DTPからWEBへ[カルチャーショックを受けたこと]
本格的に仕事の割合がDTP8割から、WEB8割〜9割になって、もうすぐ2年経とうとしています。
なぜそうなったかという経緯などはこちらから↓
事業会社で常駐、という形でいるので、ほぼ業務的にはインハウスデザイナーのような立ち位置です。
2年携わったなかで、WEBとDTPはこんなに違うのか…と、カルチャーショックをうけたことをまとめてみました!
みんな気軽にOSやアプリのアップデートを行う
もう、これが一番WEB業界でびっくりしたことです。
DTPだと、データの流用だったり印刷会社さんが対応しているかなどなど、環境によって、気軽にアップデートできなかったのですが、みなさんバンバンアップデートしていくのがすごいなと思いました…。
いやほんとに。ピリピリしてる私がバカみたいだな…と思えてくるくらい、あっけらかんとされてて衝撃でした。
色を何に合わせていいのかわからない
これが…本当に……つらいところです。
私がデザインに使っているAdobe XDというソフトはカラーマネージメントに対応しておらず、実際にカラーマネージメント対応しているブラウザで見たときと色味が違ってみえるので、XD上で色を決めるのは、実は危険なのです。
といっても私はあくまでXDはパーツを組み合わせるレイアウトソフト的な感じで使っているので、大まかな色はすべてパーツを作るIllustrator上でコントロールしています。
しかし、一番厄介なのが、クライアントさん(メーカーさんや、制作のお仕事をしていないところ)がいる仕事で確認に出した時です。
クライアントさんのPCだったりデバイスは、もちろんカラーマネージメントなんてしてないわけで、そのPC上でコーポレートカラーになってない、と指摘をうけたり(Illustrator上では同じ)、色を何基準で合わせたらいいのやら…となったことが何度かあります。
(ちなみにその時は、Illustratorのカラーパレットとオブジェクトを並べたスクショを撮って送りました)
そして、jpgに書き出した時に、圧縮がかかるので微妙に色が変わるのもやっかいでしたね……。
印刷だと、校正紙で同じものをみてチェックはできるのですが……。この感覚が本当に未だに馴れないというか、色を気にしてきた20年間だったので、難しいなあと思ってます。
受託制作と自社開発という区別
これもDTPの時はなかった感覚と言葉です。
要は、広告制作会社か、出版社か、みたいな感じでしょうか。
これもなかなか感覚的にWEB業界独特だなあと思いました。
「工数」「人/月」という感覚
DTPの時にはなかった感覚および言葉です。
これはエンジニアさん発祥の言葉だと思うのですが、この工数、という言葉と人/月みたいな、どれだけ人と時間がかかったか算出していく、という感覚が本当に新鮮でした。
あと、いまいるところが、いわゆく自社開発をしている事業会社のため、デザインや開発はいかに「工数」を減らして効率化するか、という考え方も、私にはあまりなかったので、新鮮でした。
ちなみに私はいわゆる受託案件をやる制作会社なので、自分のデザインでお金を生み出している、という感覚が強いため、ここらへんの時間のかけどころや力の入れ方の感覚が全くわからず今も迷い続けながら作業をしています……。
あと、自社開発は期限が明確に設けられず、割と延びたりすることや、緊急度が高くないから、という理由でお手すきの時に…みたいなことも多いので、いつまでも手が付けられず、あれどうなった?と言われて、やってないことに気がつくなど…自分を律せる人じゃないと難しいなあと思いました。
薄々気づいてはいましたが、私は常に締切があったほうが性に合っているので、クライアントがいて、公開日が決まってる広告案件をやってる方が精神的にすごくラクです。(キツイけど)
タスク管理ツール(Backlog)と、Github
タスク管理ツールは、チケット管理ツール、とも言われています。チケットって…?舞台とかのじゃなくて??とガチで思ってしまいましたが、チケット=課題を立てて、それを解決していく掲示板みたいなものです。
特に私はWEBサービスに関わっているため、他部署とのやりとりや、外部制作会社さんにコーディングや、デザインパーツを発注したりと、共同で作業を進めることが多く、やり取りををすべてBacklogで行っています。
これが超便利です!!DTPでも大人数が関わるカタログとWEBを連動させる仕事とかで使いたかった…!!
