると、時間経って星が少しずつ見えてくる”夕暮れ”の時間帯を表している。

⑤「ファンが続々と星へ近づいていき半天まで浮かび上がる」
半天とは文字通り天の半分。ファンになって間もないのでまだ浮かび上がり始めたばかりの半人前という意味。浮かび上がるを物理的に言えば「空の星」に、関係値で言えば「星輝子」へ、この両方に距離が近づいて行っている人達の様子を表している。

⑥「LIVEでペンライトの光が続々と浮かび上がっていく」
ライブで星輝子に魅せられた人たちがペンライトの色を紅色へ変えていくようなイメージ。浮かび上がる斑点というのは続々と点灯するそのペンライトの光を表している。

この一小節だけで6つの意味が同時にかかっている上に星輝子に関連する言葉だけを使用しながら”上がる”というコンセプトを一貫しつつストーリーが全て繋がっています。我ながら頭おかしいと思います。どうして完成できたんだろ…
ちなみに”続々”が次々出てくるという「ぞくぞく」と感動した時や病気の時に鳥肌が立つ「ゾクゾク」がダブルミーニングになっているが、他には3⃣に出てきたブチあがるの“ぶち”と“斑点”は「まだらに散らばった点」という同じ意味の言葉としてこちらも意味がかかっている。




★hook1の総括


hook製作期間はhook3を書き終えてからまとめて記載しますので一旦置いといて、改めて自分のこだわり具合は凄まじいと恐怖しながらこの解説を書いていました。

何がやばいかと言うとやっぱり星輝子に関連する言葉でずっと構成されているのが個人的には良いところだなと思います。どうしても韻を踏むためや歌詞の構成を作っていく上で題材と全然関係のない言葉を使用しているものってあります。それは仕方のないことだとは思いますが出来るだけそれをしたくなかったというのが自分の我儘という名のこだわりです。

もう一つのこだわりは全体を通して進んでいく物語を大切にしていました。話が進むと変化していく様々な状況を一つだけでなく二つ三つずつ進行させることが非常に難度の高いものでした。何とかこだわり通すことができたので良かったのですが、話の整合性と着地点を合わせることができない可能性が高く、下手したら完成しないんじゃないかなと作りながら思っていました。
綱渡りのような歌詞作りだったというのがこの解説を読んでいただいた方に理解していただけたんじゃないでしょうか?
想像以上に解説が長引いたのでverse2の解説は❷後編へ続きます。ここまでお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

🍄✨<ヒャッハー!ノーマッシュルーム!ノーライフゥ‼


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