逆風は嫌いではなく・・・
「逆風は嫌いではなく、ありがたい。どんなことも、逆風がなければ次のステップにいけないから。」
元大リーガー イチロー氏の格言です。
人は、常に「順風満帆」でありたいと思うものかもしれません。
逆境に好んで立ち向かえるほどの強さを備えた人は、多くはないように思います。
楽を選びたい訳ではありませんが、できれば、面倒なこと、辛いことを避けて行ければという気持ちは、誰もが抱くものであると確信しております。
極端な例が、「死」ではないでようか。
誰もが死を避けられないことは、頭で理解していながらも、誰も死にたくはない。
「人は、死ぬことなく天国に行きたがる。」
そんな話を聞いたことがあります。
苦しむことなく、極楽浄土を求めたいという気持ちなのだと思いますが。。。
スグルは、昔から器用だった。
何をしても、親兄弟、友人など周りの人から褒められるほどに、色々なことを器用にこなすことができた。
スグル自身、特に努力をしたという自覚もなく、「周りが不器用過ぎるだけなのでは?」という感覚でしかなかった。
褒められること自体は、どちらかといえば嬉しい。
が、褒められることに飽きのようなものを感じ始めてからは、気持ちが少し変わってしまった。
「できない奴に褒められてもね。。。逆に馬鹿にされているような気がしてしまうよ。。。」
驕りのようなものではなかったが、そんな風に感じるようになってしまった。
「何でも器用にこなすことができる人に褒められたいなぁ。。。」
そんな風に思い始めてから、スグルは態度を改めた。
「自分のいる場所が悪いのだろう。もっと違う景色を見に行かなければ、このままで終わってしまうような気がする。」
「違う景色が見れる場所は、何でも器用にこなすことができる人たちで溢れている筈。」
一念発起というと大げさではあるが、スグルは、お付き合いする人を変えた。
「今まで、当たり前にこなしていたこと、周りに褒められていたことを一度疑うことにしよう。」
まだまだ、粗さがあるような気がしていた故、精度を上げる余地を探し始めた。
努力の甲斐があり、スグルは、目指していた場所に辿り着けたように感じていた。
が、何でもできる人たちが溢れ始めた矢先、自分の不器用さを認識せざるを得なくなった。
「皆、精度が高く、何でも器用にこなしている。それに比べて自分は。。。」
初めての挫折を味わった。
つるべ落とし。
普通の人であれば、そのまま元の場所、もしくは、それ以下の場所に落ちて行くのだろう。
が、スグルは違った。
スグルにとって、生まれて初めて感じた刺激だった。
「皆のように何でも器用にこなすためには、まだまだやることがある。」
この刺激、悪くない気がする。
「まだまだやるべきことがあり、やるべきことを続けて行くことで、また別の場所に辿り着けるのだろう。」
「刺激」という形で受けた「逆風」は、スグルを次のステップへ導いてくれたのかもしれない。