人との距離感
人間関係はおおよそ距離感でどうにかなる、というのが私の持論です。
もし嫌いな人がいるとして、その人と生涯接点がないのなら、嫌う必要はないですよね。というか、意識に登場させる必要がない。
反対に、好きな人がいるとして、その人とは接点を増やし、距離感を詰めていけばいい。
ここまでは誰もが考えることですよね。
ただ、ここでやりがちなのが、超至近距離の関係か断絶かといった極端なゴールに向かって走ることです。
他者をガチガチに自分のゴールに組み込んでしまうと、きっとろくなことにならないでしょう。
他者は他者だから、他者の人生を歩むのです。思いどおりになんかならない。
仮に思いどおりになることがあっても、思いどおりにし続けるためのエネルギーがかかります。消耗してしまうでしょう。
確かに、ビジネスのためにその人と接して、たとえば契約といったゴールのために、逆算して接していくのは大変合理的です。
ただ、ビジネスでも何でもないのに、そうした合理性を人間関係に持ち込むと、つまらない関係になってしまいます。
表向き「愛」を掲げて、ビジネス感覚で結婚している人をよく見かけますが、そんな結婚生活はきっと窮屈なんだろうと思います。成果が求められ続けますからね。
そもそも、人間は非合理的な生き物です。成果ばかり気にしていては頭がおかしくなるか、関係が冷え切ってしまうでしょう。
何の話してるんだろう。
そうそう、人間関係は距離感でどうにかなるという話でした。
たとえば、あなたが今ムカついている人がいるとします。
まず、何にムカついているのかを明確にしましょう。
すると、「雑談が面白くなさすぎて苦痛。本当は話したくない。でも、話しかけられる」ということが分かったとします。
であるなら、いかにその人と雑談しなくて済む距離感をつくっていくかということが考えられます。
雑談しなくていい距離感をつくることができたら、まったくムカつかなくて済むわけですよね。
その雑談が苦痛なのは、あなたです。うまく距離を取れていないのも、あなたです。
相手は、雑談が面白くなくて苦痛とは微塵も感じていないでしょうから、相手は話したいのです。相手にとっては今がちょうどよい距離感かもしれません。
相手の話が面白くなることを期待したり、相手が話しかけてこなくなることを期待しても、期待は裏切られるだけです。
自分で適切な距離感を取りましょう。
難しいのは分かります。今日明日でできることではないかもしれません。けれど、今この瞬間から小さな行動を始めるしかない。
ずっとその人にムカついて生きていくのは何だか無駄な気がしませんか?
反対に、好きな人の場合。言わずもがな距離感を縮めていきたいことでしょう。
ただ、今度は距離感を詰めすぎて、破滅への道をたどりはじめているカップルをよく見かけます。
恋したからには、距離を取ってはならないと思い込んでいらっしゃる。
どこまで愛したところで、他者なのですから、期待どおりに動いてくれるとは限りません。
パーフェクトな人間などいないわけですから、欠陥は誰にでもあります。
欠陥部分の影響をダイレクトに受けてしまうような距離感を取ってしまっているあなたに問題がある。相手に期待しても無駄です。
愛したいなら、よく愛せる距離感を考える必要があります。
好きだから距離感を詰めたい。嫌いだから距離を取りたい。
それは誰でも考えつくことです。でも、100点か0点かの話ではないのです。
(自分から見て)欠点は誰にでもあるわけですから、距離感でうまく調節すればよいと思うのです。
私自身、一人ひとりの人と関わるシチュエーションを限定しながら、距離感を工夫しながら、人間関係のストレスをなるべく回避しています。
「私たちの関係性におけるベストなあり方は何だろうか?」と常に考え続けることが大切だと思います。
どこまで行っても主観でしがありませんから、相手は相手なりの距離感を取ってくる。
意識的か無意識的かはさておき、人はシュールな間合いの取り合いをしているのです。
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