受け手の解釈
「古いね」と私はよく口にする。
ほとんどすべての場合、単に古いという意味でそう言っている。それ以上でも、それ以下でもない。
「現在の社会システムや時流から考えると古いよね」というような意味で言うことも多い。ただ、それ自体の良し悪しを述べているわけではなく、それと時流との関係性を評価しているのだ。
ところが、それ自体を悪く言っているように勘違いされてしまうことがある。
新しいか古いかを論じただけなのに、いつのまにか良いか悪いかの話に勝手にすり替わり、不快感をあらわにされる。
古いことは悪く、新しいことは良いことだと無意識レベルで思っているのかな。
古いことが悪いとは私はこれっぽっちも思っていない。そんなものは時と場合によるではないか。
「法隆寺、古いね」
何か悪いことでもあるのだろうか。
私自身は否定したつもりはなくとも、相手は否定されたような気持ちになる。古くさいとか、時代遅れだと受け取らせてしまったのだろう。
言葉をどのように受け取るのか。受け手の解釈まではコントロールできない。言葉を用いて建設的にと言うけれど、ベースに安心安全の信頼関係がないとお互いにすれ違い続けるばかりである。
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