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心地よい生産の無限ループと資本主義社会の向こう側

現代社会は、経済に侵されている。人間という本来非合理的であるはずの生物が、経済合理性の渦に飲み込まれ、しぼみ切っている。過剰なまでに経済に意識が向いている。「生産性」などと言い出した奴はどこの誰だ。奴隷の長にきっと違いない。

資本主義ゲームに参加する

私たちは、半ば強制的に資本主義ゲームに参加させられている。その恩恵を受けて育ち、今なお恩恵を受け続けている。この生態系に暮らしている以上は「お金」という燃料が必須となる。

成人については一応自分で選んでこの資本主義ゲームに参加していることになっている。非合理的な生物が合理性を競うゲームに参加し、切磋琢磨しているのだから、なかなか滑稽である。

ひとまずチュートリアルは終える

ゲームに参加する以上、ルール(知識)を知らなければならない。バスケをしているのに、ボールを蹴っていては話にならない。

また、ルールだけでなく質的にも理解しなければ自分のペースで立ち回れないだろう。Googleマップでルート検索をすると、時々とんでもない道に連れて行かれる。最短距離は分かっても、薄暗い路地裏など、質までは判断できないのだ。

資本主義ゲームの知識と質は、天才なら1年、賢い人なら3年、努力し続けている人なら5年ぐらいで概ね理解できる。

5年以上かかっている人は、意識が資本主義に向かっていないか、資本主義ゲームの才能がなさ過ぎてどうしようもないかである。前者は意識の問題と言えるし、後者については生まれてきた時代がミスマッチ過ぎて残念だったということになる。

さて、資本主義ゲームを理解したところで、ゲームでいうところのチュートリアルが終わった、ちょっと数回遊んでみたレベル。ようやくスタート地点に立つ。

目指せ、年収1000万円?!

チュートリアルを終え、さっそく大きな問題にぶち当たる。資本主義ゲームに参加するとして、何をもって勝利とするかだ

あなたはスマホゲームを何かプレイしたことがあるだろうか。そのゲームのグローバルランキングを見てみると、えげつないことになっている。どうしたらこんなに強くなれるんだ…と、格の違いを見せつけられる。

資本主義ゲームも基本的にはそれと同じだ。ルール上は、私たちだってジェフ・ベゾスになれる。フェアだ。しかし、99.9999999%の人はなれない。そんなことは割り算ができれば誰にでも分かる。無理ゲーである。

そこで「ジェフ・ベゾスにはなれないけれど、年収1000万円はほしいな」などという目標を立て始める輩がいる。

今さらこんなことを言うのもなんだが、変動相場制において、1円の価値は刻一刻と価値が変わり続けている。今日の1円と明日の1円は価値が違う。1000万円の価値は絶対的なものではない

100歩譲って、仮に今この瞬間の1000万円の価値で固定したとする。それでも、もし日本人の平均年収が3000万円になった途端、この類の人々は満足できなくなるだろう。年収1000万円などという目標は、よほどクリーンな根拠がない限り、日本の上位5%に入ってドヤりたいという極めて卑しい考えに由来するのである。

相対的である限り、誰かがつくったレースに永遠に巻き込まれる。ペットショップのハムスターが歯車を回しているのを見て、あなたはどんな感想を抱くだろうか。その感想をそのまま年収1000万円を目標にしている人間に重ね合わせてみると面白いものがある。

自分なりの趣旨でゲームを楽しむ

私がお勧めしたいのは「自分なりの楽しみ方」を見つけることだ。すごく普通のことを言っている。「ゲームのルールには則るが、ゲーム本来の趣旨は無視し、自分なりの趣旨でゲームを楽しむ」ということの意味を理解してほしい。

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