半年後のあなたが見たいわ
ニューヨークの人は、1年に1回、少なくとも2年に1回ぐらいは仕事を変えるそうです。
個人は、よりよい条件と環境を目指すマインドセットが自然にできており、企業は即戦力を求め、必要なくなればクビにするという感じ。
流動的であることを前提にしています。
IBMに勤めるアメリカ人と話す機会がありました。働いてもうすぐ5年経つそう。そして、それはかなり珍しい部類ということです。
人生をどんどん変えていく、フットワークの軽さは日本とはまるで違いますね。
クビだ何だというのは、それだけを見ると残酷な仕組みのように見えますが、実力を試したい人にとってはチャンスが開かれている街とも言えます。
日本では、真面目な人は多いですが、自分で責任を取ろうとする態度に欠けていたり、反対に責任感が強すぎて他人にそれを押しつけるような雰囲気を感じることがあります。
流動性の低い社会だからこそ、個人ではなく集団的な思考になりがちなのかもしれません。
とはいえ、日本には日本の働き方の良さがあるでしょう。人を育てる視点があるのは、素晴らしいことだと思います。
新卒一括採用という祭りを毎年開催し、まだ何の実力もない若者を採用して、一人前に育てる企業の態度は日本独特と言えるかも知れません。
お金をもらいながら学べる素晴らしい国だと思います。
ただ、それも今は崩壊しつつあると思います。
「共同体としての企業」だったからこそ、半人前を一人前に育て上げていく文化があったのではないでしょうか。
今は企業に余力がなくなり、共同体としての存在感は弱まる一方です。一昔前みたいに自分が勤める会社を「家族」と思っている人は、もうほとんど見かけません。
これから日本の働き方や生活はどうなっていくのでしょうか。
このままグローバル化に歯止めがかからないとしたら、ニューヨークのように流動性の高い路線を歩むことになりそうです。
流動性の高い社会では、そもそも実力がない人を企業が採用するメリットはありません。
新卒一括採用はなくなってしまうでしょう。若者の失業者数は増えるかもしれません。
ニューヨークの友人が言っていたのですが、面接のときに「半年後のあなたが見たいわ」などと言って断るそうです。
「今のあなたは実力不足だから雇えない。でも、人としては悪くないから実力をつけて出直して来てね」ということなのでしょう。
実力を見て採用するということですね。
新卒一括採用が終わったとき、日本では「半年後のあなたが見たいわ」が流行語大賞になるかもしれません。
個人として生きていく。多様性の社会を、心許せる身近なコミュニティに助けられながら。
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