センスがあれば何でもできる:手から目の時代へ
私は非デザイナーですが、仕事や個人の活動の中で、ちょっとしたバナーをつくったり、イベントのフライヤーをつくったりすることがあります。
非デザイナーですので、デザインのセオリーもよく分かっていない。
最低限それを形するための操作を調べ、感覚を頼りに、つたない技術で乗り切るわけです。
経験者と未経験者
乗り切るといっても、何をもって乗り切れているとするのかは難しい問題ですよね。
たとえば、結成すぐの高校生バンドの演奏を聴けば、いくら音楽素人でも、そのつたなさは理解できます。
一方、ちょっと経験を積んだアマチュアバンドの演奏になってくると、反応が分かれます。
音楽経験者には、結構グダグダな演奏をしているように見えても、未経験者には不協和音やリズムのズレなどに気づがない人もいます。
音楽にどれぐらい精通しているかで、聞こえ方が異なるということです。まったく精通していない人は、それを認識するセンサーがあまり機能していない(発達していない)のでしょう。
作品の評価が分かれる、要素の一つとして、こうした認識のセンサーの問題は大きいと思います。
欠点のデザインは逆効果
世の中には、かなりイケてないイベントのフライヤーが出回っています。
レイアウトだけ何となく他をマネて、必要情報を載っけてみる。
本人は一生懸命がんばっているわけですが、これが非デザイナーの限界です。私自身もまた、そう。
デザインがイケてなさ過ぎるがゆえに、「絶対に参加したくないイベント」という印象を与えてしまっている可能性も否めません。つくらないほうがマシだったかもしれないという本末転倒なお話。
音楽の経験から私自身、そういう素人仕事のリスクはよく分かっているつもりです。
デザインはきちんとプロに依頼し、目的や思いやイメージを共有し、形にしてもらうのが理想的なのかもしれません。
ただ、プロジェクトを進める際に予算がないなんてことはよくありますよね。
私が、非デザイナーでありながら、デザイナーまがいのことをやるのもまったく同じ理由です。
テクノロジーがやってきた
最近は、非デザイナーでもデザイン、音楽、動画など簡単につくれるクリエイティブ関連のサービス、プラットフォームが充実してきました。
最近、私はCanvaというデザインのサブスクリプションサービスを使っています。
膨大な数のテンプレートがあり、そこから調整を加えていけば簡単に作成できます。
たとえば、「テンプレート」が30種類あったところで、かゆいところに手は届きません。全然ダメです。
しかし、Canvaでは30万種類あります。
ここまで数があれば、テンプレート+微調整で、十分オリジナリティを発揮(した気分になることが)できます。
今まで30点しか出せなかった非デザイナーでも60点以上は出せるようになるでしょう。
おかしな調整を加えない限り、まず欠点はなさそうだということです。
センスがあれば何でもできる
「デザイナー」であるためには、この30万種類に埋もれない何かを持っていないと話にならない時代に突入しました。
私のような非デザイナーには大変ありがたい時代なのですが…。
ちなみに、これらのサービスでは60点のアウトプットしかできないわけではありません。
センスがあれば、90点ぐらいまではいけるんじゃないでしょうか。
一応90点としているのは、人間の可能性を「信じたい」という理由でしかありません。
時代は、手から目へ
職人技とは、手と目だと思うんです。
目はセンス、手は技術。それらが膨大な経験を通じて蓄積されているのです。
また、技術とは、正確さとバリエーションのことだと思います。
昨今のプラットフォームは、技術(手)の要素をもはや十分に補ってくれそうです。
クリック、ドラッグ&ドロップで60点以上のクオリティがほぼ約束されています。
つまり、相対的に目が大切な時代になったということです。
精緻に手を動かせることよりも、美しさや新しい発想など、観る目、考える頭が重要さを増しているのだと思います。
それこそ何だか人間らしい感じがします。
手ではなく、目に職人が宿る時代が来てしまったのかもしれません。
もしくは、職人を手と考えるなら、絶滅してしまうかもしれません。
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