【第5話】電源の準備
「前回見せたブレッドボードでの組立図よ。図の左上と左下にピンクと青の矢印があるのが確認出来るかしら?」
「ブレッドボードに流す電源よ。電源が無ければPICマイコンはただの部品だわ。コンセントみたいに挿してすぐ使えるならいいのだけど、少し準備が必要になるわ。」
「でも難しい作業ではないわ。半田づけも必要ないし、5分程で終わるわ。」
「まず必要になるのが、電源アダプターね。普段使っているコンセントから流れる電気はAC(交流)よ。一方、PICマイコンはDC(直流)を電源にしているわ。パソコンやゲーム機をコンセントに挿す時は付属のACアダプターを使っていると思うけれど、それの事よ。」
「ACからDCへの変換器(=英訳:アダプター)だから、ACアダプターって呼ばれてるわ。」
「周期的に電圧等が変化するAC(交流)電源のままでは、一定の電圧が必要なPICマイコンでは都合が悪いわ。だからDC(直流)電源に変換してあげる必要があるの。」
「PICマイコンは電圧5Vで動作する設計になってるわ。だからACアダプターは5Vのものを使う必要があるわ。」
「秋葉原の電子部品のお店では、色々な電圧のアダプターが売られているわ。買う際には5Vかを良く確認ね。」
「5VのACアダプターを購入したら、このアダプターに接続するDCジャックも購入しておく必要があるわ。」
「これよ。DCジャックは丸い穴にACアダプター側のプラグをまず接続するわ。」
「DCジャックにアダプターのプラグを接続したら、ジャックの銀色の足の極性を確認する必要があるわ。そこでテスターね。極性がプラスかマイナスかが確認出来れば良いので、安物で大丈夫よ。」
「ジャックの銀色の足は短いのと長いのがあるから、どちらかにテスターのプラス側、もう一方をマイナス側を繋げて電圧を確認するわ。」
「テスターで電圧がマイナス表示なら、テスターと繋げた足の極性が間違えてるわ。マイナス表示で無ければ、テスターのプラス側に繋げた足がプラス側、もう一方の足がマイナス側となるわ。」
「…え?テスターが無い場合ですって?」
「出来ればテスターで確認して欲しいわ。でも入手が難しいなら、別の方法でも可能だわ。」
「このLEDを使う方法だわ。LEDにはそれぞれの足に極性があるわ。長い方がアノード。短い方がカソードよ。」
「アノードからカソード、つまり足の長い方から短い方に電気が流れて点灯する仕組みだわ。」
「この特性を利用して、まずは上の図のようにブレッドボードで組んで頂けるかしら?」
「抵抗はプラス側とLEDを必ず挟む形よ。この抵抗でLEDへの電流を制御してるからよ。」
「LEDには極性があるのは先ほどの通りよ。ブレッドボードは溝を境に上がVDD側、下がVSS側になってるわ。LEDはこの溝を跨ぐように挿し込むわ。」
「電源を入れてLEDが点灯すれば、ブレッドボードに挿した赤い線と黒い線の極性は正しい事になるわ。」
「ジャックの足の極性が確認出来たら、次で最後よ。」
「片方がワニ口クリップでもう一方がブレッドボードに挿し込めるようになってるこのワイヤーよ。」
「ジャックのプラス側の足に赤いワニ口クリップを、マイナス側の足には、黒いワニ口クリップを挟むのよ。」
「先ほどの図の左上と左下の矢印に注目して欲しいわ。」
「ピンクの矢印はプラス側。つまり、ワニ口クリップの赤い方を挿しこむわ。」
「青の矢印はマイナス側。ワニ口クリップの黒い方を挿し込むのよ。」
「赤いのと黒いのをブレッドボードに挿し込んだかしら?赤いのがブレッドボードの赤い線側、黒いのが青い線側のそれぞれの穴に挿し込んだかよく確認よ。」
「赤いのと黒いのがこのようになってれば大丈夫よ。これで今回動かす回路は完成だわ。次回はいよいよプログラム作成に入るわ。」
「また、あの子が心配しちゃうわ。この辺にしておくわ。」
(つづく)