トラウマ
私には、苦手なものが2つある。
虫と体育会系のおじさんだ。
虫について
話は、幼少期にまでさかのぼる。
保育園から小学校低学年まで住んでいたアパートは、虫がよく出た。向かいに住んでいたおじいさんの家の木が毛虫まみれで、おかげで私の家の前も毛虫まみれだった。
映画なんかで虫がウジャウジャしたグロテスクな描写があったりするが、まさにアレだ。あんなものを毎朝玄関を開けるたびに見せられていたのだ。グロ映像を毎日浴びせ続けるなんて精神衛生上最悪である。
とにかく気持ち悪くて、毎日脅えていた。
それ以来、芋虫系の虫(長い虫)を見ると脊髄反射的に恐怖に陥る。
今もなおそうで、みんなからは「そんな大きな体をしてビビりすぎだ」と揶揄されるが、本当に怖いのだ。
もし虫が怖くなければ田舎に移住して農業をやりたいのだが、虫が無理すぎて生涯都市部にしか暮らせそうにない。
体育会系のおじさんについて
もう一つ苦手なのは、体育会系のおじさんだ。
小、中、高といろんな教師に出会ったが、体育教師のクオリティの低さは尋常ではなかった。
最初に出会った体育会系の教師は小学2年。小学校なので、全教科を教えていたため体育教師ではなかったが、精神が体育会系。絶対服従。服従しないものには容赦なかった。頭は叩く、机は蹴飛ばす、椅子を投げ飛ばす、ランドセルを窓から投げる。力でねじ伏せる。
現代なら一発で大問題になっているような暴れぶりだった。私は自分の実を守るため、おとなしく服従した。
その担任だけは異常で、あとの小学校時代はよい先生ばかりだった。気づけば、その担任のことをすっかり忘れていた。
ところが、中学に入学してすぐに思い出した。中学の体育教師が、まるで同じだったからだ。しかも、私が入部したサッカー部の顧問だった。最悪である。
中学校の2年半、サッカー部を引退するまでは、本当につらい日々だった。毎日、サッカー部の同級生と「今日、退部届けを出そう」と企て、午後になって誰かが「やっぱり、辞めるのをやめる」と言い出す。抜けがけして辞めようものなら学校生活に支障が出そうだったので、みんなで地獄を耐え抜いた。
今振り返ると、これまた異常だった。試合と試合の間に、50本も往復ダッシュをさせられる。休む間もなく次の試合を迎える。試合で走れないと「どうして走れないんだ!サボるな!」と怒鳴り散らされ、ひどいときは殴られる。往復ダッシュがなければ、多分走れただろう。バカなのかな。まるで強制収容所のような時間だった。
無理をしただけの成果もあって、割りとサッカーの強い高校からスカウトが来た。「二度と体育会系の人間と関わるものか」と丁重にお断りした。
高校に入ってからも似たような感じで、めんどくさいのは決まって体育教師だった。私は、体育会系のノリが超絶苦手だ。青春時代の嫌な記憶の8割は、体育教師に関連するものである。
以来、私は体育会系のおじさんが苦手だ。体育教師とはいかないまでも、規律を重んじるタイプのおじさんにはついアレルギー反応が起こってしまう。
規律なんてクソ喰らえである。
トラウマについて
基本的に、恐怖感情が薄い私だが、この2つだけは神経レベルに刻まれた傷である。トラウマと言っても過言ではないだろう。
大抵の物事は、理屈で考えて処理することができるが、この2つだけは論理的思考を働かせる余裕がない。脊髄反射的に、感情が揺さぶられてしまう。
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