グッズ購入や投げ銭が猫のお給料に。推し活サービス『neco-note』が実現する、保護猫のための“自続的”な未来
「大好きな猫のために今の自分ができることって何だろう」
「保護猫活動に参加してみたいけれど、里親になるのは難しい…」
そんなときは、猫の「推し活」をしてみませんか?
今回お話を聞いたのは、猫の「推し活」で保護猫を応援できるプラットフォーム『neco-note(ネコノート)』を運営する、株式会社neconote(ネコノテ)社長の黛 純太(まゆずみ じゅんた)さん。
「猫のために生きるのが、僕の生きる意味」と語る黛さんは、保護猫の譲渡会を開催したり、保護猫団体の新規事業支援をしたりと、保護猫業界全体の"自続可能性"を高める事業を続けています。
そんな、「猫のための会社」を経営する黛さんに、「推し活」が保護猫活動に必要なワケを伺いました。
黛 純太(まゆずみ じゅんた)
株式会社neconote 代表取締役
1994年生まれ。 2017年にねこの広告代理店『chát』を立ち上げ、ドイツへの視察や50以上の保護猫団体へインタビューを敢行。2021年に『株式会社neconote(ネコノテ)』を設立。現在は「保護猫団体の”自立支援”」をミッションに、猫の推し活サービス『neco-note』を運営中。ほかにも譲渡会企画運営、保護猫団体の新規事業支援、保護猫事業のPPP支援、保護猫共同住宅の企画運営を手がけ、 保護猫業界全体の"自続可能性"を高める活動を続けている。
猫の「推し活」で猫助けができる『neco-note』とは?
——『neco-note』では、推し活をすることで、保護猫活動に貢献できると伺いました。一体どういうことなのでしょうか?
黛さん:
『neco-note』は、猫の推し活をすることで、誰でも猫助けに参加していただける「猫の推し活サービス」です。
保護猫団体が登録した保護猫のなかから、“推し”を選んでいただき、限定コンテンツを楽しんでいただけます。
「推し活」でみなさまからいただいたお金は、猫に給料として支給され、保護猫団体がその猫の病気・ケガの治療費や家族を探すための費用や、他の猫の保護活動費用などに使用します。
——なるほど! 実際にどのようなコンテンツが楽しめるんですか?
黛さん:
チェキ抽選会への参加や、推しの姿が見られるライブチャットや、投げ銭で推しにおやつやおもちゃをプレゼントできる「おやつチケット」などがあります。
特におやつチケットは、推し猫がおやつを食べている姿を、日記やライブチャットで見ていただけるのが好評です。
——実は私も、『neco-note』で推し猫におやつを投げ銭してみたことがあって。おいしそうに食べている姿を見れたときは、とても嬉しかったのを覚えています。思わずニヤニヤしちゃいました(笑)。
黛さんは、なぜこのサービスをつくろうと思われたんですか?
黛さん:
「保護猫活動に関わりたい」「興味がある」という気持ちをお金に変えるのも、支援のあり方のひとつだと思ったからです。
保護猫活動に関心を持ってくれる人が増えている一方で、保護猫団体にはその想いを十分に受け止めるだけの器がないのが現状。
保護猫を家族に迎える「迎え主」になるにはクリアすべき条件がたくさんあったり、ボランティア活動には週1回以上の参加が推奨されていたり…。仕事や家庭がある猫好きさんにとっては、ハードルが高すぎるんですよね。
支援方法としては、クラウドファンディングや寄付のプラットフォームもありますが、より多くの人を巻き込むには、もうちょっとカジュアルに楽しめるほうが向いていると思っていて。
「推し活」なら、もっと多くの猫好きさんが、自由に活動に参加できて、結果的により多くの猫が助かると思ったので、推し活が保護猫団体の支援につながる仕組みをつくることにしました。
——『neco-note』は、猫好きさんと保護猫・保護猫団体さんを結ぶ架け橋といったイメージでしょうか?
黛さん:
まさにそのとおりです。
保護猫活動への関わり方はさまざまで、ただ自分の「楽しい」という欲を満たすために参加したってもいいと思っていて。
楽しく参加できるからこそ、長く続けられると思うんですよ。この「長く続く」ことが、今の保護猫活動の課題解決にもつながり、多くの猫を救えるカギになると思ってます。
現状の保護猫活動の課題は、「持続性がない」こと
——たしかに、楽しいと自然に長続きしますよね! ところで、「今の保護猫活動の課題」とは…?