(でも大きな印刷会社とか上場企業はこういう外部ツール使うのNGなことも多いので普及は難しいのかな…)
あとWEBサービスの、いつ誰が何を公開したみたいな記録や履歴、サービスのバグや問題点提起などはGithubを使って管理しており、課題を立てて、その番号に紐付けて作業をいろいろしていくのも、カルチャーショックでした…。
そして履歴が追えたり、検索できるのがすっっっごく便利で、わかりやすくて、これを改定しまくるカタログの仕事で使えたらめちゃくちゃ便利じゃん…!!と思ったり…(最近印刷データをこれで管理する方もいるとか…)
WEBのお仕事は、DTPでいう印刷の工程部分も自社でやるので、デザインを作って終わり、ではなく、本当に最後の工程まで関わることになるんだなあと改めて実感しています。
WEBアプリだったりサービス、大きめのWEBサイトを作るときは基本こういうグループツールみたいなものを使う、ということをここに入るまで知りませんでした…。
今までWEBサイトの仕事はしてきたものの、CMSのテンプレを作り、それをシステム会社さんへお渡しし、作ってもらったものに入力してるだけだったり、デザインはしても組み込みと公開はすべて管理している会社さんにおまかせだったので、私はいままでWEBデザインやってきたといっても、本当に表層の部分だけだったんだなと思いました…。
DTPの世界でもこういうツールでグループを作って、やり取りするみたいなやり方が、最近割とあるものの、まだまだメールでやり取りしてることが圧倒的に多いと思います。DTPでもこれが普及するとだいぶみんなやりやすくなるのでは?と思ってます。
公開したら終わりじゃない
WEBサイトは公開したら終わりじゃないんです!運用をしないと意味がないんです!!
印刷物だと、印刷したら終わりで、手が離れるのですが、WEBはそうはいきません。運用が必要なのです。
なので、手離れが悪い…というか、毎週更新したり、毎月公開するコンテンツがあって、それを都度作る作業があります。
なんとなく毎月、毎週発行の雑誌やチラシと一緒かなあという気がしてましたが、いざ更新作業を続けてると、チラシや雑誌とは感覚は全く違います。
長く続けるといろいろ整合性がとれないことが出てきたり、蓄積されたコンテンツをどうするかとか、リライトをする、サイト全体をリニューアルしたとき今までのコンテンツをどうするのか、などなど別のことを考えねばいけなくなり、ここらへん、本当に難しいなあと思っています。
デザインがすぐ古くなる
3年前のデザインしたものが、もうこれ前のやつだよね、ってなります。
印刷物も流行りは多少ありつつも、10年くらいじゃないと昔のやつだよねってならないので、本当にデザインの賞味期限が短いんだなと震えています。
ドロップシャドウが印刷に出る・出ないを意識しなくていい
いや、これは当たり前なんですが、もう10年以上これを気にし続けて、印刷やさんにも口酸っぱく注意され続けてきたため、ドロップシャドウは基本濃い目、だいたい乗算50%以下にすると意図した表現が印刷されないからまずい、みたいな感覚があって、ついつい濃い目にしがちです。
WEBは印刷しないので、ほんのりでも全然問題ないんですね…。
指摘されるまで、無意識でやってきたことだったので、これを矯正するのがめちゃくちゃ大変でした……。未だにドロップシャドウを薄めにすることが怖いです。
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そんな感じで、WEBのお仕事を毎日していますが、日々勉強。日々どこかで躓きまくりです。
本当にDTP、印刷物業界はレガシー文化だったんだなーと実感する日々です。
でもこのWEB業界の時間の流れの速さは、飽きっぽいミーハーな私には、ちょうどいいなとも思ってるところがあるので、WEBのお仕事がんばろうと思います!