黛さん:
保護猫団体の1番大きな課題は、資金と人手不足だと考えています。
保護猫団体は資金を寄付というかたちで集めるケースが多いんですよ。でも、寄付は基本的に善意で生まれてるものなので、それだけに頼りきっていているのは危険な状態です。人についても、今保護猫ボランティアとして活動している人が、今後もずっと継続できるとは限らない。
今の保護猫団体の課題は、持続性の低いことだと考えています。
——やはり、保護猫活動を続けていくのは難しいんですね。
黛さん:
保護猫活動では、活動のなかで資金を生み出すことが難しいんです。その原因は保護猫活動のフローにあります。
まず、保護猫活動の流れは、大きく分けると「保護」「管理」「譲渡」の3ステップに分かれています。
これをわかりやすく食品の流通工程に置き換えると、「生産」「加工」「販売」で、ここでは販売で生活者からお金をいただいて、そこで生まれた利益をもって、加工や生産を行いますよね。
でも、保護猫団体のフローを見てみると、販売にあたる「譲渡」のところで資金を生み出せていないんですよ。
譲渡金の平均額は2〜3万円ですが、その金額では保護猫活動にかかる費用をまかなえない。資金がうまくまわっていないので、赤字で活動を続けている状態なんですよね。
——活動をすればするほど、赤字が膨らんでしまうんですね…。
黛さん:そう。だから、持続的に資金を生み出すシステムを構築する必要があるんです。
「譲渡」や「保護」のステップでは、保護猫団体の倫理や免許の問題で資金を調達するのが現実的には難しい。ならば、管理のフェーズで、保護猫団体が持つ資産である、保護猫を「推し活」してもらうことで、譲渡までにかかる費用を回収できるかもしれないと思ったんです。
——なるほど。「推し活」によって生まれた資金を、活動に当てていくということですね。しかし、「推し活」が猫の負担にはならないのでしょうか?
黛さん:
それを避けるために、『neco-note』では、猫に芸をさせる、ビックリさせる、過剰におやつを与える、といった過剰な写真映え、動画映えを見つけたらすぐに指導するシステムになっています。
でも、今のところそんなケースは一度も見たことがないですね。『neco-note』に猫を登録するのは、つねに猫と向き合い、彼らの幸せを心から願っている保護猫団体さん。猫が嫌がるようなことは絶対にしない方ばかりですから。
『neco-note』が、猫の幸せを守る“選択肢”になる未来へ
——黛さんにとって理想の保護猫活動の姿はどんなものでしょうか?
黛さん:
保護猫団体は、猫と人間が共存するために必要な機能だと思うので、「消防署」のような存在になるのが理想です。
人間が生活するうえで火事は避けられないけれど、そのセーフティーネットとして、消防署がありますよね。同じように、人間と猫が暮らしていくうえで、保護猫を完全にゼロにするのは不可能だと思うんです。猫が生きているかぎりは、数が増えすぎてしまうことだってあるし、飼い主の介護施設への入居や入院などが原因で、猫が行き場を失うケースは確実に出てきます。
それらを抑制する動きは必要ですが、起こってしまうことを大前提に、どうやって社会のセーフティーネット機能を強化して、猫たちをケアしていくか。
そんな、保護猫団体が猫の幸せを守る「消防署」の役割を担うために『neco-note』が貢献しうると考えています。
——人間と猫がともに暮らすうえで、保護猫団体さんの役割って本当に大きいですね! 最後に、猫の幸せのために『neco-note』が今後取り組んでいきたいことを教えてください。
黛さん:
将来的には、保護猫団体さんにとって、もっと有益な資金源になっていきたいと思っています。
保護猫団体が資金を集める手段は、今はクラウドファンディングや寄付サイト、自分たちのホームページに振り込み先口座を公開して寄付を集めるなどの方法しかないんですよね。そこに、『neco-note』が選択肢のひとつになれたらいいな、と。
また、猫好きの方にとっても、「『neco-note』を使うと保護猫・保護猫活動のためになる」という共通認識が生まれてくれたらうれしいですね。猫の「推し活」が当たり前になれば、結果的に保護猫団体の資金が増加し、新しい猫の保護につながり、保護猫団体の活動の持続性が高まっていきます。
保護猫活動参加の選択肢として、猫の「推し活」を選んでもらえるように、これからも試行錯誤していきたいと思います。
推し活を楽しみながら、保護猫活動ができる『neco-note』
黛さんが運営する『neco-note』は、持続的な保護猫活動の実現に向けて、ユーザーが楽しみながら保護猫を助けることができる、猫の「推し活」プラットフォームです。
ここまで読んでくださったあなたも、『neco-note』に登録して、「推し活」を楽しみながら、保護猫助けに参加してみませんか?
また、保護猫活動についてさらに知りたい方は、黛さんや『neco-note』が発信するnoteをぜひ読んでみてください。
〈取材・文=やーたん(@ya_tan_kuro)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)、えるも(@chanmoexx)〉